直感・・・・すぐにお寺に向かう。
階段をかけあがる。
息は切れない。
訓練のおかげ。
お墓は静かだ。
何も聞こえない。
パパとママのお墓の前。
銀色の女の子。
歌っていた。
美しい声。
「・・・・美空?」
振り向いた。
美空じゃなかった。
僕の知ってる妹じゃなかった。
女の子はこう言った。
「殺してあげる」
すぐに動いた。
見えなかった。
いつもの動きじゃない。
すぐに倒される。
反撃出来ない。
「一緒に消えよう」
女の子は笑った。
こいつはバケモノ。 首を絞められる。
意識が遠くなる。
「かっ・・は・・・っ・・・あ・・っ・・」
勝てない。
バケモノに殺される。
悪魔だ。
「あんたも一緒よ。あんたもバケモノ。悪魔。だから死のう。一緒に死のう。」何で分かるの?
「分かるよ。双子だから」
もう死ぬんだ・・・
ダメなんだ・・・
終わりなんだ・・・
何も・・・
出来なかった・・・
どうせなら・・美空に・・殺して欲しかったな。
僕の妹の・・・美空に・・大事な美空に・・・
バシュッ。
バケモノが倒れた。
綾さんが立っていた。
銃を持っている。 バケモノは死んだの?
気が遠くなる。
足音が近づく。
僕とバケモノを抱き締めた・・いや、僕もバケモノ?綾さんは泣いてない。
ただ抱き締めていた。
お墓の前で。
「もう無理か・・・」
綾さんは呟いた。
「全部話すよ。パパの事。君たちの事。楓さんの事。私の事・・・」
目が霞む。
月と空が見える。
僕は美月。
妹は美空。
綺麗な名前でしょ?
バケモノには勿体無い。
目の前が暗くなった。
死んだんだな。
たぶん。
死んだの。
終わったの。
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