夏休みに入る。
毎日特訓の日々。
「美月っ!甘いよ!まだ!」
「つっ!たぁっ!!」
いくら殴っても返される。「グッ!かはっ!」
レバーに一発。
見事な蹴りを食らう。
「いったい・・・」
「もう終わり?弱いね」
「くっそ!もう一回!!」
超超スパルタ。
暑いし倒れそう。
「10分休憩!後で拳銃持ってこい!」
「はぁ・・・は・・・はい・・・」
スポーツドリンクで喉を潤す。
絶対にがぶ飲みはしない。汗だくだ。
「こんにちはー」
利奈がスイカを持ってきてくれた。
「おー利奈ちゃん!スイカ持ってきてくれたんだ!」
利奈は歩いて来たのに涼しそう。
白い帽子を被っていり。
「あぅ・・利奈・・」
「美月くん凄い汗だくだよ!大丈夫?」
利奈がハンカチで額を拭いてくれる。
「顔・・・洗って・・くる・・」
洗面所に行って顔を洗う。冷たくてきもちいい。
「はぁ・・・ん?・・」
右目の色がおかしい。
鏡をまじまじと見る。
「ん?ん?何で?」
赤ってより・・青?
いや青じゃない。
所々赤い。
前髪をちょんまげにして縁側に戻る。
「美月くん・・が・・」
「ありゃ!なんと!」
「え?え?」
二人揃って言った。
「ちょんまげ可愛い!」
とりあえずスイカにかぶりつく。
甘くて美味しい。
「綾さん、目が変なんだけど・・・」
「ん?・・・ん?青い?」
利奈も僕の顔を見る。
「あ、本当だ・・」
やっぱり青いんだ。
なんで今さら?
「ま、つば付けきゃ治るよ」「先生適当ですね・・・」
なんか・・違う。
違う・・・感じる。
「綾さん、もういっかい格闘訓練お願いします!」
「おお!いいよ」
両目・・・久しぶり。
大体左目で戦ってたから。「いくよっ!」
分かる。
左ストレートが来る。
僕は軽く避ける。
次は綾が僕の攻撃を避けて一歩下がる。
僕はフェイントする。
綾は一歩下がる。
僕は大きめに踏み込む。
たぶん攻撃してもダメ。
綾の方が素早い。
綾は蹴りを出す。
とんでもなく素早い。
それを避ける。
そして僕の攻撃は当たる。「つっ!」
綾の腹に当たる。
やっぱり違う。
「私が・・喰らった?一発・・・?」
綾はかなり驚愕している。「もう一度。来い本気で」
綾の雰囲気がさらに鋭くなる。
たぶん今までのはお遊び。綾のスイッチが入った。
利奈は大福と見ている。
読める。
どう動くか。
どう避けるか。
全部読める。
綾に勝った・・・
「ありえない・・ありえない・・・」
綾は手を地面についている「美月・・・」
「綾さ・・んわっ!」
抱きつかれた。
「よーやった!私の本気に勝つなんて・・本当によくやったよ」
頭をがしがし撫でられる。「すごーい映画みたいだった!」
利奈が拍手している。
なんだこれ。
こんな呆気なく・・・
勝ったのか?
夜になってタオルケットにくるまる。
「なんだろ・・両目だと・・凄いな」
銀兎は来ない。
銀兎と戦っても勝てるかも・・・・
縁側にすわってボタンを押してみる。
毎晩こうしてる。
銀兎と戦ってみたい。
でも来ないよな。
「やぁ。ワンコ君。」
「うわぁ!」
なんかいっつも背後にいる「銀兎!久しぶり!!」
銀兎に抱きつく。
「や、やめて!暑苦しいワンコ君は嫌いだ!」
僕を軽く突き飛ばした。
扇を取り出してパタパタとあおぐ。
「あっつい。ケブラーは通気性が問題だな。」
「ケブラーで作ってあるの?」
「うん。だから暑い」
銀兎の体をパフパフ触る。「他の素材も組み合わせてあるんだ。えーと・・・って胸さわんなっ!」
「・・胸無いね」
「う、うるさいっ!僕は悪魔だから必要ないんだっ!」
「こんな胸じゃ誘惑できないよ」
「う、う・・・・う・・・ばかっ!何で呼んだのっ?」腕を組んでそっぽを向いたいつもの余裕がない。
「僕と戦ってくれない?」
「・・・?なんで?」
「強くなったから銀兎に見て欲しい」
「いいけど・・・」
庭で向かい合う。
間合いはかなりある。
「・・・・」
「・・・・」
両目で見る。
瞬きをする。
消えた?どこ?
バゴッ!
腹を蹴り上げられる。
死ぬほどいたい。
「よっわ・・・」
「銀兎、強すぎ・・」
おかしいな。
読めなかった。
早すぎる。
「ワンコ君は何がしたいの?」
「いや、右目が青くなって・・両目で戦ったら強くなったから・・・」
「青くなった・・・?」
銀兎が顔を近づける。
「本当だ・・僅かだけど・・・・青い・・」
キスできる距離。
「一体・・・なんで?君は・・・っつ!」
たまらずキスした。
「んっ・・ん・・・やめっ!やめろ!」
口を離される。
「発情期のワンコ君は・・困った・・・」
僕に背を向ける。
「銀兎はあんまりキスに慣れてないね」
「だって・・君が初めてだもん。」
あの公園の時の?
でもあの感触はもっと前にもした。
「目に変化があったら呼んで・・・・すぐに行くから」「う、うん」
「僕はもう帰る」
「え、もう?久しぶりなんだしゆっくり話そうよ」
「やめとく。今少し気持ちがブレた。君といると危険だ・・・・決心が鈍る。」決心?なんでキスくらいで鈍るの?」
「じゃあね。エロワンコ君」「あ・・・」
走っていった。
凄く早く・・・
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