突然の侵入者達にしおりは現状をすぐに把握する事は出来なかった。小黒の姿を見付けた時は一瞬期待も感じたが
体を隠すことも忘れ狼狽え被写体に暫くなりつづけた。

「廊下を素っ裸で這ってお尻でオナニーしてたんですか。しおり先生」
「お邪魔だったようだわね、どうぞ続けていいのよ、しおり。」
呼び捨てにする婦長の存在を見つけたしおりは漸くこの絶体絶命な現状に気が付いた。

「早くここから出て行きなさい、それと、、、、撮ったもの消去しなさい。さもないと警察呼びます。」
懸命の抵抗もそこまでだった。

「お尻にキュウリ入れて偉そうに言うんじゃないわよ、しおり。」
つい先日見習いで雇った看護学生の早織までが呼び捨てた。まだ18歳だったはずだ。

10代の少女にまで嘲笑されることでしおりの官能に火がついた。女の部分から激しく恥ずかしいものが滴り落ちるのを
小黒は見逃さなかった。

「どうぞ、警察呼んで下さい。これで。」
しおりの携帯を小黒は手渡した。それを暫く見つめ続けたしおりは理性と体の疼きとの葛藤に陥っていた。

（いいわ、しおり、恥を掻いてでもこの人たちを訴えるわ。大事なお父様の医院はもう守れないけどこの人たちを許すわけにはいかないわ。）

震える手付きでしおりは携帯を受け取るが中々押せない。漸く1番を押した所でため息を付く。
「ほんとに通報するつもりよ、小黒さん。」
「うろたえることありませんよ。そんなことすればこの女、世間から抹殺されるし、第一二度と肉の喜びに浸れないでしょう、
まあ、一生どこか町の外れで一人寂しく尻の穴で慰めているのがオチでしょう。しおり先生手が進んでませんよ。」

小黒の挑発に負けまいとしおりは二つ目の１を押した。
「最後の決断ですね、でもここは益々恥ずかしいもので溢れていますよ。あなたの昔の恋人はりっぱな方でしたがしおり先生には
お似合いじゃなかった見たいですね。今早織ちゃんに笑われてこんなに反応したでしょ、18歳の小娘にね、
あなたにはそれがお似合いじゃないんですか、卑怯な手口で貴女を追い込んだ高須さんや医師会、銀行員、それとここにいる
裏切った人たち。どうです、そんな憎い敵に自ら懇願して調教されるのが貴女にはお似合いですよ。」

図星だった。しおりはそれに気付いた。見降ろしていた人たちに自ら懇願して調教を乞う。なんて魅力的なことかしら、
しおりのその部分から蜜が溢れるのを抑えることが出来なかった。

「体は正直なものね、しおり。私に笑われて喜ぶなんて、そうだ、いいこと思いついた。
実はね、しおり、この前の営業妨害した男の子たち早織の高校の同級生なの、しおりが訴えるから今取り調べ受けてるみたい。
暴走行為で前から目を付けられてやばいのよね。」

高須の指図で彼らが待合室で患者に暴言を吐いたりして営業妨害したのは事実だった。
しおりの脳裏に彼らの姿が蘇った。自分とは全く違う人種のように思えた。
医師になるため一生懸命学問に励みりっぱな尊敬される人間になるよう努力していたその頃と比べ彼らは幼稚で無知で
意味もなく他人に迷惑を掛けて喜んでいる。なんの実力もないのに。

決心したかのように目を見開いたしおりは最後の0番を押した。
周りの者は意外な展開を見守るしかなかった。電話の相手が出たようだ。

「二宮クリニックの二宮しおりと申します。先日営業妨害で訴えた件でございますが担当の刑事の方お願いいたします。」
さすがに18歳の早織は青ざめてきていた。

「二宮です、ええ、先日はお世話になりましたありがとうございました。いえ、それが実は訴えを取り下げて頂きたいのです。」
「おおー、」
「ええ、」
思わぬ言葉に歓声が部屋の中で起こった。勝った、と小黒は確信した。遂にこの女は堕ちた。

「後程よく考えましたらあの程度の騒ぎで前途ある若者の未来を奪うのもどうかと大変反省しておりまして、ええ、はい。
そうですわ、5人とも。今すぐ釈放して上げて下さいますようお願いいたします。
それとお伝え願えませんでしょうか、訴えたことお詫びしたいって。誠心誠意反省しているのでどのようにお詫びすればいいか
考えておいてくださいますようにってお伝えくださいまし。それでは失礼いたします。」

「もうびっくりしたじゃない。しおり。あんな連中に嬲られること想像して決心したのね。あの子たちって早織でもお断りなのに。
同級生だったけどあんな偏差値の低い子たちとは付き合えきれなかったの。」

「偏差値の高い女医と面白い取り合わせだな、確かに。それじゃしおり先生準備しましょう。
実印、土地の権利書、通帳必要なもの全て出して貰いましょうか、高須先生がお待ちです。」



貴方には

「