俺は、何をしているんだろう。
深夜の浴室で、性器のまわりの毛を剃り落とした。
あの頃のまま、1本も生えてない、かわいらしい性器になった。
もともと薄く、あまり縮れてもいない毛だったが、いざなくなると淋しい感じもして滑稽だ。
毛に隠れるようにしてついていたペニスは、いくらかその存在感をアピールするようにはなったものの、やはり小型で皮をかぶっている。
あの頃と違うことといったら、幾分黒ずみ、玉が大きくなったくらいか?
何よりも違うのは、このペニスを扱う目的が、いじめられるという歪んだ理由から、愛されて扱われるということに変わったことだろうか。
そして今は、愛してもらう相手を見失った状態。
皮をむいてみる。赤黒い亀頭が顔を出す。尿道口から下あたりまでは、むける。しかし、それより下に皮をむくのは、痛みをともなう。勃起してなければ、カリがみえるところまではなんとか。
しかし、その状態で勃起してしまうと、まるで首をしめられたように亀頭が鬱血し青紫になり、激しく痛む。
情けない。こんなものが、性器といえるのか?性行為もまともにできずに?妻を喜ばせることもできずに?
しかし、妻はこんなペニスでさえ愛してくれた。
歓喜の声さえあげてくれた。
知ってるよ。そんなに奥まで入ってないって。
指を入れたとき、あのときは本気で感じていたね。
クリを吸ったとき、体がはねるくらい気持ち良かったんだね。
でも、ペニスを入れているとき、そんな顔をしたことはなかったね。
俺が勝手に腰をふって、勝手に気持ち良くなって、、、
勝手に精液を撒き散らして。
実を言うと、君が隠してたバイブのコレクション、知ってたんだ。
最初に10センチのバイブを買ったね。俺と同じサイズ。
俺名義で買ったんだろ。そりゃ、ばれちゃうよ。夜中に巡回してたアダルトサイトから、送りましたよーってメールが来てたんだから。
でも、だんだん伸びていくバイブの長さに、いつしか俺は取り残されて。
手錠なんかを買ったときには、もう聞くタイミングを完全に逃したと判断したよ。
でも、そこに男の影は一切なかった。
バイブで自分を満足させてた。
そう、俺じゃ満足させることなんて無理だから。
わかってたよ。
でも、安心してた。まだ愛してもらってるから。
1年前、いきなり拒否されたね。疲れてたからって。初めてだった。
そのまま出張に行ったよ。淋しくて、実は出張先で君の写真で毎晩オナニーした。
それからだったね。二人でしなくなったのは。だけど、俺は、少なくとも俺は、君とやっていた。
愛していた。
バイブのとりこになった君を、自分のせいにしてた。だから、バイブには嫉妬なんかしない。
だが、他の男に盗まれ、ホームレスに好きなように遊ばれ、ましてや、犬にまで負けた俺は。
寝室に入った。妻が隠しているつもりだったタンスの奥のバイブのコレクションを見る。
赤黒い、初めて見るバイブがある。
購入通知メールは、きていなかった。
比べてみた。少し勃起させて。全然足りない。完全に勃起させた。皮が突っ張る。
全然足りない。長さも、太さも。
一旦、ゆるめた。萎えたところで、完全にむいてみた。そこから、しごきあげた。
痛い。亀頭が色が変わる・・・。痛いよ。
ベットの飾り棚にある、結婚式のときの写真から、妻が見ている。
もう、これ以上は無理だ、大きくなんかならない。
バイブと並べてみる。
まったく、大人と子供が張り合っているようなものだ。おまけに、ツルツルだ。
もっと、もっと、、、がんばって・・・。妻の声が聞こえる。
びゅっ びゅびゅっ
出てしまった。
首を絞められた状態の亀頭から、勢いをまして射精した結果、妻の写真にまで飛んでいった。
萎えて、首の辺りの締まりもなくなったペニスが、だらんとして、鈴口からダラダラと精液が出ている。出るに出られず、竿部分にたまっていたぶんだ。
足元にシミをつくる・・・。
バイブに勝とうなんて、何考えてるんだ・・・。無理に決まってるじゃないか。
肩で息をしながら、絶対的な敗北感を味わう。
俺の負け。
そう、たぶん、妻も負けたんだ。
リビングにいく。
便器が寝息をたてて寝ている。
全裸に毛布をかぶっただけ。
そして俺も、その便器の横に、全裸で毛布にもぐりこむ。
あったかい。
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