北海道の札幌に到着し現地の黒猫の本部に連絡を取るホテルを手配してあるとの事だ。
私とクロスはホテルを目指す。
「運転変わろうか?」
「お前はペーパードライバーだろ?やめとけ」
私は車なんて滅多に運転しない。
ホテルに到着する。
安いビジネスホテルだ。
食料と荷物を運びこむ。
車は近くの駐車場に置いてある。
私はベットに倒れこみゴロゴロする。
「おい、メシ食おうぜ」
「その前に盗聴されてないか確認・・・・」
ホテルに入ると必ず確認する。
専用の機械で確認する。
「反応無いな。隠しカメラも無いみたいだ」
この系統の機械は一般でも売っているがそれよりもうんと高性能だ。
私は荷物から弾丸を取り出す。
一応火薬量調整済みで弾頭も特種なやつ。
ヤスリを取り出して軽く削る。
クロスはフライドチキンとハンバーガーにかぶり付きコーラを飲んでいる。
「ウマイ!やっぱりこれに限るな」
「よくそんなに食べれるね・・・私はそんなコッテリ系ムリだよ」
弾頭をゆっくり慎重に削る本当に少しずつ。
「もう調整済みだろ?」
「うん、けど念のため」
弾頭はさっきよるピカピカだ。
マガジンも掃除して油を引いて弾丸をこめてビニール袋に入れてカバンに戻す。「ふぅ、私もご飯食べよ」
袋から塩おにぎりとお茶を取り出す。
「ジャパニーズフードは味が薄いよな」
「そう?私は好きだよ」
テレビのニュースに目標の国会議員が映る。
「こいつか・・・いい男だな」
資料は全部見た。
凄く嫌な目をしている。
5.6回は殺人をしている。依頼人は恐らくこいつに怨みがある。
「抱いちゃえば?それなら狙撃しなくても殺せる」
「冗談だよ・・・」
私はおにぎりにかぶり付いてお茶を流し込む。
目標が演説をするのはあと2日ほど。
大通りの凄く目立つ場所でやるつもりらしい。
その日の天気予報は晴れだ・・・当たればいいけど。おにぎりを食べ終えると銃の点検をする。
いつも持っているベレッタPx4の掃除。
クロスはシャワーを浴びに行った。
分解して汚れを拭いて油を引いて元に戻す。
マガジンを抜いてホルスターに納める。
ジャケットを払ってさっと構える。
「速いな、ホントに・・・」クロスが裸で髪を乾かしながら褒めた。
「どうも・・・パンツくらいはいてよ」
「めんどくさい」
目のやりばに困る。
「私もシャワー浴びるから・・・」
安いホテルだけど綺麗に掃除してある。
シャワーを浴びて体を洗い流す。
「はぁ・・・ルカ・・」
ルカはどうしているかな。髪にシャンプーをつけて泡立てる。
「入るぞ・・・」
「えっ?」
クロスが入ってきた。
「ちょっと!なによ?」
「忘れ物した・・・何そんなに焦ってんだ?」
裸で入ってこられて焦らない人はいないだろ。
クロスは腕時計を忘れたようだ。
「お前って筋肉無いのによくあんな構えできるな」
「早く出てけ・・・」
クロスは私の体に触れる。「さ、触んな・・」
本当にただ興味があるだけのようだ。
いやらしい目じゃない。
「こんな体で戦ってきたんだな・・・」
「うるさいな・・・・・んっ、どこ触って・・」 背中をツーとなぞられる。「女に興味ないんでしょ?やめて・・・」
「女には興味ない。だがお前がどんな体してるのか調べたい」
後ろから腕やお腹を触れる・・・
「・・・全然筋肉無いな」
「うっさい。筋肉マニア・・・」
胸を揉まれる。
全然いやらしい事考えてない男にこんなに触れるなんて・・・
「もぉ・・だめっ」
胸を揉まれて感じてしまう「はぁっ・・ああっ」
「やっぱ紅羽は面白いやつだな」
手は下半身へ。
「ちょっ、だめ!」
「脚はそれなりに筋肉ついてる・・・」
さらっと調べるようにしか触らない。
じれったいよ・・・もっと激しく触って欲しい。 手は内股へ。
「んっ、そこは・・」
「女ってここで感じるんだろ?」
指が入ってくる・・・
「あっ、んんっ」
少し出し入れされてからすぐに抜かれる。
「もうちょっと筋肉つけろよ・・・」
「はあっ・・はぁ」
もっとして欲しい。
「もぉ・・濡れちゃったよ」「自分で処理するんだな」
クロスはそう言って出ていった。
私は泡を洗い流す。
「はぁ・・もぉ・・」
自分の体が嫌になる。
体を拭いて髪を乾かす。
パジャマを着て部屋に戻るクロスは相変わらず裸だ。「ちゃんと処理したのか?早いな」
「してないよ・・・」
私はベットに飛び込み布団に潜る。
「なんだ?不機嫌そうだな」「当たり前よ・・あんな適当に触られて・・」
クロスはテレビを見ながら爆笑した。
「ジャパニーズコメディアンは面白いな!なんだこいつ!」
聞いてないらしい。
体が疼く・・・イきたかった。
「ねぇ・・責任とってよ」
「はぁ?何の??」
「だから・・ちゃんとイカせてよ!!」
「断る。興味ない」
こいつは・・・ムカつく。クロスはテレビを見てゲラゲラ笑っている。
「お願い・・仲間でしょ?」「俺は女を抱く気はないんだが・・・」
私は布団から顔を出してクロスを見つめる。
本当に興味ないらしい。
「指でいいから・・お願い」「・・・しょうがないな」
私はパジャマとパンツを下ろす。
指が入ってくる。
「んっ・・ふぅっ!」
クチュクチュとやらしい音が鳴る。
かなり乱暴だ、すぐにイってしまいそう。
「んっ、はあぁ!!」
ビクビクと体が震える。
クロスはめんどくさそうに手を拭いてベッドに戻った「もう寝る!電気消して!!」なんだか・・・イったけどムカつく。
「そうだな、もう寝るか」
その日はそれで何もなかった。
次の日に狙撃場所を選ぶ。ビルの屋上を見て周る。
2ヶ所いい場所を見つけた。
演説のステージまで0.9キロ、古いビルだがここからなら確実だ。
もう一ヶ所はステージまで1.3キロ。
廃ビルで見通しもいい。
クロスが双眼鏡で周りを見渡す。
「ここならバレずにやれそうだな」
「うん、晴れたらここにするよ」
私は一応ビルの中を調べてまわる。
4階立でエレベーターはもちろん動かない。
一応Px4を構えて調べる。訓練のつもりで素早く制圧する。
「素晴らしいな!beautifulだ!!」
クロスは私の動きを見て大袈裟に拍手する。 「うっさいよ」
私はホルスターにPx4を納める。
もちろん誰もいない。
取り壊す予定なのかな。
警報装置も見当たらないし警備会社も来ないみたい。ホテルに戻り、現地の黒猫に報告しておく。
早めに寝よう。
私は夕食のサンドイッチを食べて布団に潜る。
携帯がなる。
ルカからメールだ。
【帰ってきたら美味しい物作ってあげますね。待ってますから】
私はクスッと笑って返信した。
「まるで恋する乙女だな」
「う、うるさい!早く寝ましょ・・・」
私は布団を被って顔を隠した。
中々寝れない・・・
ルカの顔が浮かぶ。
早く会いたい・・・帰って抱き合いたい。
翌朝、ビルで準備をする。チェイタックM200を点検して置いておく。
演説の時間は午後1時。
今は午前6時だ。
体をほぐして準備運動をする。
M200の弾丸は専用弾なのでかなり高価だ。
ビニール袋からマガジンを取り出してはめる。
ボルトはまだ引かない。
直前までチェンバーに弾丸を入れない。
いい天気だ、天気予報が当たるなんて久しぶり。
「湿度、風速・・まあまあだな。あとはコリオリを計算しとけば完璧だ」
クロスはPDAをいじって呟く。
私は狙撃銃の近くに座って時間が来るのを待つ。
クロスは双眼鏡を覗いて周囲を見渡している。
ギリギリまで警戒して異常があれば撤退する。
時間はすぐにきた。
私の心に迷いは無い。
晴天で陽は背にある。
私とクロスは配置につく。クロスはスポッター用のスコープを取り出す。
「なんとも好条件だな。ついてる」
「うん、気味が悪いくらい・・・」
腕時計で時間を確認する。後10分・・・。
ガシャッ、ジャコッ。
ボルトを引いてチェンバーに弾丸を送り込む。
なんだかその動作はエロチック。
ビルの入り口にトラップを仕掛けておいた。
こんな廃ビルに誰も来ないと思うけど。
「時間だ。やってやろうぜ」クロスと拳を合わせてスコープを覗く。
目標が見える。
M200の安全装置を解除する。今は貴方しか見えない。演説が終わるまで貴方だけを見ててあげる。
私が一番最初に貴方の最後を見る。
私は呼吸を整えてそっとトリガーに触れた。
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