秋葉原駅についた。
電車を降りて駅前にでる。噂どうりの街だ。
色んな人がいる。
「どこに行こう・・」
「うーん・・・」
予定がだいぶ狂ったのでもう秋葉原が最後のつもり。宛もなくさまよう。
ラジオ会館の前を通りすぎた時、声をかけられた。
「おーい!双子ちゃん!」
雪だ・・メイド服?
「わぁ・・雪さん・・」
美月が見とれている。
私は背中をつねった。
「いててっ・・美空・・」
「変態・・ばか・・」
雪が走って近寄ってきた。「やぁ、秋葉原に来てたんだ!」
「雪姉はどうしたの?」
私は雪の事を雪姉と呼ぶようになった。
「私はコスプレの大会に出てね・・優勝したんだ!」
「ふぇ・・優勝!」
雪はカバンから表彰状を取り出してニコニコしている「えっへん!凄いでしょ?」私と美月は拍手した。
近くの喫茶店に入る。
雪はメイド服のまま。
「美空ちゃんがコスプレしたら間違いなく優勝してたな・・・危ない危ない」
「私がコスプレ?・・いいかも」
「やってみる?美空ちゃんはゴスロリとか似合うかもね!」
美月は話についていけてない様子。
アイスの乗ったクレープが運ばれてきた。
三人で喋りながら食べる。「せっかく秋葉原に来たんだから何か記念になる物買ってけば?」
「うん、そうだね・・・何か買おうかな」
「美月もコスプレすればいいのに・・」
美月はイヤイヤと首を横に振る。
「美月くんはどんなコスが似合うかなぁ・・」
「い、いや、僕はいいよ!」雪はニヤニヤ笑う。
たぶん良からぬ事を考えてるな。
喫茶店を出てからコスプレショップに行く。
独特の空気感・・・。
私は嫌いじゃない。
「ぼ、僕は外で待ってる!」美月はダメみたいだ。
私は雪と服を選ぶ。
ゴスロリの服を着てみる。「おぉ・・美空ちゃん・・マジ凄い・・ほぇー」
「似合うかも・・・」
我ながら似合う。
ツインテールがいい具合。「雪姉、買う!」
「すみませーん!これください!」
一着お買い上げで満足した、美月に見せたらきっと喜ぶな。
外に出ると・・・美月がいない!?
「ありゃ?美月くんは?」 「美月?どこ?」
私は美月のにおいの方に向かう。
美月が女の子に囲まれてあたふたしている。
「きゃっ、可愛い!」
「ね、お茶しよ!」
「食べちゃいたい!」
美月はかなり困った顔。
「あの、僕は・・」
私は美月の手を引っ張る。そのまま駆け出して雪の所に戻る。
「ばかっ!心配させんな・・・もぅ・・」
「ご、ごめん・・・」
かなりイラッときた。
私の美月に触らないで欲しかったから。
雪はぽけーっと眺めていたようだ。
「美空ちゃん、かっこいいぜ!」
「Yes!!」
親指を立てて答える。
三人で秋葉原を巡った。
神社があった。
巫女の格好をした可愛い女の子が・・・いや・・男の子?
どっちか分からなかった。巫女さんに挨拶をしてからお参りをした。
家電量販店に行ってみたり自販機でおでん缶を買ったりしているうちに夕方。
今日はどこに泊まろうかな・・・。
「雪姉は帰るの?」
「うーん・・そうだね・・帰るかなぁ・・二人は?」そろそろ帰りたいな。
荷物も多くなったし。
「美月、帰ろう!」
「うん、そだね!」
宝物は・・見つけられたかな?
両手は買った物でいっぱい何を買ったか覚えてない。秋葉原駅に向かう。
家に着くのはかなり遅くなりそう。
「雪ちゃーん」
「あっ、まゆしぃ!」
帽子をかぶった女の子が走ってきた。
雪の知り合いかな?
後ろに白衣を着た男の人もいる。
「コスの大会で優勝したよ!まゆしぃのおかげ!」
「えっへへへー、よかったねぇー」
とっても仲良さそうだ。
白衣の男は私と美月をじろじろ見る。
「双子・・・銀の双子!まっ、まさか!貴様らは機関の手先かっ!」
「ほぇ?」
「ほぇ?機関?」
白衣の男は携帯を取り出してブツブツ喋り始めた。
「双子ちゃん、可愛いねぇー」
まゆしぃはニコニコ笑っている。
「そうでしょ!」
雪も笑っている。
「あ、ありがと」
白衣の男はまゆしぃの手を引っ張って帰ろうとした。「あぅ、オカリン。もう少し話したいよー」
「いかん!何をされるか分からんのだぞ!」
「もぉーごめんねー、オカリンは中二病だけど本当は優しいんだよ」
「まゆり・・・俺はオカリンではないし中二病ではない・・・俺は!鳳凰院・・」「あっ、バイトの時間だ!雪ちゃん、双子ちゃん、バイバイー」
まゆしぃは走って行った。白衣の男は立ち尽くしている。
微妙な空気。
「・・・・きょうま・・・だ・・」
白衣の男は背を向けて歩いていった。
「・・フゥハハハハ!」
笑って去っていった。
なんか変な人。
電車に乗る。
雪はメイド服から私服に着替えていた。
「いやぁー楽しかった!」
「美空は服買ったの?」
「うん、帰ってから見せてあげる」
雪はニヤニヤしている。
「きっと美月くんは押し倒しちゃうかなぁ・・可愛すぎて」
「えっ、僕はそんな事しないよ・・・紳士だもん!」
会話をしながら電車に揺られる。
雪は眼鏡をかけて通常モードだ。
お菓子を食べながら喋る。
数時間後。
駅に着くとママが迎えにきていた。
「おかえり!」
私と美月はママに抱きついた。
「雪ちゃんも乗ってく?」
「あ、私はちょっと友達の家に寄るんで!」
「そっか!」
雪と別れて車に乗る。
「宝物は見つかったかにゃ?」
「うん、私は見つけたよ」
「僕は・・・どうかな」
「美月・・・?」
私は不安になった。
私は宝物じゃないの?
家に帰って大福が出迎える夏だから少し暑そう。
居間にお土産を広げる。
「さて、宝物はなんだったか発表して貰おうかな」
ママはニコニコしながら言った。
「僕は・・・見つけられなかった」
「そっか・・美空は?」
私は少しうつむいた。
ショック・・私が宝物って言って欲しかった。
「私はもう宝物は見つけてたよ・・・美月だよ」
「あっ・・・」
美月はハッとした顔。
「美月は鈍いねぇー、美空はもう宝物見つけてたんだよ・・・・」
私は泣きそうになった。
「ちがう・・美空は宝物じゃない・・」
「えっ!?」
「美月・・ちょっと・・」
美月は私を見つめる。
真っ直ぐ私だけを見つめる「宝物だと誰かに取られちゃう・・美空は僕のお嫁さん・・最高のパートナー・・・僕だけの・・大切な人・・・大切な大切な・・愛する人」
ポケーッと見とれてしまう照れ隠しも忘れてしまうくらいカッコいい。
「あははっ!美月のが上手だったね!」
ママは幸せそうに笑った。「あぅ・・美月の・・ばかぁ・・・」
美月は笑ってカバンから何か取り出した。
ガザガサと箱を開ける。
「これ・・ネックレス・・2つあるから・・」
「私と美月の?」
美月は少し照れながら頷いた。
いつの間に買ったんだろ。「う、うれし・・嬉しくなんか・・・」
素直になる。
この旅で勉強した事。
もう素直にデレるしかない「嬉しいよぉ!美月大好きっ!」
美月に抱きついた。
「うん・・良かった・・」
美月は背中を擦ってくれた・・これからは素直に甘えよう。
お風呂に入ってからいつものように地下に行こうとした。
「美空っ!」
「ほぇ?」
美月が私の腕を掴んだ。
「一緒に寝るよ・・」
「ママは?」
「僕は美空と寝るの」
「でも・・・」
「いいから来い・・」
手を引かれて美月の部屋に入る。
襖を閉める。
エッチするのかな?
「おいで、美空」
美月はベッドに入って隣をパシパシ叩く。
「夏休みだけじゃない・・ずっと甘えろ・・」
「美月・・・」
「美空は僕のお嫁さん・・ねっ!」
「・・・うんっ!」
今日はエッチもしないで。普通に寄り添って寝た。
お嫁さん・・か。
双子だから結婚できないけど。
私は美月のお嫁さん。
ギュッとくっついた。
なんでこんなに美月が好きなんだろう・・・?
また新しい謎ができたけど今日はもういい。
幸せだよ・・とっても。
【オマケend】
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