日が完全に落ちた。
「便器」と、2時間くらいしゃべった。
しゃべった、なんて書くと、私の気が触れたように感じるかもしれないな。便器と会話できる人間なんていないからな。
ただ、一方的に語り掛けた。
どっちも同じか。便器に語り掛けるなんて、イカレてる。
守ってもらうルール。
身分の違い。
便器としての自覚。
しつけ。
最後に、嫌なら出ていく自由を与えた。
簡単なこと。私には絶対服従の、生きている性欲処理専用肉便器であれ、ということだ。
もはや、妻ではない。
しかし、生きているかぎり、死ぬ自由だけは与えるべきだ。ただ、この部屋で死なれては困るので、あえて、出ていく自由を与えた。ただし、帰ってきてはいけない。
便器は、ただうなずくだけだった。
水皿から、水を飲む便器を見下ろしながら、晩飯のことも考えた。
ピチャピチャと音を立てながら水を飲む。
めんどくさくなり、近くのファミレスにいくことにした。
さて、便器にふさわしい服はないものか。
まさか、妻の服は貸せない。
とりあえず、俺のロングコートを貸してやることにした。フードまでつけてやる。
きさせてみると、膝下までの長さがあった。
首輪は、したまま。股縄とバイブを装着して、外出の服装だ。
目立たないようにフードをかぶせる。犬用の首輪は、やはり目立つ。
しかし、自覚を促すために、つけさせなければならない。靴は、妻のお古の運動靴をめぐんでやった。
エレベーターにのり、エントランスへ出る。
ふと、掲示板が目についた。
「マンションでのペット飼育を禁じます。」
どこかでみたポップな字のしたに、どこかの公園で撮影したと見られるペットの写真が写っている。
飼い主から見た視点だが、写っているのは、どうやらこの便器みたいだ。
四つんばいで、アナルとマ○コにバイブを入れて、首輪をされ、リードがのびている。
ケツのほうから撮影しているから、背中と後頭部しか見えないが、昼間っからこんな破廉恥行為をするやつは、こいつしかいまい。
「ほら、みろよ。お前、一気に有名人だな。昼前に帰ってきたときは、こんなのなかったが。あー、そういえば、運動公園の公衆トイレにも似たようなのを貼ってあったな。これだ。」
ポケットから取出し、見せる。
どんどん顔が青ざめる。
「お前だろ?」
静かに、うなずく。
広告を、ひっぺがす。
「どうする?街中に貼られてたら。」
便器の顔が、くしゃくしゃになる。
「いくぞ。腹が減った。」
足が震えてやがる。
「さっさとこないなら、コートを脱がすぞ。」
あわててついてくる。しかし、一定の距離をおいて。
歩きにくそうだ。そりゃそうだ。股間に、あんな巨大なものを挿入されたままじゃ。
あるくたびに、クリトリスがつぶれるんだろ。
こりゃ、ファミレスに到着する前にイッちゃうかな?
「どうする?コンビニですますか?」
つい、優しくなってしまう。
ゆっくり、うなずく。
コンビニのまえについてから、目立たない暗いところにつれていき、リードを首輪につないでから、ポールにつなぐ。
「ペットは無理って書いてあるから、たぶん便器も入れないよな。」
ものすごく不安そうな顔をする。
「心配するなって。スイッチは入れていってやるからな」
ぶぶぶぶぶぶぶ・・・。くぐもった音が聞こえてくる。
「あっ、あっ、あっ・・・。」
敏感な場所にあたるのか、声が漏れる。
「声出すなよ。ばれちゃうぞ?」
コンビニに入っていく。
明日の朝飯のパンも買う。週刊誌を立ち読みし、適当な弁当を買う。
15分たったかな。
会計をして店を出る。
便器をつないであった場所に行くと、しゃがみこんでいた。スイッチを切っていたのだ。
「どうした?」
「声が、でちゃうの。」
「誰がしゃべれと?ましてや、スイッチを切っていいと?」
顔が青ざめる。急いでスイッチを入れたらしい。あわてすぎて、MAXまでスイッチをいれたのか。
ビィィィィィィィン・・・。甲高い音が響き、
「あっ、あひいっっっ」
と一際高く泣く。
リードをはなし、そのまま付いてこいと命じる。
バイブの音をさせ、腰を振りながらついてくる便器。無視して、早歩きになる。
一緒に見られたくない。俺まで恥ずかしいじゃないか。
マンションにつく。エントランスで待っていると、5分ほど遅れて、追い付いた。
「罰を、与えなきゃな。」
エレベーターの前でコートをはぎとる。
全裸でバイブをはめた、股縄下着の変態体便器があらわれた。
「階段使って帰ってこい。」
エレベーターに乗り、ドアを閉める。情けない顔をして、便器が泣いていた。
家に帰り、冷蔵庫に買ってきたものをなおしていると、玄関があいて帰ってきた。
肩で息をしている。走ったのか?
涙のあとが見える。
バイブは、元気に動いていた。
優しくキスをした。
スイッチをとめてやり、首輪をはずしてリビングにつれていった。
餌皿に買ってきたラザニアをチンしていれてやる。味噌汁も水皿にいれてやる。
俺は、その側にテーブルを持っていき、一緒に食べた。
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