【悪い知らせルート】
「そう…悪い方が先で良いのだね…」
クリス所長は目を閉じて溜め息を吐いた。
少しだけ前の時間のラボ室C…仕分けられた山積みの研究資料とアダルトメディアを前に頭を抱えていた。まともに調べるより、彼奴の性格から判断して解決方法を考えた方が良いかもしれない。
「こんな事だろうとは思ったが…」
所長のクリスが例のピンク色の軟体に試験管の半透明な液体を垂らすとグニグニと藻掻くとタプンと音を発て青く変色して動かなくなった。
顕微鏡で覗いてみても活発に動いている組成体は少ない、効果があるのは確かなようだ。
半透明な液とは先程真哉から採取した精液。あの前所長の性格からして性的な復習を企てていたのは容易に想像出来た。
「まったく…トンだ逆恨みをされたものだね…」
効果が薄いのは空気に触れて時間が経っている為に精子の鮮度が落ちた為か…、だとすれば直接…。
もしコレが使われていたら…、起こりえた可能性を考えるだけで鳥肌が立つ。早めに追い出せたのは正解だった様だ。
「しかし、この事を彼等にどう伝えたものか…」
・・・・
「じょ…冗談じゃありませんよ」
「そう冗談では無いのだよ」
悪い知らせとはこの淫靡なピンク色の液状人工生命体の機能。女性の体内に潜み、ユックリとその精神と肉体を蝕んでいく。その強力な催淫効果で…。
その熱は蝋燭の灯の様に快楽の芯に燈り、狂おしい程に身を焦がす。決して絶頂を迎える事は無く、無限の狂喜が続いていくのだと。
「じゃ…じゃあ良い知らせとは?」
「ウム、対処方法"は"見付かった…」
一同が首を傾げる。何故、[対処方法が]では無く[対処方法は]なのかと…。
「それ…なんだがね…」
チラ…
急に言葉を篭らせる。いつもなら謎めかせる事はあっても言い澱むクリスでは無い。
「つまりだね…ある特定のアミノ酸で構成された特殊な…その…蛋白質を汚染部に投与すれば良いのだよ。出来るだけ搾りたての新鮮な物を…ね」
「間違いないのですか?」
「ウム、実物を使用し検証を終えている。ただし、少し時間が経っていたので完全に死滅とまではいかなかったがね」
チラ…
何度もある特定の人物に対し視線が流れている。
「解りました。では早速その特殊な蛋白質の生成を…」
「ウ…ウム、それが…残念だがまだソレを生成出来た者は居ないのだよ…」
チラ…
「…?でも、さっき実物を使って…と言ったのですよ?」
「ここに牛、居ない…」
搾りたてに該当する物は無い。それは誰もが思っていた。そんな中、明日奈がある事に気が付いた。
「所長、それは私達にとって本当に良い知らせなんでしょうか?」
明日奈がクリス所長の視線の先を見て、他の者もそれを追った。
『エッ…!?ハ…ハイ?』
視線は狼狽える真哉の一部に集中していた。
「そう…真哉君の・・・なのだよ…」
・・・・
「エッ…エエーッ!?」
彼女達が驚くのは無理も無い。軟体生物の寄生している部分は3ヵ所、それはつまりそのまま真哉と性行為を行う事を意味しているのだから。
「ンン…で、では誰か最終検証に協力出来る者は居るかね?」
「・・・」
誰一人手を挙げられず、頬を染めて視線を逸らした…。
「こ…これは困ったね、まさか全員未経験とは…」
この研究所に居る女性は皆、幼い頃から特殊なカリキュラムにより育てられたエリートであり、化学・生物学に精通している為、知識としては知っているがその機会は無かった。つまり情報に躍らされた耳年増なのである。ましてや前所長がアレなので知識欲より嫌悪感の方が勝ってしまっていた。
「ムゥ…し、仕方が無い。責任者であり言い出しっぺの私が検体となろう」
『エッ?あ…あのぅ、い…良いんですか?』
「ウム、あまり余裕も無いのでね。君の好みは無視する形にはなってしまうが宜しく頼む」
クリス所長が頭を深々と下げる。
「ちょ…ちょっと待ってください所長。そ…その、し…シタ後に検査等は誰がするのですか?代わりに誰か…そ、そうだ毬花、元々はお前の失態が原因なんだからお前がしろ!」
「エッ…エエーッ!?わ、私がですがぁ?た…確かにしなきゃいけないですけど。わ…私も真哉さんとなら…と言いますか…その…」
真っ赤になって腕をパタパタと羽ばたかせてパニクっている姿は可愛いが…。
「いや、やはり私が最初になろう。君達を信頼しているからね」
クリスが割って入る。所長としての責任感なのであろう。
『あの…本当にするんですか?』
「当然だ!」
『ココで…ですか…?』
ジィ~
所員全員の興味津々な視線がクリスと真哉に集まっている。
「ば…馬鹿者ッ!奥の仮眠室を使えッ!///」
明日奈が奥の部屋を指差して怒鳴った。
『ハ…ハイ、じゃあ所長…』
「ウ…ウム…」
耳まで真っ赤にした俯いている彼女の手をとり、仮眠室へと急いだ。
「で…ではお手柔らかに頼む…」
流石に緊張は隠せない様だ、いつもの大人の女性さは無く、一人の愛らしい女の子だった。
『分かりました。出来るだけ善処します、所長』
そっと手を伸ばし肩に触れるとビクッ…と震える。
「ま…待ち給え。で…出来ればクリスと…名前で呼んで戴きたい」
『ク…クリス』
「…真哉」
身体を小さくして震えながら瞳を閉じる。
・・・・
「ど…どうし…」
『シィ…』
クリスの艶やかな唇を中指でそっと遮る。
バタンッ!
「キャアッ!?」
バタバタとバランスを崩して重なる毬花達。
「あ…貴女達…!?」
「痛て…テヘヘ」
どうやらドアの傍で聞き耳を立てていたようだ。
『ったく…明日奈さんまで…』
「ち…違うぞ、コレは生物学における純粋な…」
『・・・・』
「総員、撤収ッ!」
「お邪魔しましたーッ」
ヤレヤレ…中学男子かアンタ等は…。
「プッ…困った娘達だな」
『…ですね』
明日奈達のお陰で緊張も解けた様なので、改めて肩を抱き唇を重ねた…。
・・・・・
カチャ…
「しょ…所長、どうでした?」
真哉に身体を支えられてフラフラと仮眠室から現れたクリスにドッと野次馬が集まって来る。
「だ…駄目だ…アレは危険だ。実に筆舌にし難い…」
クリスは未知の快感に腰を抜かしてしまったらしい。しかし初体験で達し過ぎたのだろうか、疲労はしているものの肌はツヤツヤしていた。
「い…いえ、お聞きしたのは検証結果なのですが…」
「あ…///」
検証の結果、口および咽喉、膣内部、腸内における[Sweet trap]の活動はいずれも確認出来ず、完全に死滅していた。つまり、クリス所長の想定は当たっていたと実証されたのだ。
「し…しかし、流石に疲れたよ。何やらまだ異物が入っている様な気がする…」
少し照れくさそうに笑いながらソファーに腰掛けた。
「では、順番にいくとして次は誰が…」
明日奈がそう口にしかけた言葉を真哉が遮った。
『ちょ…ちょっと待ってください。いくら何でもそんなに連続では無理ですよ。一度シャワーを浴びてきますから少し休ませてください』
精巣は平均2日でフルチャージされ、それ以前の物は自動的に排出される。
今の真哉はリボルバーで例えるなら6発の内、半分を消費しており、銃身が熱を持った状態だ。ただ数をこなせば良い訳では無い、人の命がかかっている。万一薄くて滅しきれ無ければ命が危ない。少しでも確率をあげる為にここは半日近くインターバルをおかせてみる事にした。
しかし、襲い来る快楽への誘惑は彼女達をかなり苦しめている。一度でも自分で慰めてしまえば最期、後は気が狂ってまでも貪欲に快楽を貪り続けるだろう。
クリス所長が少しでも早く精子が製造される様に精力剤を調合してくれたお陰で体力的にも早く回復出来た。しかし、スッポンの血とかまで有るのには正直驚かされた。理由を訊ねると
「美容・痩身の為なら悪魔にでも魂を売るわ!」
「ティーンズの肌をなめるな!20代はもう老化しているのだよ」
「日々の努力…大事…」
「アウ!アウ!」
だそうだ。女の執念恐るべし…。
「そういえば所長の肌がツヤツヤしているような…?やはりSEXとの因果関係が…」
「女性ホルモン…活性化…」
「いや、確かに活性化するだろうが、安易に頼るのは色素沈着などの弊害が…」
あまり聞かない方が良さそうな生々しい会話が白熱している。モシモシ…貴女達は今、生命の危機に直面しているのですよ?
「死んだ後より生きている今が大事!」
クイクイ…
毬花が上着の肘を引っ張っている。
「ヨロシクお願いするのですよ」
ますます議論がヒートアップする中、二人は仮眠室へと姿を消した。
『えっと、まずはお口でして貰えますか?出来れば…その…胸も使って戴ければ…』
「あまり良く解らないので教えて欲しいのですよ」
子供っぽい鞠花は真哉の指示に素直に従った。というか、新しい玩具を貰ったかの様に喜々として真哉を受け入れたいった。
「ハウ~…」
ボ~っとする毬花に詰め寄る明日奈とカレン、既に経験を終えたクリスは後ろで腕を組んでウンウンと頷いている。
「でねでね、○○が××で△△から◇◇なのですよ」
まるで新しいスウィーツを食べたかの様に興奮気味に話している。若干、纏まりは無いものの言葉はかなりダイレクトだった。
検査結果はクリア、寄生個所全てで[Sweet trap]の活動は発見されず、代わりに真哉の[特効薬]が元気に泳いでいた。
「あぅ…恥ずかしかったのですよ」
クリスと違い毬花は絶頂を迎えても倒れる事は無く、逆におかわりを要求してきた。が、無駄弾を撃つ余裕は無い、あと二人控えているのだから。
『次はどちらでしょうか?』
何本目かのドリンク剤を摂取して一息吐いた真哉は本日3回目のシャワーを済ませて出て来た。何せ相手は全員耳年増な未経験者ばかり、真哉がリードせねばならないのだった。
「次…私…」
手を挙げたのはカレンだった。
カレンは研究所の中で一番背が低く、幼い体型をした女性だった。感情の起伏が乏しく、口数も多くない。逆を言えば何を考えているか判らないタイプだ。
『エッ?い…良いんですか、僕で…』
「注射するだけ…抗生物質と同じ…」
ある意味合っているが何処まで理解しているのだろうか不安だ。
「早くしろ…余裕無い…パンツ濡れ濡れ…」
そう言って自ら裾を持ち上げた。
『ワーッ!?解った、解りました。だからこんな所で捲らないでください』
慌てて仮眠室に連れ込んだ。何かお漏らしした幼稚園児の世話をしている保父さんの気分だ。
バサッバサッ…
「さぁ来い…」
ムードも何も無くいきなり着衣を全て脱ぎ捨てた。さっきといい、羞恥心が欠けているのだろうか?
「…私は露出狂か?」
心が読めるのは解りました、ハイ…。
ジィ…
『あの…カレンさん?』
ジィ…
『そうガン見されると結構恥ずかしいんですが…』
ボソ…
「…小さいヤツ(器が)」
うおおいっ!?そりゃ誰と比べての発言ですか?確かに自慢出来る程のモノじゃ無いけどさ…。そもそも日本男子の平均は…。
「良いから早く精液寄越せ…」
ガバッとパンツまで纏めてズラされていきなり吸いたてられた。
「…出ないぞ?」
パック牛乳のストローじゃないんですから、ただ吸ったって出ませんって。
「…面倒臭いヤツ」
ウム、カレンの認識が色々間違えている事も理解出来た。やはり僕がリードしなければいけない様だ。
カレンの身体は思ったよりも華奢で強く抱きしめてしまうと折れてしまいそうに感じられた。その感情の起伏が乏さを体現した様なスレンダーボディは少年を抱いているかの様な錯覚すら覚える。
「…誰が少年…か?」
『どわぁーっ!?くぱぁするな!』
どうも先の二人と勝手が違い過ぎる。遊ばれている気もするが本当に今自分がおかれている状況を理解しているのだろうか?
パタン…
俯いて検査室から出て来たカレン。上手くいかなかったのだろうか?
「…カレン?」
「・・・」
ビシッ!
おお!?これ以上無い程に男前なVサイン、不自然な程にカタカタ震えるガニ股で無ければ完璧だったのに…。
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