作者よりのあとがき
この様な中途半端な終わり方に、賛否両論がある事を作者の良く理解してお
ります。
しかしながら、作者は良くこの様な終わり方を好んで使用させて頂いており
ます。
小説とは、作者から読み手側に投げられたボールの様なものです。
投げられたボールは、その読み手の頭の中で、作者が考えている以上に膨ら
んで行きます。
母は痩せているのか、太っているのか・・、柴田とはどんな男なのか?
麗華はどんな経緯で蜂矢のもとで働く様になったのか・・?
様々な事柄を読み手側がそれぞれイメージしていきます。勿論、それらの事
を、一つ一つ補足説明して行く描き方もあります。
「ぎらぎらと脂ぎり、太った体型の柴田は・・」
等などです。
作者は面倒がりなのか・・その様な描き方が正直苦手です。
ですから大雑把な人物描写を使用するのですが、
同じ様に、終わり方もその様に、読み手側が自由にその先を膨らませる事が
出来る様にしているつもりです。
作者は、必ずしも由紀子が悲劇的な運命をたどったとは考えておりません。
(妻をこんな風に追い込んでしまったのは、それまでの間に気づいてやれな
かった夫としての自分の責任だ・・彼はその様に思った。)
と書けば・・二人の未来は決して暗いものではなくなります。
あえてそれを書かずに、読者側にそれを投げかけさせて頂きました。
考えて見て下さい?
現実は如何でしょうか?
例えば、今は目出度し目出度しで終わったとしても、その先は如何でしょう
か?
結婚生活を最後まで続ける事がどんなに大変な事か・・、それは結婚してい
る方なら良くご存じだと思います。
この夫婦二人にも、これだけではなく、同じような夫婦間の問題はこれから
も続くのです。
この件で、終わりになる二人ならそれまでの夫婦でしょう。
しかし、この障害を乗り越えれば、更に強い絆を持つ夫婦に生まれ変わるで
しょう。
それは全て、読み手側の自由です。その様に御理解して頂ければ、「影法
師」の小説の一端をお判り頂けるのではないかと思います。
次回作は現在執筆中です。
どんな終わり方にするかは模索中ですが、それなりの結論を出す事も考えて
いきたいとは思います。
最後では有りますが、多くの方に読んで頂きました事をこの場を借りてお礼
申し上げます。
<影法師>
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