夫は多趣味で生活力がある、社長だし。世間体を考えての求婚だったし、優先順位は仕事、付き合いのお酒、趣味その次が私、家事さえちゃんとして、来客の時に社交性発揮すればそれで問題は無い。

　問題ある父親の元で育ったから、亡くなって母親とはせいせいしたって感想で涙も出なかったけれど、優しい年上の男性が好きって、高校生の時に30代の男性と付き合った、ちゃんと同年代とも付き合いなさい、たまに会ってくれればいいからって、彼が結婚するまでの数年間、月に一度か二度会っていた、色んな事を教えてくれたし、それにエッチの仕方も含まれていた。

　そんな彼と偶然の再会をした、10年以上会ってなくてもすぐにわかった。
　「そうかあ瑞希は金持ちと結婚する夢は叶えたんだね。」
　「でも大介さんの言ってた金より愛だろって身にしみてる。」

　老眼鏡必要になった淋しいおじさんだよ、離婚して養育費払うのとたまに息子に会えることだけが楽しみ、切ないけれど、子供いるのがうらやましい。
　「旦那さんは欲しがらないのかい？」
　「あんまりエッチ興味無いみたい。」
　エッチしたくて会ったのは大介さんだけだった、それが恋とは違って、言い表しにくいけど、50才の彼は別れても子供がいて父親で、昔とは違ってそれはいい方向に落ち着きと、そもそも優しい人だし。

　私が誘って温泉旅行に行くことにした、彼は近所のスーパー銭湯に通っているというし、結婚していた時に住んでた場所は黒湯が出たから子供連れて温泉通ってから温泉の良さがわかったって教えてくれた。
　ぶっちゃけ温泉なんて私にはどうでもいい、バカで不満ばかり言っていて、都合よくお金もちになりたいって言ってた私をちゃんとした女性に育ててくれたって、今から振り返るとわかるし、男心だったり男性の性欲、そして基本的なテクニックから演技だったり上手な断り方、悪い男の見分け方。

　数えだしたらきりが無かった。
　「瑞希の若い肉体を搾取していたからね。」
　宿の部屋には露天風呂がついていて、二人でゆっくり入った、あの頃みたいに元気じゃないから、夜に一発だぞ。
　そう言われてもキスはやっぱり上手、色んな男性と経験したけれど、レベルが違った。
　「大介さんの言ってた意味がね、経験積むとよくわかった、その日のお互いの気分だったり流れ、物語って、毎回同じパターンの人ばかりだったもん、ハードなのも教えてもらってたから余裕あったし。」
　「そっかあ、Ｍ女さんと知り合ってね、その時だろうな、痛くされたいとかさ、首しめられたいって、ああゆのもさオプションとしてはありだけれど。」

　豪勢な夕食も普通嬉しいけれど、後のこと考えると困りものだ。
　お酒が好きな彼だから。　
　「最高だな、いい女と美味い飯と酒。」　お酒強くないからこっちが酔っちゃう。
　「一眠りしてさ、起きたら露天入ってさ。」
　彼の腕の中で少し眠る、乳首吸われて目覚めるって最高に幸せ、何度もフェラで彼を起こしたって思い出すと、やっぱりこの男が好きなのだ。
　彼の赤ちゃんが欲しい、生理近いから大丈夫、生でするのがエッチだし、赤ちゃん欲しい相手とセックスしろって考えの持ち主。
　受け止めてからお風呂に、月がとても綺麗で、思わず口にすると。
　「夏目漱石のそれ、本当かあやしいらしいけどな、それが素敵な表現だって感じる人が多いから口伝されているしさ、歌っちゃおうかな。」
　思い出す、喘ぎ声もバリエーションをって、そんなの無理って、じゃあ歌からって、微妙に音痴だぞって指摘されて、そこから歌の特訓させられて、あっという間に上手になった、何と言っても先生が上手、大介さんはそういう人。
　「もう一回いいか？」　ずっとキスしたいから正常位でしてもらった、彼のを握りながら眠りに落ちた。

　楽しい旅だった、次は北海道かな、寒い時期は勘弁してくれよ、そんなやり取りして別れた。
　スピリチャルかもしれない、中に出された時になんかわかった、いつも夢見ないのに、天使がキラキラ飛んでる夢を見たのをしっかり覚えてる。
　妊娠していた。　
　「そうか、うんとてもめでたいよ。」
　夫が喜んで驚いた。　副社長の男性がパートナーって教えられた、女性とセックスは出来るけれど、すまない。
　出産準備に入った時は個室で、とっても変な状況だった、大介さんは二度目だから落ち着いて対応してくれてるが、夫と副社長はオロオロしている。
　一部完

　

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