私は5歳くらいまで孤児院で暮らしていた。
両親の事は覚えていない。私はミャンマー系とアジア系のハーフだ。
髪も銀髪だった。
両親は戦争で無くなったと聞かされている。
あの人は・・・師匠は私を見るなり引き取ると言った。いい目をしているからと言っていた気がする。
それから私は徹底的に鍛えられた。
戦闘に関する全て、戦略、世界情勢など。
そして相手の目で心を読み取る事。
師匠の名前は知らない。
ただ師匠と呼べと言われた私が初めて人を殺したのは9歳の時。紛争地帯の反政府軍のゲリラ。
顔は覚えていない。
狙撃銃で頭を撃ったら顔が無くなってあたから。
そして私が初めて犯されたのは10歳の時。
その時は中東のある人物を殺せと命じられた。
私は師匠と味方二人を連れて中東に入る。
武器類は現地で調達する予定。その頃の中東は荒れていたので空港の警備はかなり厳重だった。
私も大分修羅場を潜っていたので今回も問題ないと思っていた。
師匠は元軍人と聞かされていた、英国陸軍特殊部隊を辞めて裏の世界に入った。それしか知らない。
米軍の車両をよく見掛ける、ハンヴィーにブローニングM2を乗せている。
この頃の米軍は中東を制圧し終わっていた。
ホテルに着くと荷物を置いて窓からの景色を眺めた。「リン、ここから1キロ先を狙撃をするならどうする?」
リンとはこの頃の私名前。私は習った事を思いだしですぐに答える。
師匠の声はしわがれていた大分老け込んでいるがまだ中年くらい。
「悪くないが太陽の位置も考えろ」
「はい・・・」
スコープの逆光で位置がバレる事もある。
私は少し悔しかった。
ベッドに飛び込みゴロゴロと転がる。
「はぁ・・・師匠、私日本に行ってみたいです」
私はパックジュースを飲みながら師匠に言ってみた。「あんな国に?何も無い国だぞ」
私はニコニコ笑って答えた「何にもないから行ってみたいんです!平和そうでいいなぁって。それに日本語って綺麗なんですよ」
師匠は苦笑した。
「俺たちが必要無くなった時に行ってみろ。それまではダメだ」
私はブーと頬っぺたを膨らませる。
仕事までまだ2日。
街中を歩いてみる。
銃が届くのは明日だし買い物をしたりして時間を潰すかな。
ただ私はまだ10歳、仲間の一人を連れて街を見て歩く「おじさんこれは何?」
私は街にある物に興味がいく。
仲間の一人。この人はアメリカ人だった。
「あぁ、桃の缶詰めだな。甘くてうまいぞ」
私は甘い物に目がなかった「買っていい?食べたいよ」この人の名前はクリス忘れもしない。
「いいぞ、おじちゃんが買ってやろう」
私もまだまだ幼かった。
こんな桃缶で喜ぶなんて。夕方になりホテルに戻る。私はクリスと手を繋いで歩く。
「リンは辛くないか?こんな生活・・・」
「ううん。大丈夫」
私を見つめる目は同情の哀れむような感じだ。
「いつかきっと幸せになるんだ。だから大丈夫だよ」クリスも笑ってくれた。
「そうか・・そうなればいいな」
この頃、私には一応夢があった。
素敵なお嫁さんになって幸せな家庭を築く事。
子供は2人くらい欲しいな結婚する人は優しい人がいい。
そんな夢だった。
ホテルに戻ると師匠と仲間がチェスをしていた。
私は桃缶を食べながらそれを見ていた。
日本の缶詰めは何処でも手に入る物ではない。
だから値段もそれなりだった。
師匠は黙って考えこんで騎士の駒を動かした。
私はこの仕事の後から変わってしまったのかな・・・暗殺まであと1日。
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