セーフルームで研究を続ける。
ランスの槍を改良したい。私はパソコンの前に座って考え込む。
｢飛び道具つけるかな・・うーん・・・ショットガンとか・・？｣
私は考え込んでると聴覚や嗅覚が鈍くなる。
全て思考にエネルギーを注ぐから。
てゆうか心を読むのはあんまりしたくない。
怖いから。
｢うーん。無理かなぁ・・・・うー・・んっ!｣
いきなり抱きつかれた。
美月だ。
｢美空っ!おつかれー｣
チョコバーを二本持っている。
｢う、うざいよ・・｣
｢なに？チョコバー持ってきたのに・・・｣
美月はしょぼんとする。
｢あ、ちがう!そういうのじゃなくて・・・も、もらう!ありがと・・・｣
｢ぶー!美空、素直になればいいのに｣
なれる分けない。
もっともっと甘えたいし・・・愛して欲しい。
でもやっぱり私と美月は双子。
好きになってはいけない。けれど私は好きになった。難しく考えてるのは私の方かな・・・。
｢う・・・今ランスの武器考えてるからやめて!｣
｢ふーん・・そっか｣
美月が近くのソファーに寝転がる。
私も美月を傷付けてるよ。いっぱい傷付けた。
私は気付かれないようにパソコンに集中する。
夜12時ぐらい。
私はようやくアイディアをまとめた。
パソコンを切ると美月は寝ている。
｢ははっ・・可愛い・・｣
近くにあった毛布をかけてあげる。
｢すー・・・すー・・｣
い、今なら・・キスしてもいいかな？
私も・・たまには・・自分から・・やってみたい。
顔を近づけてみたり。
でも恥ずかしくて・・。
でももう一度近づけて。
そこで私の嗅覚が奴をとらえる。
いい時に・・・・。
私は側にあったG36Cを素早く手に取る。
ホロサイト、フラッシュライト、フォアグリップ付き。マガジンを棚から取り出す。
6000発入りのドラムマガジン。
私はマガジンを取り付けてにおいのする方に向かう。田舎だから覚悟はしてた。ついに来たか・・・。
セーフルームはかなり広い、基地を利用したから。
でも私の鼻は正確。
フラッシュライトで照らす130ルーメンある。
かなり明るい。
・・・・いた!
私はすかさずトリガーを引く。
ﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟ
｢くそっ!逃げた!｣
あいつは素早いからなかなか当たらない。
しばらく銃撃戦が続く。
マガジンを撃ちきってまた別のマガジンを取り付ける
｢絶対に逃がさない!｣
見つけたら撃つ。
でも当たらない。
悔しくてイライラしてきた・・・むかつくな。
｢美空!やめろ!｣
美月が後ろに立っている。｢ヤツを倒さないと・・・この家がやられちゃう｣
美月はヤツを探す。
見つけたようだ。
素早く構えて放った。
プシュー。
ヤツは呆気なく死んだ。
｢美空・・お前は大変な事をしたんだぞ・・｣
私は周りを見た。
そこらじゅうにBB弾が転がっている。
｢ゴキブリくらい殺虫剤使えばいいじゃん｣
｢あう・・・・掃除しなきゃ・・・｣
美月は私の頭を撫でた。
｢僕もやるから・・｣
結局寝たのは2時過ぎ。
ママに見られたらげんこつだったろうな。
私はセーフルームにある部屋で寝る。
美月はたぶんママとセックスしてて・・・。
｢私だって・・したい・・｣美月を独占したいし。
私の物にしたい。
でもそれはイケナイ。
ダメなんだもん。
数日後、私は久しぶりに学校に行く気になった。
クラスに入るのは久しぶり｢あっ!美空ちゃん!!｣
｢おはよ・・りっ!｣
利奈は私に抱きついた。
なんだか私の事本当に好きみたいで。
利奈は私と美月の関係を知っている。
軽蔑はしないで優しく見守ってくれる。
｢美空ちゃーん!学校来てくれたんだ・・｣
｢利奈・・・苦しい｣
｢あっ!ごめん・・・｣
利奈は私も・・・好きだ。可愛いし。
席替えされて美月と遠くなった。
凄く寂しい。
利奈と楽しそうに話している。
｢ムーッ・・・むぅ・・｣
｢美空？なにムーってしてんの？｣
｢うーん・・何でもないもん・・・｣
留美は前の席。
よく話しかけてくれる。
｢なぁにー？なんでも聞くよ。だって美空は私の大切な部下なんだから!｣
｢部下じゃないもん・・｣
｢う・・・ううっ・・｣
留美は泣き出した。
｢あ、違う!部下だよ!｣
｢うん、ナイッス!｣
留美は意外に涙もろい。
ケンカはめっぽう強いらしいけど。
授業が始まる。
美月しか見えないよ。
そんなに楽しそうに女の子と喋るの見ると。
嫉妬しちゃいそうになる。私はノートの端をちぎって丸めてボールにする。
隠し持っていたパチンコを使って撃つ。
鉄の玉なら死ぬ。
バシッ。
スコーン。
頭に直撃。
美月は頭を抑えて周りを見る。
｢美空、ナイス!｣
留美が小声で言ってガッツポーズをする。
私も親指を立てて返事をする。
美月はまた黒板を見る。
私は留美にパチンコを貸してあげた。
留美は遊を狙った。
｢私の一撃っ!しねっ!遊!｣パシッ。
遊は難なく手でキャッチ。｢先生!バカがなんか撃ってきた!｣
｢誰だ！？｣
留美は立ち上がって叫んだ｢バカって言うな!!｣
留美と私は職員室に呼ばれた。
パチンコは没収。
もちろん説教。
解放された時にはちょうど昼休み。
｢美空!パン買ってこよー｣私は財布の中身を確認。
500円ある。
｢うん、行く｣
売店は校舎の端にある。
お昼休み前の売店は激戦区になる。
凄い人だかり。
｢美空は何食べたい？｣
｢んー。チョココロネとイチゴジャムパン｣
留美が私の肩をポンポンと叩いた。
｢任せろ部下よ!｣
留美は人だかりを割って強引に進んだ。
｢うぉーっドケドケ!｣
留美の大胆さにはいつも驚かされる。
私は少し待っている。
｢ごめん、ちょっと来てくれる？｣
振り替えると女子グループ・・・いかにもな感じ。
｢友達を待っているの｣
｢いいから来いよ｣
黙って着いていく。
体育館裏。
何時代？
女子グループに囲まれる。｢あんた調子乗ってんじゃないの？｣
｢別に・・・乗ってない｣
こんなやつら素手で殺せる｢美月くんは可愛いけどあんたはムカツク!｣
｢なによ。銀色に髪染めちゃってさ｣
｢頭いいからってムカツクのよ!!｣
こんな野次どうでもいい。｢あんたは美月くんの金魚の糞よ!もしかして美月くんを狙ってるんじゃないの？｣
｢うっそー兄貴を狙うなんてキモい!まじキモい!｣
｢双子の兄を狙うなんてキモいよ!そんな体じゃ誘っても美月くんは抱いてくれないよ。近親相姦したいのキモいキモい!｣
女子の笑い声。
いまのは痛い。
少しじゃない。
凄く痛い。
｢おいっ!｣
利奈と留美だ。
二人とも怒っている。
すごくすごく・・怒っている。
留美が利奈にパンを持たせる。
女子グループのリーダーに近づく。
利奈は私の側に駆け寄る。｢美空ちゃん大丈夫？殴られてない？｣
｢うん・・・・｣
利奈は背中をさすってくれた。
暖かい・・友情か。
留美はリーダーの女子を睨む。
｢てめぇ・・なにしてんだ？美空に何言った？｣
｢わ、私は別に何もしてないわよ｣
留美は胸ぐらを掴んだ。
｢あぁ？じゃあ何しに体育館裏に呼び出したんだ？｣
｢う、うるさいわね。先生に言うわよ!｣
留美が殴ろうとした。
｢留美!だめっ!｣
私は思わず叫んだ。
｢美空・・どうして？｣
｢私は大丈夫だから｣
｢・・・わかった｣
留美は女子グループ全員を睨んだ。
｢行こ、美空ちゃん｣
三人で並んで歩く。
留美が振り向い。
｢次はねぇぞ・・・美空に感謝しとけ｣
この時の留美はとってもかっこよかった。
クラスに戻るともうテーブルは集めてあった。
美月が待っていた。
｢おぅ、美月。またせたな｣利奈が私を美月の隣に無理矢理座らせた。
｢り、利奈!｣
｢いいからいいからー。ほれほれ。美空ちゃんはここに座るの!｣
美月が不思議そうな顔をしている。
私は顔を合わせない。
｢美空のコロネとジャムパンだよ、あとこれは私のおごり!｣
500mlのサイダー。
｢留美、ありがと・・｣
友達っていいな。
やっぱり・・・みんな私を思ってくれている。
｢良かったな美空!｣
｢う、うん・・・｣
美月は部活の会議に行っていた。
遊はまだ部室にいるらしい雑談が始まる。
私はパンを食べようと袋を開けた。
私は金魚の糞。
私は美月を好きになってはいけない。
近親相姦はきもちわるい。私はおかしい・・・。
涙が出てきた・・・。
視界が霞んで。
｢うっ・・ぐすっ・・｣
｢美空ちゃん・・やっぱり何かされたんじゃ？｣
利奈が背中をさする。
私は強くありたい。
いつもそう思っている。
でもやっぱり痛かった。
｢ごめん・・トイレ行ってくる・・｣
私はクラスを飛び出す。
止める声があった。
けどダメだった。
屋上に向かう。
一人で泣きたかったから。｢うっ・・ぐすっ・・ううっ・・・・｣
涙がとまらない。
やっぱり美月を好きなのはおかしいんだ。
｢美空・・｣
後ろに美月がいた。
｢な、なによ・・・｣
｢美空が泣いてるの久しぶりに見るな｣
｢ちょっ!｣
抱き締められた。
学校なのに。
｢何か言われたの？今・・美空の心が読めないよ｣
｢大丈夫・・｣
抱き締める力が強くなる。｢二人で墜ちるって言ったよ・・隠さないで｣
｢だから・・なんでもない｣頭を撫でられた。
｢学校だから・・・キスできないと思ってるだろ？｣私は抵抗できなかった。
抵抗しなかった。
この時は美月は私の物になるから。
もっとこうしていたい。
｢・・・っん・・美空・・お昼終わっちゃうぞ｣
｢うん・・お腹空いたし・・戻る｣
｢さ、行こっ!｣
二人で手を繋いで歩いた。見られても良かった。
家に帰ってから制服を脱ぐ冷蔵庫からコーラを取り出してコップに注ぐ。
｢僕にも一杯ちょうだい｣
美月はコップをつきだしている。
｢じ、自分で注ぎなさいよ｣私はコーラを美月に押し付けた。
私ってダメだな。
色々と・・・・。
夜になりママが帰ってきた｢ただいまぁ!｣
｢おかえり、綾｣
｢むぅ・・・｣
ママは私を見つめる。
｢どうしたの美空！元気ないね｣
｢何でもないよ・・・｣
｢そっか・・・｣
ママは台所に行ってご飯を作ら始めた。
｢美空・・・？｣
｢見ないで・・・｣
夕食ができて私は煮物をつつく。
やっぱり美味しい。
｢もうすぐ夏休みね｣
ママが呟く。
｢また暑くなるのかぁ｣
美月は嫌そうな顔。
増田を倒してからもう数ヵ月たった。
ママはパンッと手を合わせた。
｢そうだ!二人共!!｣
美月と私はママを見つめる｢二人で旅に出なさい!大切な宝物を見つけるまで帰って来ちゃだめ!｣
｢ふぇ？｣
｢ふぁ！？｣
ママの目は本気。
二人旅って・・。
宝物？。
どうなるの？。
旅の支度が始まる｡
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