必死で握り締めた携帯電話から、妻【美也子】の<喘ぎ善がる>声が伝わり、単な
る犯されとは異なるニオイまで嗅ぐ夫、【正志】の左手が知らず握る勃起に、外連
味の無い興奮を覚えた己を見ていた・・

　よく出来た妻だと思う、時を経ても、可憐で淑やかなる美しさを失わぬ妻。
只、夜の生活にも其れは当て嵌まる。淑やかな女・・昼と変わり映えせぬ淑やかさ
に不満の募る夜々でもあった。
　いったい妻はどんな過去を過ごして来たのだろう、結婚前後は美也子と一緒に暮
らす喜びで過去などどうでも良かった。それが最近になって変化の乏しい夜の不満
から向けられた疑念の先は妻の過去であった。
当然集約されるのは、性に対する部分。
此れまで自尊心から聞くことは無かったのだが、思いは日増しに募っていった。
初めてのときも処女では無かった。
其れは良い、特に望んではいなかったのだから。
当初、褥にても淑やかなる妻を初心女に近しと尊びもしたが、何年経っても変わら
ぬ妻の頑なさに先の見得ぬ楽しみまでも滅し、不安と苛立ちを隠すように殊更優し
さで糊塗する日常であった。

　「あぁ～っ、電気が、電気で又、また逝きそうですぅ。」
「何言ってやがる、電気だけじゃねぇだろ、自分の指で弄ってるんだよ、お前ぇわ
ぁ。」
震える手から伝わる妻の逝き予告、揶揄して弄る訛声の男。妻の心配より勝る陵辱
感が日頃の鬱憤を晴らす憤怒となって怒張を促していた。心配ではある、しかし、
被害を届ける気にはならない、それどころか被虐に喘ぐ妻をこの目で見たい・・
突き上げる思いに吐いた言葉は、「何処に居るんだ、其処は何処だ。」
「旦那だろ、旦那だな。お前ぇの女房が逝き捲くってるぜ。自分でしながらナ。」
予期せぬ訛声が返った。
「美也子、旦那だぜ。お前ぇの旦那が、何処で何してるかってよ。」
やっさんはそう言って美也子の口元に携帯を差し向ける。
「あ・あなた、ご免なさ・い・・自分で・逝き・ます、観られてイキますぅ～」
雅な瞳に媚を含み、携帯電話をも蕩かす媚態を示す美也子。
「どうでぇ、俺らは何もしてねぇ、勝手に美也子が逝ってるんだぜぇ。」
「実　おっ勃てた女がよぉ、“剥き実”擦り捲くって逝くんだ。逝く時にゃお知ら
せまでして、観易い高さに腰持ち上げてなぁ。」正志に伝えているのだが、やっさ
んの目的は美也子を辱め被虐心を煽るためだろう。
「今度ぁ四つ這いで見せてみろ美也子。」美也子に命じているのだが、今度は正志
を侮蔑するのが目的だ。
「あぁっ、これでイイですかぁ～」やっさんより、まるで夫に聞こえるように応え
る美也子。
「もっと尻を揚げろぉ。手で身体を支えねぇで肩を付け、背中を反らせてマ○コの
裏側まで見える様にしねぇか、尻を突き上げろぉ。」
命じられているとは言え触れられずに身体を転じ、これ見よがしに尻を突き揚げ、
脚を開いてマ○コを晒している美也子だった。
「イイ格好じゃねぇか、絵になるねぇ。旦那よぉ、お前ぇも観てぇだろ。」
「絶品の景色だぜぇ～」先程から口を挿むのも惜しく、洩らさず聞き取る正志。
妻の痴態を想って脳を焼く判人（はんにん）として、夫らしからむ行いに勝る高潮
が心底から這い昇り、焼かれた脳と融合した込み上げは躊躇いなど物ともせず、
訛声の男だけに聞こえる低く抑えた声で、「観に行きます、其処は何処ですか。」
夫ではなく、妻を売った男にまで窶した正志であった。
「ぁあ・・気持ちイイですぅ、感じてしまいますぅ、見ないでぇ、見得てるのぉ。
見・・ああぁ～」
「へっ、旦那に聞えよがしに喋り乍クリやマ○コを掻き回してやがる。俺の魔羅を
飲み込んだ後だと言うのに、まだまだ此れからって顔してるなぁ美也子ぉ。」
完全に堕ち切った女として、電話で夫に知らしめるやっさんの訛声で、一度大きく
脈打つ怒張から先走り以上の噴出を自覚した蒼顔の正志。
「あぁっああぁ～逝っちゃいます、ご主人様に見られて逝っちゃいます。イクイク
ゥぅぅ～」
慌てふためいて、居場所を聞き飛び出した正志だが、何に慌てているのか？・・妻
を救い出すためではない、淑やかな妻が女に・・猥らに堕ち、娼婦然とした美也子
を蒼惶として捜し求めていた。

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