その夜、俺は母と少しだけ距離を開けた。
キヨシとした後の母を抱く気にはなれない。
それにしても、何時から母はキヨシとそうなったのだろうか?
俺はその事を考えていた。
満子の言う様に、あのスワップが引き金になった事は間違いない様だ。
あの帰り道、母にその事を尋ねた時、母は口を濁した。
それはこう言う事だったのか。
女の身体は、男には理解できないと言う事なのだろうか?
問題はこれからの事だ。
今のところ、まだキヨシは俺と満子の関係を知られてはいないが、俺が母に
その事を正せば、母の口からキヨシに伝わる危険性は十分にある。
と言う事は、母にキヨシとの事を正す事が出来ないと言う事なのか。
母とキヨシの関係を知りながらも、平静を装うしかない。
満子の言う様に、そのうさを満子の身体で晴らすしかないのかもしれない。
俺はそう思った。
タクローがキヨシと偶然ホテルで遭遇したその夜、満子は有る人物と電話で
話をしていた。
満子がその人物と逢ったのは2度だ。
最初は産婦人科の病院だった。
そこでチョッとした事件が有った。
その事件が切掛けで、満子はその人物と知り合った。
そして20年ぶりに、思いがけない場所でその人物と再会した。
そして、その再会の中で、二人によってある事が話し合われた。
その事を彼等は知らない。
「私・・満子よ、どうやら上手くいったみたい。
彼、可哀そうな位に困っていたわよ。
でも、これで少しは私達の気持が判ってくれたかもしれないわね。
それにしても、まさかあんな場所で貴女と再会するとは思わなかったわ。
あの子達が私達で楽しむと言うのなら、私達だってあの子達で楽しまないと
ね。
まさかあの時、私達がこんな話していたなんて、あの子達全然気が付いてい
ないみたいよ。
これで、お互いにやっと本当の息子と出来るわね。
生まれた子供は・・又交換しましょう?
あの時と同じ様に・・。」
(終)
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