いくつか任務をこなす。大量殺人犯、KCという暗殺組織の暗殺者、自分の事を師匠と呼ばせる男。
どれも何かしら犯罪をしているやつらだ。
部屋に戻ると詞葉が必ず待ってくれている。
「あ、おかえりなさい!」
「ただいま、勉強してたのか?」
「はい、やる事がなくて・・・・」
そういえばあまり外に出てないな。
まぁ外出するなら詞葉にも発信器を付けなければならなくなる。
それは避けたい。
「今度雑誌でも買ってきてやろう」
「あ、はい!未来の雑誌かぁ・・いいなぁ」
詞葉には随分と助けられた精神的に参ったら時はそばにいてくれる。
美月と美空を消してしまって後悔している時も。
俺は詞葉を娘のように可愛がった。
「あの・・おじさんの事はお父さんって呼んでもいいですか?」
「ははは・・どうした?急に?」
「私、お父さんいなくて・・・でもおじさんが嫌ならいいです」
「いや、いいよ。詞葉がそう呼びたいなら」
詞葉はニコッと笑って抱きついてきた。
「お父さん!」
可愛いな・・俺はこの子を守りたい。
しばらく休暇をとってから任務に戻る。
休暇と言ってもやる事はないがな。
俺は詞葉のために外出許可を貰い何か買ってくる事にした。
とりあえず雑誌と変わった食い物でも。
クロスワードの雑誌とカメラのカタログ。
食い物・・復刻版ホットミカンジュース、バナナサンド、カップ麺などを適当に買う。
他には何かないかな。
詞葉が喜びそうな物。
電化製品の店に行ってみる「最近見ないうちに凄い事になったな・・・」
もの凄くデカイ。
店というよりショッピングモール並。
カメラを買っていったら喜ぶかな。
店員が話しかけてくる。
「すまん、おすすめはどれかな?」
「そうですね、こちらなどがよろしいかと思います。コンパクトで扱いやすく1600万画素ありますし」
詞葉に聞いとくべきだったな。
まぁいい。
「全部貰おうか・・・」
「はい?全部ですか?」
「あぁ、この店にある全種類のカメラ」
「あ・・・ありがとうございます!」
こんな任務だ。
金は結構貰える。
軍人の時よりずっと高い。かなりの量なので監視役の黒服にも手伝ってもらう。部屋に戻る頃には腹がへってしかたなかった。
「あ、おかえりなさい!」
「ただいま。詞葉におみやげがあるぞ」
雑誌と食い物。
それとカメラの入った段ボール箱。
大きな段ボール箱が5箱ある。
「う、わ・・・なんです?」「全部カメラだ。どれ買っていいか分からなかったからな・・・」
詞葉はポカーンとしているいけない・・詞葉は外に出られないからカメラを買っても無駄か。
「詞葉、うっかりしてたカメラを買っても意味・・」詞葉は俺に抱きついてきた「お父さん嬉しい!ありがとう!」
「あ、ああ。外に出られないのにいいのか?」
「うん、いじるだけでも楽しいもん」
「そうなのか・・・」
カメラの魅力はよく分からんが。
雑誌と食い物を開いてからまた喜ぶ。
俺は様子をみるだけで幸せになる。
「おっ・・ホットミカンジュース・・・」
「復刻版と書いてあったが・・・」
詞葉は俺に一本手渡してきた。
「一緒に飲も、お父さん」
「ああ、いいよ」
一口飲んでしばらく沈黙になった。
「・・・・おいしい」
「詞葉、無理しなくていいぞ・・・・微妙だ」
詞葉はカメラを一つ一つ丁寧に触りだす。
「私・・・昔好きな人を傷付けちゃったんです。酷い事しちゃって・・」
「ふーん・・酷い事?」
もう一口飲んで思った。
たぶん一部の熱烈なファンがいるのだろう。
一般受けしなさそうだ。
「私が・・私のせいで」
詞葉は泣きそうになる。
「詞葉、言わなくていい。無理するな・・誰にでも秘密はある・・言わなくていい秘密がな」
詞葉は涙を拭いた。
「はい・・・そうですよね」うつ向いてしまった。
いくら親しくなったからと言ってもやはり他人だ。
秘密はなかなか言いにくいはず
「お父さんにもカメラの使い方教えてくれないか?趣味がなくてね」
「あ、うん!いいよ!」
夜寝るとき詞葉は俺にしがみつくように寝る。
この子を助けてよかったとしみじみ思う。
可愛い寝顔だ。
しかし・・・。
やはり思ってしまう。
あの双子を・・・。
恩人は消えたのか。
すこし調べてみよう。
※元投稿はこちら >>