七話
_おそらく月灯りはこの部屋を青白く照らしていたのだろう。
_そこにはもう、役目をなくして脱ぎ捨てられた春子の下着が月に照らされて、青白く染まっていたのだった。
「月経は……終わっているから……」
_恥じらいながら春子が告げた言葉の意味を汲み取って、裸の体をすり減らすように重ね合わせていった。
_春子のすべてが愛しい。
_紳一の唇が春子の耳たぶ、首すじ、うなじまでを優しくはむと、春子の体がそれに応えてビクンと縮む。
_両手の行き場が定まらず、紳一の太い腕にしがみついたり、布団を掴んだりしている。
_紳一の愛撫は春子の肌を下りはじめて、やがて乳房の輪郭を舐めまわしていた。
_それでも春子は嫌がる素振りも見せず、首すじをたてて、固く唇を閉ざしているだけだった。
_むっちりと皮の張った、触りの良い乳房。
_その先端まで舌を這わせていったら、凝り固まった乳首を口にふくんで吸い上げた。
「うん……」
_春子の息が鼻から抜けていった。
_あの春子がこんな反応を見せるなんて、ずっと父と娘として暮らしていたとしたら、気づかないままでいるところだった。
_寿命の短い花のような儚さをはらんでいるのは、紫乃の血をひいているからなのか、春子の肌は向こうまで透き通って見えた。
_紳一が触れた瞬間にはもう肌の深くまで指が沈んで、突き抜けてしまいそうだ。
_乳房は味わいつくした。
_春子はときどき唾を飲み込みながら息を荒げて、鼻の穴をふくらませている。
_紳一は春子の股の間に体をもぐり込ませて、上唇と下唇とで白い腹を噛みながらゆっくり下半身に向かって下りていく。
_そこから漂う匂いといったら、甘さと酸っぱさで蒸された未熟な匂いだった。
_紳一は思った、春子はまだ処女なのだろうか、と。
_暗がりの中で目も慣れてきた頃、それはよく見えた。
_うっすらと生えた黒毛の下で小さな新芽を出し、縦に長く開いた二枚の皮のさらに内側の二枚までもが、濡れてふやけている。
_紳一はそこに唇をつけた。
「ううん……」
_春子の声が大きくなった。
_ぬめぬめした液がそこに膜をつくっていて、それは紳一の唇にも絡みついて糸を垂らした。
_そこで初めて春子は脚を閉じようとして、少し嫌がる素振りを見せた。
_ごめんなさい、嫌なわけじゃないの。
_お父さんが好きだから、好きな人の前で自分の不潔な部分をさぐられるのが恥ずかしい。
_不純な娘だと思われるのが少し怖いの。
_春子はそう言いたかったのだ。
_しかし、それを言葉で告げるのも下品に思うからこそ言えない。
_紳一の方も、言いたいことは奥歯に挟まったままだ。
_気持ち良いのだろうか、痛いのだろうか。
_具合がわからない。
_ここでやめてしまおうかとも思った。
_春子の体が満たされなくても、ただ添い寝するだけで心が満たされるならそれでいいと。
_父と娘は一線を越えてはいけないものなのだから。
「お父さん──」
_春子の甘ったるい声が聞こえた。
「私がどんなふうになっても……嫌わないで……」
_それはもう、まだ乙女でいたいとしがみつくようで、はやく大人の体にして欲しいとすがるような、つかみどころのない言葉だった。
_そうしてすべてを受け入れたいのだと、春子の体から緊張が解けていった。
_愛しさがまたこみ上げて、紳一の指が春子の股をさぐる。
_果物の剥き身に触れているみたいな感触。
_指で押せば汁気があふれる。
_春子は感じて身をよじれさせてはいるが、脚を閉じようとはしなかった。
_私の女々(めめ)を、どうにでもして欲しい。
_春子が目で訴えた。
_綺麗に割れた春子の女々を舐めるよ。
_紳一も目でささやいた。
_しとやかな春子からは想像できないほど卑猥な形をしたものが口を開けている。
_紳一はそこにかぶりついた。
_唇を押しつけて汁気をぜんぶ喉に通し、舌はとぐろを巻いて膣口の垢を舐めた。
_水遊びをしているような湿った音をたてて紳一の愛撫を受けるたびに、春子の恥部は蒸し暑くなっていく。
_しだいに尿意に似たものが下りてきて、春子は官能の声を漏らした。
「あ……あ……うん……」
_女心に、なんて不潔な声なのだろうと飲み込もうとしてみても、それを止めることはできない。
「あん……ふん……んう……」
_正直な声がまた漏れる。
_紳一の頭が春子の股間から離れると、ふたたび乳房を揉みこみながら乳首に吸いついて、同時に陰唇の形にそって指を擦り込ませた。
_盲目な愛撫でいじくられたなら、清純な乙女の芯も大人しくしていられない。
_春子の体が狂いだしたのだ。
_敏感に腰が浮いて沈む。
「はふん……あふん……」
_感じているのは明らかだ。
_紳一は左手の指をそっと添えて紅いヒダを両側にめくり上げ、潮を満たしたその部分に右手の中指を通していった。
_痛いのがくるの?
_女々が切れてしまうの?
_お父さんにされるなら我慢するけど……痛いのは怖い。
_そんな思いをめぐらせながら、はじめて感じる異物感におびえていた。
_膣はとても窮屈で、粘膜が溶け出しそうなほど熱い。
_痛みがくるのをじっと待っていた春子だったが、いつの間にか紳一の中指は根元のあたりまで濡れたつぼみに埋まっていた。
_そしてその指で輪を描くように幼い穴をほじくり返されると、少しだけヒリヒリとした後で鈍い快感が寄せてきた。
_抜き指、挿し指で血がにじみ、愛しい液が垂れた。
_水を打てばはじくほど張りのある肌も粘り気を引きずって、なかなか汁をはじくことができないでいる。
_春子の乳も女々も、いつでも僕の目が届くところに置いておきたい。
_いっそのこと夫婦(めおと)になって、皆が寝静まるのを待たなくても体を交わせる関係になりたい。
_そう紳一は思った。
_そして春子の膣から指を引き抜くと、青すじを浮き立たせた一物を収まるところに収めていった。
_亀頭を飲みこんで股が裂けていく。
_ただの「負んぶ」や「抱っこ」じゃないことぐらい春子にもわかっていた。
_背も腹もわからなくなるほど体を絡め、入れて欲しいところに入れて欲しいものが出入りしている。
_めまぐるしい裸の情事の末に、春子の腹の上で紳一は射精した。
_桃の色の体は、あっという間に白い絵の具の受け皿となる。
_まだ未成熟な春子は果てることはできなかった。
_でもそれが春子を焦らすことになってしまって、一寸先の絶頂を欲しがってもがきながらも、肉体のつなぎ目に女の悦びを感じることができたのでした。
_なんの色気もないこんな体を抱いてくれるなんて、お父さんを好きになって良かった、と思った途端、春子の目からは嬉し涙が湧いていた。
「春子」
「うん」
「僕は春子が好きだ。こんな不潔な父さんを許してくれ」
「うん、私もお父さんが──」
_涙が止まらない。
_止める理由もない。
_紳一の指が春子の涙を拭ったそばからまた涙が湧いてくる。
_きっと紫乃も許してくれるだろう、と春子をもう一度引き寄せて優しく抱いた。
※女々(めめ)とは、このあたりの方言で、女性器のことを指す
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