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1:さよならアンクレット
投稿者:
浦島プウ
夕がたの駅には誰もいない。
十一月も末の日没後は、たちまち暗くなり、駅の白色蛍光灯があたりを寒々と照らすのみだった。 駅のホームで電車を待っていると、示し合わせたようにホームの階段を下りてくる人影は、同級生川森真姫奈だった。 同級生というよりは、同い年といったほうが正しいか。 高校は同じではなかった。 風の便りでは高校を卒業後看護師となり、都会で病院に勤務しているとのこと。 偶然、電車のロングシートに隣り合って乗り合わせた。 ミニスカートから覗く白タイツの生足をチラ見すると、左の足首の細い鎖を巻き付けたようなアクセサリーが目を引いた。 ほう。 なかなかしゃれているではないか。 都会の看護師さんは一味違うね。 ふと気が付くと、女はかつて同級生だった男を疑り深いまなざしで見つめていた。 そして、肩でつつくようなしぐさをすると下を向いて黙り込んだのである。 むかし、同じようなことがあった。 まだ子供のころ。 胸がどきどきした。 そんな記憶が一瞬よみがえった。 「キスしてもいいかい」 「もうあげちゃったわ。のしをつけて」 それが最後だった。 以来何年経ったことか。 「こうしていると、恋人同士みたいだね」 男に話しかける女の顔は、心なしか紅潮したようだった。 「アパート、来る」 何かよもやま話でもあるのか。 自分のアパートとは同じ方向ではなかったが、地下鉄に乗り換え、女の後尻についていったのだった。 質素な木造アパートの二階の部屋で、女はお茶を入れてくれた。 「大学はまじめに行ってるの」 「あ。ああ」 茶飲み話が続くと思いきや、 「今夜は、遊んであげるからね」 女は、急にやる気を出したように茶碗のお茶を一気に飲み干したのである。 「拭いていくよ」 濡れティッシュで下半身の中心部位を念入りに掃除すると、早くも屹立した男性自身を女はかっぽりと咥えこんだ。 女の舌が陰茎に絡みついて、いきそうになった。 女はおもむろに鎖のアクセサリーを外し、白いタイツを脱いだ。 上になり肉ツボに男の分身を誘い込む。 キュンキュンとした締め付けに耐え切れずあっさりと果てた。 まだ電車はある。 初めてだったよ。 ありがとう。 女に別れを告げ、外に出たが、何気に体はぽかぽかと暖かかった。
2022/11/18 06:37:33(DdQCkKVI)
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