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1:双子 Episode 8
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Blue Roses
麗子の自宅。日の光が白いレースのカーテン越しに注いでいる。居間には、ピアノの練習曲が流れていた。
弾いているのは、麗子ではない。麗子は生徒の隣に椅子に腰掛け、注意深く演奏を聴いていた。時折曲を中断させては、細かい注意や指示を与えている。 今日の生徒は、週に一度は麗子の自宅を訪ねてレッスンを受けている地元の高校生、真理子だ。真理子は麗子が気に入っている生徒の一人だった。 「じゃ、マリちゃん、次はさっき言ったこと、気をつけてね」 「はい先生、有難うございました」 「お菓子でもどう?」 「やった。頂きます」 麗子はクッキーと紅茶を用意した。真理子と差し向かいにソファーに腰掛け、レッスン後のティータイムを楽しんだ。 「そう言えば・・・」 真理子がふいに切り出した。 「先生、塚本兄弟にも教えてるんですか?」 「塚本兄弟?」 「双子の・・・」 カップを持つ麗子の手が一瞬止まった。 「え、ええ。教えてるわよ。知ってるの?」 「私達の間では、昔から結構有名ですよ」 「人気があるんでしょ? かっこいいものね」 「フフ」 「なあに? 変な笑い方して」 「あの人達、変な噂があるの知ってます?」 「噂?」 「ええ・・・」 真理子は恥ずかしそうにクスクス笑った。 「なによ。聞きたいわ」 「あの人達、すごく人気があって、私達の学校でも憧れてる子が結構いるんですけど・・・なんか、女の子と付き合う時、二人で一人の子と付き合うって噂なんです」 「二対一で?」 「ええ。でも、それって・・・結構、エッチですよね」 『僕等、すぐ同じ人を好きになってしまうんです』 双子は言っていた。 「いやね。マリちゃん、何考えてるの? でもそれじゃあ、彼女なんかあまりできないんじゃないかしら」 「フフ、それが結構、それでもいいって言う子もいるんです。同じクラスの子で、OLやってるお姉さんがいる子がいるんですけど、そのお姉さんも二人と付き合ってたって噂だし、同じ学校の子で、本人が付き合ってるって聞いたこともあるんですよ。二人ともすごい美人で、街中の美人が、あの人達のものになってるんじゃないかっていう人もいるくらいなんです。それはちょっと大袈裟だけど」 「まあ、そんなに? 信じられないわ」 「なんか、結構すごいらしいんです」 「いやね。マリちゃんは違うわよね」 「フフ、でも、いいかも。お金持ちだし。なんて」 「マリちゃん?」 「フフ、冗談ですよ」 双子の屋敷。 門が開いていた。今日は、双子の父、久雄へのレッスンの日だ。本来は前日だったのだが、一日ずらしてほしいとの連絡を受けていた。 麗子の車が、邸内に進入した。 この親子にピアノを教え始めてから、もう二ヶ月近くになる。多忙な久雄のレッスンは休みがちだったが、双子のレッスンは毎週欠かさず行われた。双子は相変わらず麗子の出す課題をそつなくこなしていた。そしてピアノが終わると、それもレッスンの一部であるかのように、ある時は寝室で、ある時はピアノの部屋で、またある時は噴水の広場で、麗子の体を求めた。真理子から聞いた噂話は気になったが、二人の愛撫を受けると、すぐにそれは忘却の彼方へと消え去った。 何時もの車寄せに車を止めると、この屋敷ではついぞ見かけたことのない赤い車が停車している。 ― 誰か来てるのかしら? ― 麗子は玄関に向かい、呼び鈴を押した。ドアが開く。現れたのは年配の女だった。お手伝いらしい。 「あの、久雄さんはいらっしゃるかしら?」 「高岡さんでいらっしゃいますか?」 「ええ。今日はこちらに伺う予定だったんですが」 「御免なさい。実はご主人、今さっき出たばっかりなんですよ」 「まあ。何か急用でも?」 「ええ、何でもお仕事でトラブルがあって、急に行かなければならないそうなんです。高岡さんの事は伺っています。もう家を出ているだろうから、来たらお詫びするように言われていますの。後でお宅に本人から電話があるはずですわ」 「あら、そうだったんですか。それならまた出直します」 玄関のドアが閉まった。 車寄せに戻り、再び車に乗り込もうとした。 ― まって・・・この車・・・ ― 赤い車。 ― これ・・・ひょっとして・・・ ― 麗子は中を覗き込んだ。バックミラーに吊り下げられたアクセサリー。後部座席に残されたファッション雑誌。 ― これ佐藤さんの車じゃないかしら・・・まさか・・・でも・・・ ― 第六感が働いた。麗子は、広い庭の中を屋敷の裏に向かって歩いて行った。目指すのは生垣に囲まれた噴水の広場だ。 目指す場所に着くと、麗子は足音を忍ばせて生垣に沿って進んだ。そして数ある生垣の切れ目の一つから、恐る恐るそっと中を覗き込んだ。 やはり彼等はいた。 人口の池を挟んだ広場の反対側、大理石の休憩所の一つに、双子と美子の姿が見えた。美子は全裸だった。ベンチの上で四つん這いにさせられている。双子達は美子の前方と後方にそれぞれベンチをまたいで立ち、一人がリズムカルに腰を振ってバックから美子を突きたて、もう一人が自分のものを口で奉仕させていた。突かれるたびに、美子の豊満なバストが揺れている。やがて後ろの双子が手を伸ばし、腰を振りながら、その白い乳房を揉みしだき始めた。 麗子は、目を見開きながら三人の性交をじっと見つめていた。目が離せない。これは夢だろうか? ― こ、これは・・・私と同じ・・・ ― 双子の一人がベンチにまたがったまま座り、美子を誘っているのが見えた。美子は自分からその膝の上にまたがり、乳房を相手の顔に押し付け、顔をのけぞらせながら、腰を振り始めた。すかさずもう一人が美子のあごに手をかけて、その唇を奪った。 ― し、信じられない・・・佐藤さん・・・あんなに腰振って・・・わ、私もあんな風に・・・ ― 双子が一斉にこちらを振り向いた気がした。 麗子はとっさに生垣の影に隠れた。口元に手をやり、体を硬直させる。汗が首筋を伝って胸の谷間に流れていった。麗子は駆け出した。 息を切らせて車に戻った。あわててエンジンキーを回しながら振り返る。双子の姿はなかった。麗子は車を発進させた。門を出て、家へと走らせる。 『なんか、結構すごいらしいんです』 双子について話す真理子の言葉を思い出した。 ― 噂は本当だったってわけね・・・あの二人、ああやって何人もおもちゃにしてるんだわ・・・私もその一人・・・ ― 双子の前でさらした自分の痴態の数々が記憶によみがえった。顔がかっと熱くなった。 ― もう会わないわ。レッスンは終わりよ。絶対に・・・ ― 次の日、麗子は久雄に電話をかけ、もうレッスンには行けないと伝えた。自宅でのレッスンが忙しくなり、屋敷へは出向いていけなくなったという口実だった。久雄は怪訝そうだったが、強引に押し切った。 数週間後。 麗子はよく行くショッピングモールに車で出掛け、買い物をした。紙袋を車に積み、乗り込もうとしたその時。 「麗子さん」 「麗子さん」 はっとなって振り向いた。 双子だった。 「あ、あなた達・・・」 「どうしたんですか? 急にレッスンに来てくれなくなって。すごく残念です」 「わ、悪いけど、もう行けないの。ごめんなさいね」 双子は顔を見合わせた。 「麗子さん・・・ひょっとしてあの日・・・美子さんとの事、見たんですか?」 「・・・そうよ。それにあなた達の噂も聞いたわ。私、これ以上あなた達のおもちゃにはなる気はないの」 「そんな、おもちゃだなんて」 「そうです。そんな風に思ってません」 双子が近づいた。麗子は、後ずさりした。 「と、とにかく終わりよ。私も悪かったけど・・・もう会わないわ」 端正な二つの同じ顔が麗子をじっと見つめた。すでに麗子の体を知り尽くしている四つの目が、頭のてっぺんから足のつま先までを走査している。激しい羞恥心を感じた。 ふと双子の股間に目をやった。二人ともズボンの前が膨らんでいる。 ― ず、ずうずうしい! 私とやりたいのね・・・また、私をおもちゃにして・・・めちゃめちゃにするつもりなんだわ・・・めちゃめちゃ・・・ ― 二人が耳に吹きかける熱い息の感触がよみがえってきた。体中を這い回り、至る所をつまみあげる長い指。ねっとりと肌をなめ回すざらざらとした二つの舌。性器と口の中で熱くなっている硬いペニス。 乳首は硬くなっていた。 「麗子さん。気を悪くしたんだったら、謝ります。でも、僕達、麗子さんじゃないとやっぱり満足できないんです。もう一度だけ来て頂けませんか?」 「よ、よくそんなこと・・・ずうずうしいわ・・・」 「本当に一度だけでいいんです。このままじゃ中途半端で気が狂いそうです」 「これであきらめます」 二人が麗子の二の腕に触れた。指がそっと肌をさすった。 「ほ、本当に最後? 絶対?」 声が微かに震えた。 「約束します」 「約束します」 麗子は双子を車に乗せ、屋敷へと向かった。 < To Be Continued >
2004/03/24 13:05:17(9MBL8GOc)
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