はじまりは軽い気持だったのかもしれない。
あたしは特殊な性癖持ってないし
違う学校だけど彼氏もいるし
ただ ちょっとどんなものか覗いてみたかっただけなんだ。
ﾒｰﾙ調教っていう世界を。

「神奈川県に住んでる17歳のﾊﾙｶです♪初めてなのでｿﾌﾄ調教でお願いします!年齢関係なくﾒｰﾙ待ってます」

ﾊﾞｲﾄの休憩時間、やることがないから出来心でｻｲﾄに書き込んでみた。
けど、
ｻｲﾄなんて誰が見てるか分からないし、こんな初心者丸出しのｶｷｺでﾒｰﾙがくるのかなって思いつつ、いつも通りにﾊﾞｲﾄを終え 家に戻ってみると。
携帯が一通のﾒｰﾙを受信してて、慌てて開いてみたのだけど、彼氏からの「今電話してへーき?」といういつものﾒｰﾙだった。
なーんだというがっかりと、やっぱりという安堵。

「もしもし?あたしー。今日ﾊﾞｲﾄだったんだ。」
「そっか。なー明日会える?」
「うん。明日はあたしがそっち行くね。」
「あー、大丈夫か?別に俺が行ってもいいけど。」
あたしの彼は心配性だから、会える時は迎えに来てくれるし
帰りは必ず家まで送ってくれる。
あたしはこの優しさを煩わしいと思ったことは一度もないけど
こんなふうに守られてばかりいるから、何故だか支配されたいと体が欲してるのかも。

それじゃまた明日ね、と電話を切って
問い合わせてみてもﾒｰﾙはなし。
やっぱりこんなものかな なんて勝手にまとめて、寝ることにした。

その次の日
ﾒｰﾙの着信音で目を覚ますと、携帯には5通のﾒｰﾙが受信されていた。
時間がないから後で見ようと、支度をして学校に向かう。
それきりﾒｰﾙのことなんて忘れていたけど、授業中に何気無く携帯を取り出して思い出した。
開いてみると、5通ともあたしがｶｷｺしたｻｲﾄからのﾒｰﾙで。
授業中なんだから誰にも見られはしないけど、片手で隠すようにしてあたしは１通ずつ丁寧に読んだ。

届いたﾒｰﾙはどれもみんな似たような内容で、ただしﾔりたい系のﾒｰﾙも1通あって。
うんざりしながら適当に目を通した最後のﾒｰﾙは、それらの中で唯一あたしの目を惹いた。

年齢は24歳で 同じ神奈川県住み。
本人曰く顔は並らしいけど、写ﾒ報告はなくても良いらしいし、何より他のﾒｰﾙと違ってあたしのﾍﾟｰｽで進めてくれると書いてあった。

嫌だったら途中でやめればいい、そう考えながらあたしは添付してあったｱﾄﾞﾚｽにﾒｰﾙを送った。

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