教室に戻ると早速川瀬氏と田村氏が私に耳打ちしてきた。
「君が余計なこと言うから大事なとこが見えなくなっちゃったじゃないの。」
「あぁ…これが写真教室だったらさっきバッチリ撮れてたのになー。」
そんな彼らに合わせるように適当に応えた。
「まぁそうですが、ああなっちゃうと帰られてもあれじゃないですか。ほら、彼女落ち着いたみたいですよ。」
「ああ、うん。そりゃ確かにな。しかしあの梨果ちゃんの身体が見れるとはねぇー。」
泣き止みバスローブ姿で携帯電話をいじっている梨果に講師は
「じゃあはじめましょうか。今度は座って下はこれを掛けなさい。」
とストールのようなものを手渡した。梨果は無言で父親に目を合わさずそれを受け取ると腰に巻き付け、大きく深呼吸をするとバスローブの帯を解いて脱いだ。可愛らしい乳房が再び露になる。やはり梨果の乳房は空間の空気を一変させる。時間がたち下着のワイヤーの跡は綺麗に消えていた。すぐにペニスが反応を始めた。そしてバスローブをスルッと抜き下腹部は見えないままストールによって隠された。そのまま舞台に乗り膝掛けのように下半身を隠した。うまいものだ。だが指摘をうけ、太股から尻、更にウエストまでのラインは裸婦デッサンの要ということで、あくまで性器を隠すだけとなった。梨果も慣れたのか、きちんとモデルの仕事をこなし、時間が経ち窓から差し込んできた西日に照らされ、肌の産毛を光らせていた。誰も口を開く者もなくなり蝉の声だけが耳に入る。私もデッサンに集中し、少女の裸身のラインをなぞるように描く。皆も一心に描いているようだが、途中席を外して数分戻らない者が続出した。これは以前から皆の暗黙の了解で、我慢できない者はトイレで性欲を処理をして再び集中するのだ。この日はほとんどの生徒が順々に席を外した。この件は梨果は恐らく知らないが、無論講師は知っている。教室を出る者を毎回複雑な視線で見送るのが印象深い。そのせいでもあるが時々不思議と梨果と目が合い、目が合うと梨果は目をそらして手で髪を耳にかける仕草を繰り返していた。そんなこともあり、とうとう終業まで席を外すことができなかった。
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