電車に乗って二人並んで座る。
千葉県から関東を巡る事になった・・・。
着くのは夕方くらいかな。「美空、お菓子食べる?」
「うん、グミ食べたい」
美月は袋からイチゴのグミを取り出す。
「ほいっ!」
美月は一粒つまんで差し出す。
私は袋ごと奪った。
「なんだよー・・・」
私は窓から景色を眺める。夏休み中には帰って来いか・・・・。
ママは大丈夫かな。
私はヨーロッパでママが迎えに来た時にもう美月と近親相姦してしまうだろうと分かった。
案の定当たった。
私はママが大嫌いになった。悲しくて、美月を取られて・・悔しくて。
でもママが過去を語っている時。
私はママが見たパパの最後のイメージが・・・・頭に入り込んできた。
正直吐きたくなった。
とんでもなく残酷。
跡形もなく体がパーツがバラバラにされ。
薬品に浸けられ。
もう人間では無かった。
パパはなるべく抵抗して私たちが実験されないようにした。
ママはまだまともだ。
あんな物見て立ち直ったのは凄まじい精神力だと思う・・・・。
初めて愛した人があんな最後になるなんて。
師匠から聞いた・・施設は血だらけ、私と美月は真っ赤になって気絶。
そこまではママは何とか耐えていた。
だけどけれどパパの最後を見た瞬間、発狂して崩れ落ちて・・拳銃で死のうとした。
私と美月はすぐにいたおじさんに預けられた。
ママはベッドに縛り付けられて拘束。
暴れて暴れてパパの名前を何度も呼んで。
あらゆる物で死のうとした・・ベッドの周りには物は置かなかった。
やっと正気に戻ったけど喋らない。物も食べない。
ただパパの名前を呼んだ。
【ルカ・・・ルカ・・すぐに行くからね・・】
師匠も辛そうだった。
私は美月が利奈と仲良くしてる所を見たくらいで死にたくなった。
だから私は弱い。
全然ダメ・・。
だから銀兎になろうと思った。
私は美月の側にいたらいけない。
悪と戦って別の道に進んでママと美月を幸せにしようって思った。
私なんかが甘えちゃいけない。
ママがどうやって立ち直ったのかは知らない。
目の前に愛した人と瓜二つの人間が現れたら・・・。求めてしまうだろう。
たとえ息子でも。
あんな最後はない・・残酷すぎる。
ママの心は女の子だ。
また恋をしている。
美月に・・・。
だから私なんかは退いた方がいい。
私はママの心を理解してもうワガママも甘えるのもやめようと思った。
けどやっぱり美月が好き。あの施設で戦って。
ヨーロッパではたくさん遊んで優しくしてくれて。
そして今、私を愛してくれている。
私は分からない。
このまま甘える事はできない。
ママが・・可哀想で可哀想で・・・・。
ママは私の気持ちを分かってくれている。
だからこうやって甘えさせてくれる時間を作ってくれた。
私もママみたいに強くありたい。
落ちてもまた這い上がる心が欲しい。
線路はずっと続いてる。
分かれ道もある。
私はどうすれば・・・。
「美空、黙っちゃってどうしたの?」
「う、うん・・・なんでもない・・」
街の明かりがキラキラ光る私はもう一粒グミを噛んだ
美月は袋からサンドイッチを取り出した。
「美月・・食べ過ぎじゃない?」
「いいの!楽しいから」
私の事を想ってくれているし愛してくれている。
私は答えなければならない
もっと単純でいいのかな?考えすぎなのかな。
「サンドイッチ美味しいよ!美空も食べなよ」
「ありがと・・はむはむ・・・」
タマゴサラダだ。
とっても美味しい。
「まだサンドイッチある?」美月はクスッと笑った。
「美空もお腹減ってるんじゃん!」
「う・・・空いてるよ・・私も楽しいし・・」
「はははっ、じゃあ二人で食べよ」
「うん・・・じゃあそのハムチーズ欲しい」
「僕も食べたいな・・」
一つしかない。
美月は欲張らない。
すこし大きくちぎったサンドイッチを私に渡す。
「美空は食いしん坊だからね。僕は少しでいいよ」
「ありがとう・・・」
双子で近親相姦しても・・幸せになれるかな?
美月となら幸せになれると思う。
そうなりたい・・・。
ガタンガタンと揺れる列車、私の隣には美月。
神様・・・私のワガママを許して。
美月の肩に頭を預けた。
※元投稿はこちら >>