「犬の首輪だけの素っ裸で待ってろ。」
同じ町内の2組の組長えす。その男。ガラの悪い、嫌い。もう60歳を超えてるのに精力旺盛。名前は深澤。
同じ町内と言っても3組まであるかなり広い町内です。その男のことを知ったのはつい最近。若い頃に奥さんに逃げられて
独身なんです。それくらいしか知りません。
私は河野善江。一人娘も出て今は銀行員の夫と二人暮らししてます。
多分夫が銀行員のせいなんでしょう。いつも町内会に会長や組長に頼まれるんです。
夫は仕事ばかりでほとんど私が役をこなさないといけないのに夫はつい引き受けちゃうんです。
他の組は順番に代わるのに。多分近所の人に銀行のお客になって貰いたいんかしら。
夫は55歳。毎月と言って良いほど一週間以上の出張があります。
私は50歳で専業主婦です。今年は前年に続き3組の組長と町内全体の会計に、、、されたんです。

町内会があったのは3月です。近くの公民館みたいなところで会があってその深澤を初めて見ました。
2組の組長に立候補して誰も嫌がる役ですから即決。
4月に町内会の集金をお願いしに深澤の掃除もしてそうもない蜘蛛の巣も張って埃だらけの玄関で彼にあったんです。
敬語など使わず偉そうにいろいろ言ってたけど良く憶えてません。一刻でも早くそこを離れたい一心でした。
町内会の役員や組長の名簿には電話番号も記載されています。

ある日記載した固定電話に電話が掛かってきたんです。でたら
「旦那はいるかー？」大きな声でガラの悪そうな声。あの男でした。
出張で留守だと言ったら
いつまでだー。」
「失礼ですがどなた様ですか。主人は今週一杯おりません。」
「そうか2組の深澤や。金集めたんで今から持って行く。素っ裸になって犬の首輪して玄関の鍵外してケツを玄関の方に
向けて待っとれ。四つん這いやぞ。」
どう思いますか、そんなこと言う人いますか？
何か言おうとしたらガチャン。10分程するとインターホンが。返事も聞かずに玄関の戸を乱暴に叩き出すんですよ。
「準備出来たか？」
近所に聞こえる位の大きな声。平日で近所はお年寄りが何件かが在宅している程度でしたが冷や冷や。
「失礼な方ね。」
「何だ、まだか。犬の首輪も持ってきてやったから早く準備しな。俺は気が短いんだ。
これ以上怒らせたら承知しないぞ。」って。

玄関を開けて覗いたらインターホンのある門のところから首輪を。汚いんです。その真っ黒な犬の多分かっていた犬のでしょう。
時々大きな犬を散歩させているのを見た覚えがあって、犬の毛も付いてました。
「深澤さん。領収書書きます。お幾らでしたっけ？」
町内会のお金受け取ろうと門に言ったら
「馬鹿野郎！誰がそんな恰好で待ってろと言った。」
「深澤さん、、大きな声で失礼なこと言わないで下さい。近所に、、」
「そうか、これうちの犬の使い古しだ。とっとと言われた通りの恰好で待ってろ。何度も言わせるなよ。」
そんな、言わせるなよってなんて自分勝手なのかしら。
それでも近所のことを考えて私、その首輪を掴んでいたんです。
「何なら目隠ししてもいいんだぜ。近所の誰に見られているかスリルを楽しめるぞ。」
そんな非常識な無礼初めてです。一生こんな非道な行為に縁などないよそのお話だと思ってました。
「今度約束破ったら素っ裸でここまで来さすぞ。」
門の前で言うんです。
10分後私素っ裸で犬の首輪をしてタオルで目隠しして言われた通りお尻を玄関に向け高く掲げていたんです。
勿論鍵は閉めてませんでした。

上流家庭とまでは行きませんがそれに近づけるよう見に着けるものまでそれなりのもを着けています。
眼鏡も銀縁できざに成らない程度のもの。マスク、コロナでみんなかけだしたあのマスクもオシャレな飾りがついているんです。
中肉中背ですが無駄なお肉は付いてません、まさか50歳になって他人に裸を見られるなんて思ってもいませんでした。
でも60の男からしたら鑑賞可能だったんです。
お尻の穴の臭いを嗅がれて臭いぞ、このババア、ショックでした。朝したままシャワーも浴びてないし。

どういう訳で裸になったんでしょう。
「早く、玄関を閉めて中に」
「馬鹿野郎！何のために目隠ししたんだ。いつ誰に見られたドキドキするのがいいんだ。
もう二度と上品に気取って歩くんじゃないぞお。誰かに見られてしまってるんだよ。おまえは。」
スマホで写真と動画もその男しっかり撮ってお金を置いて帰って行きました。
領収書できたら電話しろ。また来るから同じ格好で待ってろ。そう言って帰って行ったんです。

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