「アン、剣兄ぃのイジワル…」
残念そうに口を尖らせる桜。全く…変に色気づきやがって…。[それとも…]の先は考えない方が良いだろう。
『・・・1回抜いとくか…』
どうにも治まりのつかない愚息を眺め、俺はそう呟いた。どのみちこの状態で家に入ったらまた楓の○○乱舞を喰らいそうだし…。
カチャカチャカチャ…
今俺は空いた時間を利用して持ってきたノーパソで情報収集をしている。何せテレビすらロクに無いというこの島は改めて本当に日本なのかと疑いたくなる。下手をすれば50年は文明が遅れているのでは無いだろうか?電話も村役場兼駐在所に1器あるだけで黒電話じゃなかっただけでもマシだった。
勿論携帯電話なんて必要無いから電波も届かない。少々割高だが衛星回線が使える端末を持ってきて良かったと思う。
『…日本神話で類似しているのは[蛭子神]と[淡島神]か…葦舟って事は[蛭子神]の方が有力か…』
蛭子神が産まれた理由、それは女神から声をかけて行為に及んだという手順が間違っていたから…。これは聖書のアダムとリリスの話にも類似する気がする。全く男に都合よく書かれているというか、こんな姑息な手を使わねばならぬ程どれだけ昔から立場弱いんだよ男って…。
まぁ、人権問題はさておき、蛭子神は祟り処か流れ着いた後の話さえ見当たらない。同じ不具な淡島神なら婦人病を患っていて…などの話は有る。案外混同されているのかもしれない…。ポイントはルールを破って性行為をした為に不具な子供が出来たという事か…回避するにはやはり俺から行くしか無いようだ。
出来れば楓からは避けたいよな…アイツの性格からしてボコボコにされかね無いし、後々響きそうだ。だが椿姫さんは「今夜、お待ちしてますネ」なんて言われているから神話通り、間違った手順を踏む事になるし、桜は従姉妹で年下だから気が退けるんだよな。何処まで理解出来てるか疑わしいし…ハァ…。
結局これといった情報も入手出来ぬまま夜を迎え、悩み抜いた結果、一人の候補者の閨へと赴いた。
「…で、結局私の所へ来たと?」
呆れ顔で俺を見下す楓…。
『これでも一大決心で来たんだからそう言うなよ。コクるより恥ずかしいんだからな』
「ぁ~あ、どうせならもう少しロマンティックな申し出を期待してたんだけど、剣人じゃ期待するだけ無駄か…」
『バ…相手が誰でも良いならお前なんか選ぶかよ!楓だから来たんだぞ』
互いに姿勢を正した状態で、しかも蒲団の上で正座したままの痴話喧嘩、何この構図…。大体小さい頃からお互いを知り尽くした幼馴染みっていうだけでも甘い雰囲気は作り辛いし、気恥ずかしい。楓も同じなんだろう、顔を真っ赤にして横向いてる。
「な…何かイマイチ褒められてる気がしないけど、剣人がどうしても…っていうなら相手してあげても良いわよ。い…言っとくけど、神事だから仕方無くだからね、勘違いしないでよ…」
ツンデレか…コイツ?
『…楓』
肩を抱くとビクッと震える。強がっていてもやはり怖いのかもしれない。
「そ…その代わり優しくしてよね。初めてなんだから…」
いや、処女なのは神事の内容を椿姫さんに聞いてるから判断出来ている。ってか、コイツこんなに可愛かったか?そんな楓に俺はこう答えた。
『ヤダ!』
「…エッ!?」
『楓には昔から色々と虐められたからなぁ~、思いっきり恥ずかしい格好で、思いっきり痛くしてやる!』
ちょっと楓の表情が蒼褪める。ウワッ、俺の中で何か目覚めそう。
「じゃ…じゃあ絶対ヤダ!剣人なんかとしない。は…放せバカァ!痴漢ッ、変態ッ!強姦魔ッ!!」
駄々っ子の様に暴れる楓を組み伏せ無理矢理口を塞ぐ。
「ン!?ン~!フン…ンン…ン…」
『うそ…優しくするよ』
やがて大人しくなった楓は甘い吐息を交ぜながら俺と舌を絡ませ、少し脅えながらも俺を受け入れた。
全てが終わった後、俺達は互いを慈しみあう様に抱き合い朝を迎えた。
・・・・
チュン…チュンチュン…
窓の向こうから小鳥の声が聴こえる。どうやらあの後、眠ってしまったらしい。
部屋には楓の姿は無く、モーニング・キスも寝ぼけた顔を見る事も出来なかったのは少し残念だった。
(可愛かったなぁ…楓…)
俺の腕の中で小さく震え、漏れる喘ぎ声を必死に抑える姿を思い出す。
『・・・』
ウキャキャーと転げ廻る姿は他人から見ればきっと異常者に違いない。そんな幸せボケもシーツに残った赤い破瓜の証を見た瞬間、スッと褪めた。
(もう後戻りは出来ないな…)
俺は自身の責任と使命を自覚し、表へ出た。
『結構落ちるもんだな…』
他の二人に気付かれないようにシーツを持ち出し、井戸の側で洗っている。中性洗剤をつけて揉み洗いすると綺麗になっていった。
パンパン
『これでヨシ!と』
たった1枚のシーツを洗っただけなのに達成感を感じていると向こうから妙に内股で歩いて来る楓を見付けた。
『お…お早う、かえふぇ…って、ひふぁひ!ひふぁひって!』
俯いたままいきなり両頬を思いっきり抓られた。
「……嘘つき」
『…ふぁひ?』
朝一から何ですか、楓さん?
「痛かった…物凄ーく痛かった!もう死んじゃうかと思ったんだからねッ!」
あ…、昨晩の事ですか?どうやら楓が想像していたよりかなり痛かったらしい。仕方無いっしょ、貴女は初めてだったんだから。
涙を貯めた上目遣いで責めて来る。
(か…可愛い…)
「朝になっても腰は痛いし、脚の間にはまだ何か挟まってるみたいな感じするし…」
ああ、それで変な歩き方してたんだ。
堪らなくて楓をギュッと抱きしめると髪からイイ匂いがする。お風呂に入ってたのか…。
『ごめんな…』
「…ッ!?///」
朝って事もあり、楓の甘い香りに惑わされて一部が元気になってしまった。思わず片手が腰の辺りに…。
「謝りながら朝からサカってんじゃ無いわよ!私とはもう済んだんだから、さっさと他の二人の所に行きなさいよ~!」
ドゴーーン!!
背景に宇宙だか星座だかが見える様な勢いでブン殴られてしまった。照れ隠しなのは解るけど、その不器用さは何とかしろーッ!
結局俺は山の中腹まで飛ばされてしまい、野草を採りに来ていた椿姫さんに出くわしてしまった。
『やぁ、お早うございます椿姫さん』
木に引っ掛かったまま逆さまの状態での挨拶って結構シュールだな。
「お早う、剣君。変わったお散歩ね…」
流石に楓に吹っ飛ばされたとは言えないので笑って誤魔化した。
「ところで、昨夜は来てくださいませんでしたね、お待ちしてましたのに」
マズい…昨日は楓の所に居たのがバレてる。誘われていなかったら間違いなく椿姫さんを選んでたと思うんだけど、出来るだけ神話には準えたくないからな…。
『ホ…ホラ、来ると分かっているとドキドキ感が足りないっていうか…せっかくだから夜這いってのも良いかなーーッ!?』
ドシャッ!
ワタワタと言い訳してると木から落ちて背中を打ってしまった。
「大丈夫ですか?」
『イテテテ…ハイ、大丈ぶーッ!?』
「ハイ?」
心配そうに覗き込む椿姫さん。ってか、見えてます、ピンクのレースの紐パン。編み目の隙間から薄っら黒いヘアーとプクッと盛り上がった柔らかく美味しそうな肉丘…。
イ…イイよな…?日付も変わってるし、まだ誘惑されてないし。
『椿姫さんッ!』
「キャッ!?」
袴の中のお尻に手を伸ばしてグッと引き寄せると、バランスを崩した椿姫さんが前のめりになって丁度69の体制になった。
「もう…相変わらず悪戯っ子ですねぇ…」
ガキの頃のスカート捲りと今の状況とが椿姫さんの中では同列なのか?
プニ…プニプニ…
「あン…駄目ですよ、ちゃんとお家に帰っ…てか…ンン…」
無理です、待てません。さっきの楓との余韻も有り、制御不能です。
微かに形作られる縦筋を指で押すとジワリと染みが拡がっていく。袴で遮られた空間はむせ返る程に椿姫さんの香りで充満し、俺の理性を根こそぎ奪っていく。
「け…剣君…私…もう…」
豊かな乳房を露わにし、結び目を解かれたショーツはダラリと揺れている。捲り上げられた袴は白いお尻を隠せず、ピッタリと閉じられていた女陰は物欲しげに涎を垂らしている。
『いきますよ、椿姫さん』
木の幹に身体を預けて袴の裾を啣える椿姫さんの片足を抱え上げて腰を押し進める。
「ンッ!?…ンンーーッ!!」
・・・・
「ハァ~、イカされちゃいましたぁ」
初めてが駅弁スタイルという状況にありながら、じっくりと性感を高め、体重を利用して一気に貫いたのが良かったのか、子宮の最奥を突いた俺は無事に椿姫さんを絶頂へと導く事が出来た。ただ、狭すぎる膣穴にグイグイと締め付けられて最後の一雫まで搾り取られてしまったが…。
「もう、悪い子にはお仕置きです♪」
チユッと唇を奪ったかと思うと、まだ付着している精液を綺麗に[お掃除]されてしまった。
「苦~い、ウフフ…」
彼女の微笑みは大人の妖艶さを含ませていた。
・・・・
「湯浴みをしてから戻ります」
そう言って別れた椿姫さんの代わりに篭一杯の山の幸を持って帰ると桜に出会った。
「あにゃ?椿姫さんと一緒だったの?」
まだ子供と侮っていたが、流石は女性。何か感じ取ったらしく、俺を中心に回りながらクンクンと鼻を鳴らしてニヤリと笑った。
「フ~ン、成る程ねぇ…」
『な…何だよ…?』
「フム、そっか~。フムフム…」
謎の笑みを残して去って行った。
『何だったんだ?一体…?』
「何だったんだ?…じゃ無いわよ、ホント馬鹿ねぇ…」
『ウワッ!?な…何だよ楓、お前まで』
いきなり背後から声を掛けらたので飛び退いてしまった。
「気付いたに決まってるじゃない。シタんでしょ?椿姫さんと…」
『…ウッ』
恐るべし女のカン…。
「気付くも何も、椿姫さんの移り香が残ってるわよ、勿論エッチな方もね。これからは気を付けなさい、最低限のマナーよ」
呆れ果てた顔で溜め息を吐かれてしまった。
『勉強になります…』
(しかし…確かに他の人の所に行けとは言ったけど、ホントに行っちゃうなんて…)
『…ン、何?』
「…別にィ」
微妙に楓が不機嫌なのは気の所為かな…?
『ひょっとして何か怒ってる?』
「胸に手を宛てて考えれば…?」
ムニュ…
バキッ!
「自分のに決まってるでしょ、馬鹿ッ!」
顔面へ思いっきりの裏拳!Critical Hit!剣人は256pointのダメージを受けた…。
『調子にのってました、ホントすみません…』
七重の膝を八重に折り、相手の心に憐憫と慈悲を生むという華麗な土下座で謝罪する。
以前なら余裕で○○乱舞の筈が裏拳と「ったく、ホントに馬鹿なんだから…」でおわってしまった。何だろ?ちょっと物足りないっていうか、何か寂しい…。
この時、静かにそして確実にその影は近付いている事に俺は気付いていなかったんだ…。
『ウ~ン、相変わらずめぼしい情報は無いなぁ…』
楓と椿姫さんの二人と肌を重ねた俺は少し焦っていた。オカルトに詳しい友人にも声を掛けてみたが思った程の効果は上がってない。物は試しで考え方を変えてみるか…。
両手を胸の前で交差させて翼の様に広げる。
『さぁ、検索を始めよう。キーワードは[日本神話・蛭子神]…』
・・・・
当然だが本どころか本棚すら出てこない。やってみたかったんだよ、悪かったな…///。
『ハァ…気分転換でもするか…』
いい加減同じ編成の楽曲にも飽きたので新しい曲をDLしようとググってみてもコレといった物も無く、諦めかけた瞬間、何気ない文字が目に止まった。
【貴方の心に癒しを…】
丁度寝ようと思ったところだったので、俺はスローテンポのオルゴールアレンジの子守唄を小型音楽プレーヤーにインストールする。これが思ったよりも心地好くて1分も経たない内に眠りに落ちてしまった。
『ン~、フウ…。イイ朝だね』
昨日の曲のお陰か朝には気持ち良く目覚める事が出来て疲れもスッキリ取れていた。
台所から小気味良い包丁のリズムと良い香りが漂い、俺は誘われる様に台所へと歩いて行った。
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