「 槌男へ
左手の中指に赤い目印を巻きなさい
いつか、突然その左手を捕まれ
導く女性が現れたなら、その女性に全てを委ねさい 」
あれから何年だろうか。
こんな文章をネットで見つけ、
淡い期待と興奮で先走り汁が溢れ出た。
あれ以来、私のポケットには赤い輪ゴムが
絶えず忍ばせてある。
帰宅電車のドアにもたれ掛かり、明かりが燈り帰宅人を待つ
幸せそうな住宅街、ライトを照らす車列の行き交う街道。
ぼんやりと車窓からの街並みを眺める私の背中に。
あきらかに女性の隆起を思わせる二つ刺激が押しつけられた。
朝のラッシュ時程の混みようではないが。
人と人とが重なりあうような車内の乗客。
背中の刺激を間際らそうと、意識すればするほど
牡の条件反射とは悲しい性
こんな処で痴漢と間違われても迷惑と、
体の体制を変えてみるが。
二つの隆起は、あとを追うように更に強く押しつけ
られて来る。
ズボンに隠された男性器は、その象徴を主張し
いまや、その現実を隠しようもなくズボンの前部を
押し上げている。