元妻の薫（32歳）とは、子供ができない（流産）、両親と噛み合わない、
仕事が不規則、おまけにSEX時の反応が単調。
その他諸々の理由から、2年のあいだ別居同居を繰り返し、結局離婚した。

　まぁまぁの美人だし、スタイルも悪くない。
姿勢が良く、まっすぐ伸びた長い脚と、陸上選手のような筋肉尻には友もうらやむ程だった。
　しかし別れた今では、どうでもいいことだった。

　仕事の都合もあって、別居時に私が使っていたマンションを妻に明け渡した。
　だがしばらくして離婚を意識してみると、不思議と彼女の生活が気になりだした。
そこで、彼女が仕事で部屋を留守にしているあいだこっそり進入し、洗濯物・
タンス・ベランダのごみ袋をチェックした。
締め切られた部屋は蒸し暑く、ダイニングには少しばかりの衣類と、細くて長い見慣れたジーンズが干してあるほかには、趣味などに特別な変化は無かった。
　だがタンスを引くと、色や形の凝った女を意識させるような下着もあった。
整然と並べたブラジャーの隙間には、1ダース分の黒いコンドーム箱が隠すように収められてあり、それは同居して居た時と同じ習性だった。
「big-boy　(large size)」と書いてある箱を開けると、半ダースほど残っている。

　それからベランダのゴミ袋を調べてみたが、変態な猫に成り下がった気分だ。
雑多なゴミの中に、こぶしのように握りつぶしたティッシュの大きな塊が3つあり、それぞれ開いてみると、ザーメンの匂いと口元を縛って白い液体を閉じ込めた、黒半透明のコンドームと数本の縮れた陰毛がある。
それは二種類あって、短くて細く、やや茶色を帯びたものと、黒々として長く、硬く縮れたものがあった。

　ごみをそこに戻すと、続いて洗濯機の中も調べてみた。
Ｔシャツやらパジャマやら数枚の衣類が放り投げてあり。
それを底から掬うように返してみると、紺色のショーツがみつかった。
裏を返すと、太腿に触れる部分はレースで、そこからクロッチにかけて粘着質の白い液体が付着しており、半ば乾いていた。

　ショーツを穿いたまま、脇から強引な挿入をされるのは妻の好みだった。
というより私の好みでもあった。
誰を受け入れたのか？

　別れた妻への淡い嫉妬。
私はそこに盗聴器をしかけることにした。

　数日後の雨の夜。
4階建てのマンションから道路を挟んで、斜め前にあるドラッグストアに車を停めた。
駐車した場所は店舗の影になり、そこから部屋の白いカーテンが良く見えた。
FMラジオを盗聴器の周波数に同調すると、彼らの声を拾った。
　「ねぇ～辛さはいっぱいにする？」
　　「おお～一番辛くしてくれ！」
　甘えて子供じみた話し方をする妻と、知らない青年の声だった。
どうやら食事の準備をしているらしい。
音声を伝える電波はときどき弱くなるが、同調さえすれば比較的鮮明だった。
私は暗い車内で、コーヒーを飲み、タバコを点けてその時を待った。
1時間ほどもすると二人の声はしだいに途切れ、テレビの音声だけが流れていたが、それも突然カタンと途切れた。

かすかに男の声が聞こえる。

　男性自身を受け入れる妻に、満足の度合いを問う声だった。
妻は喉を殺し、露骨な言葉に例えて答える。

　それはこれまで体験のない男性自身の形状や性能に対する賛美。
彼女自身を内側から圧迫し、さらには内臓をも押し上げるほどの脅威であること。女性の部分が、限界的な生理変化をしていること。
それにより二人の運動が物理的な響きをもたらしていること。
すべてが、満ち溢れる驚異と刺激の境で狂喜する叫びだった。

　男は更に、妻に体を極限まで開くことを強要し、積極的に男性自身を受け入れるよう促している。
彼女は、間接と筋肉が限界に至るまでの痛みに耐えながら、男の放つ性を積極的に受け入れようとしているようだ。

　そこに男性を受け入れ、痛みと極限的身体の不安、それによって得られる快感をぶつける妻の声が一挙にはじけ、やがて終焉した。

　私はタバコを一本燻らし、やがて短くなったそれを灰皿にねじこんだ。

すると、妻の篭ったうめきと、男の長いため息がしばらく続いた。

　やがて妻は、本来の女性自身ではなく、男も持ちうる道への導入を求めた。
かつて私に強いられて逃げたはずの行為である。

　
評判が良ければつづけます～ぽぽん

Tweet