朝が来た。
リビングで寝ていた。久々のアルコールも手伝ってか、ソファーベッドでもぐっすり眠れた。カーテンから朝日が差し込んでいた。
「おはよう」
返事は期待していなかったが、ピクッと動いた。少し位置がずれているのは、もがいた結果かな?
バイブは、若干元気がなくなっているが、まだゆっくりと動いていた。6時間も動けるのか。すごいな。
昨夜止まったのが23時頃。帰宅したのは、18時頃。ということは、少なくとも17時くらいには入れられていたのか?いや、それより前か?
つまり、私が帰宅する寸前まで、「飼い主」はこの家にいたのかな?
ツンとする異臭がする。小便の匂いだ。
「もらしたのか?」
玄関に、水溜まりができている。
私のサンダルにまで・・・。いや、もう昨日の汚物まみれになっているから、履く気はなかったんだが。
無性に腹が立った。
猿轡をといてやる。
「おはよう」
口が硬直したのか、開けたりしめたりしている。
足で踏み付ける。
ゆっくりと体重を乗せる。
「あ、あ、あぁーっ・・・。」
「おはよう」
「お、おはようごがいまぅーっ!」
口が醜くゆがんで、まともにしゃべれてない。
「俺、サンダル履けなくなっちゃったんだけど」
「も、もうしわけぇー・・・。いたぃーっ」
「玄関、汚いよ。掃除する?」
「しますっ!なんでもしますっ!」
頭から足をはなす。
台所から、はさみをもってきて手足を解放してやる。
「1時間やる。きれいにしろ。」
そう言い、寝室にいく。
クローゼットから、妻の服を何着か持っていく。
「それ、使いなよ。」
「ありがとう・・・。」
「誰が着ろって?」
「え・・・?」
「床や玄関が汚れてるだろ?誰が汚したんだ?それ使ってきれいにするんだよ。」
「そんな!」
「服の形しているから悪いんだな」
私は、目の前ではさみをつかい、服を裁断していった。
「ほら、使いやすくなったぞ。もう、あと50分しかないぞ」
絶句する妻をおいて、リビングに戻る。
目玉焼きとベーコンを焼いて、トーストをチンする。
朝のニュースを見る。
日本は相変わらず平和だ。やれ、横綱が悪さをしただの、政治家が汚いだの、近所付き合いが発展して殺人になっただの・・・。
俺のほうが、よっぽど大変だっつーの。
妻にクソを頭からかけられ、裏切られ、妻が妻でなくなり、私は壊される。
なんなんだよ。
俺が一体なにしたんだよ。
無性に腹が立った。
背後に、気配を感じて振り向くと、便器が立っていた。
「お、おわりました。」
「近寄るんじゃねーよ!くさいんだよ!さっさと風呂入ってこい!」
「ひぃっ!」
意味もなく怒鳴り上げてしまった。思えば、結婚して初めて怒鳴り散らしたな。
快感。
玄関をチェックしにいく。ニオイはともかく、汚物はきれいになくなっていた。あとで消臭剤でもまけば、どうにかなるだろう。
服は、ゴミ袋に入っていた。もう、必要ないというか、使えないしな。
風呂場の前には、股にしてあった縄とバイブが揃えておいてあった。
風呂場をあける。
以前なら、「勝手に開けないでよ!」と言われてた。
「おい、こいつも洗ってやれよ。おまえの相手なんだから。」
バイブを放り込む。必死で落書きを消していた便器の腹にあたった。
「それと、下の毛を剃っとけ。1本でも残ってたら、全部抜かせるぞ」
それだけ言ってドアを閉める。
リビングに戻り、昨日までの出張の報告書をまとめる。
出張してたあいだの洗濯物を洗濯機に入れる。乾燥までしてくれるから、たいしたもんだ。
寝室にいき、着替える。忌々しいベットには、できるだけ触りたくもない。
ここで、妻は犬の性欲処理肉便器になり、私のペニスを罵倒したのだ。
「旦那のより気持ちいい!」と。
もしかしたら、そこらへんについているシミは、犬の精液かもしれない。または、調教師のものか?
普段着に着替えると、リビングにいく。
床に、全裸の便器が土下座している。
「ごめんなさい、私が悪かったんです」
「あおむけになって股を開け」
「はい・・・。」
「俺は、全部剃れといったよな」
「・・・。」
局部に、特に尻穴のまわりに、何本か生えている。
局部を、つまさきで踏む。
「ごめんなさいぃぃやめてぇっ」
「全部、剃れっていったよな」
「はいぃぃっ!す、すぐに剃りますっ!」
じわじわと、穴に沈み込んでいく。
「ごめんなさい!ぬきます!ぬきますぅぅっ!」
足をあげて、穴から抜く。指先に、ぬるっとした感触が。
「きたない。」
「え・・・。」
「きたならしい。汁がついた。」
そのまま歩くと、便器の顔までいき、ためらわず、口に突っ込んだ。
「汚しやがって」
「うごっ!がふけっ!あがっ!」
ふと気付いた。口に入れても汚れる。
「がはぁっ・・・。がっ・・・。げほっ・・・。」
便器から足を抜いて、寝室にいき、また妻の服を持ってきた。
俺が愛した妻の服だ。
しかし、その妻はもう、いない。
いないなら、不要だ。
リビングに1着ひろげ、足を拭く。
「お前には服はいらないよな。」
「ひどい・・・。」
何かが私のなかで弾けた。
「なにが、ひどい、だ!俺は一体なんなんだよ!わけのわからない男に妻を盗まれ、犬に負け、プライドは引き裂かれ、クソまみれにされた、俺のほうがひどいじゃないか!」
出張から帰宅してからの一連の出来事が、私のなかをかけめぐり、沸騰させた。
「便器から言われる覚えは、ない!」
そう言うと、髪の毛をつかみ、引きずるようにベランダに追い出した。
鍵をかけた。
うちのマンションは、5階。ベランダは、一部分をのぞいて鉄柵になっている。近所の市営団地も、同じ高さにあり、通路からは丸見えだ。距離にして50メートルか。
うずくまり、体を隠そうとする便器の姿は、あわれなものだ。
浴室からバイブを持ってきてやった。
「淋しいだろ。俺はやさしいからな。」
食パン2枚と一緒に、床に放り投げた。
「俺、出かけるから。」
そう言って、普段着と、汚染をまぬがれた運動靴をはいて、出かけた。
今日はいい天気だ。
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