由紀子は家にいても、落ち着かない日々を送った。
その原因は、間違いなく柴田の存在にあった。
蜂矢や麗華なら、直接由紀子の家庭を脅かす心配は無かった。
しかし、柴田は違った。
柴田は由紀子の弱みを完全に握っている。
彼女がハーレムでコンパニオンとして働いている事、それと、由紀子の一番
の弱みは強姦ショーに出演していた事だ。それをネタに由紀子を強請って来
るであろう事は容易に想像できた。しかもその男に、事もあろうに、由紀子
は何度も犯され、そして逝かされた。
もはや、由紀子にとって致命的な状況であった。
柴田が何時、由紀子に対し牙を剥いてくるか・・それが心配でならなかっ
た。
「その事は、今度一度ユックリ、二人だけで相談しましょう。」
それがどんな意味なのか、大の大人である由紀子に判らない事では無かっ
た。
柴田から連絡が来たのは、それから間もなくだった。
「もしもし・・奥さん? 私です、柴田ですよ。」
牙を隠した穏やかな物言いだ。
「先日は楽しい時間をどうも・・。」
柴田はそう言って先ずは牽制球を投げて来た。
由紀子はどう応えていいか判らずに、しばし応える事が出来ず、
「おや、返事無しですか? あまりに冷たい仕打ちでは無いですか?
満更知らない仲じゃ無いでしょうよ・・?」
含みを持たせた言い回しで、柴田がその事をほのめかした。
「どんな御用ですか?」
「先日約束した事に決まっているでしょう・・。如何ですか、今後の事をジ
ックリとお話しませんか?」
柴田がいよいよ牙を剥いて来た。
由紀子は彼が強請って来る事を確信した。
「何処へ行けばいいのですか?」
拒否出来る事で無いのは確かだ。彼の要求を飲むか、拒否して、全てを白日
のもとに晒すか・・のどちらかを選ぶしかない。由紀子が、全てを打ち明け
るにはもはや時間が経ち過ぎていた。
浮気が原因で、ヤクザに脅されて強姦ショーに出演させられ、大勢の前で犯
されると言う恥辱を受けた。更に薬まで教え込まれた。
その薬を得る為、今度はコンパニオンと言う仕事に託けた売春をする羽目
に。
ここまで事態が進んでは、もはや夫に対しいい訳も出来ない。
嘘の上に更に嘘を重ねて行くしか、由紀子に道は無かった。
「駅の反対口に車を回すから・・今から一時間後だ。」
「判りました、一時間後ですね。」
由紀子は指定された所に出向く覚悟をしていた。
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