兄貴が結婚した。
　相手は、俺の高校のときの同級生の千秋。実は、ちょっとつきあったこともある女だ。
　タイプでいうと、辻希実みたいな、少しふっくらしたカワイイ感じで、性格は猛烈に明るい。
　あれは、高校三年生の夏休みのときだった。東京の大学に通っていた兄貴がＢＭＷの新車に乗って帰省してきた。駅前で、その女と歩いているところを見つかり、シルバーメタのピッカピカの車から「ようっ！お二人さん！」と声をかけられたときには、本当にビックリした。
　俺たちは兄貴の車に乗り込み、３０分ほどドライブを楽しんでから喫茶店に入った。
「お前の彼女か？」家に帰った後、兄貴から根ほり葉ほり聞かれたが、照れくさいので「そんなんじゃないよ」と適当に応えていたら、「じゃあ、電話番号教えろよ」と、相当気に入ったみたいな様子だった。
　受験を目前に控え、忙しくなってきた時期だったので、その女とは疎遠になってしまったのだが、どうやら兄貴の方が、よろしくやっていたらしい。
　式の当日。父親が早くに死んでしまい他に男の親戚もいなかったという理由で、彼女をエスコートしてバージンロードを歩く役が俺になった。控え室に行くと、係りの人から、彼女の母親が体調を崩し（下痢だったそうだ）式が遅れるので待っていて欲しいと言われた。で、部屋にはウエディングドレス姿の千秋と二人っきり。
「千秋、すっげぇきれいだよ」
「ええっ？ヒデちゃんに、そう言われるとヘンな気分」
　事実、大人になった感じの千秋は色気ムンムンで、大きく開いた襟ぐりから覗く胸の谷間に俺の目は釘付けになった。
「やだぁ（笑）、ヒデちゃんったらエッチなこと考えてるでしょ？」
　大人っぽくなったとはいえ、明るい性格は昔のままだ。
「なあ、千秋。兄貴は、俺たちのこと、どこまで知ってんの？」
　実は、ひょんなことから千秋の処女を奪ったのは、この俺なのだ。
「なんにも・・・」
「えっ、なんにもって、俺たちがつきあってたことも？」
「そうよ。だって、ヒデったらぜんぜん連絡してくれなくなっちゃったし、ナオちゃんが（兄貴の名はナオキ）すごく熱心にアタックしてくるし、なんとなくこうなっちゃったから、なんにも喋ってないの」
「そっか」
　千秋の目に、俺に対する複雑な気持ちがあるのを察して、なんだかおかしな気分になってきた。
「なんだか、きれいになった千秋を見てたら、兄貴に渡すのが惜しくなってきたな。ほんと、きれいだ」
「いまごろ、そんなこと言われたって・・・ずるいよ。ヒデちゃん・・・あっ！」
　気が付くと、俺は千秋を抱き寄せていた。
「あっ、ダメよ。ヒデちゃん。ダメだったら」
　ところが、最近の俺は「ダメ」とか「いや」って言われると火が点いてしまう体質になってしまっているのだ。俺はしゃがみ込むと、ウエディングドレスの裾をまくり、スカートの中に潜り込んで、千秋の太股を抱きしめた。
「ダメッ！誰かに見られちゃう！」
　悲鳴を上げる千秋を無視して股間に顔を押しつける。ほんのりと牝の匂いが漂う。薄暗いスカートの中で目を凝らすと、付けている下着は普通のパンティーではなく、クロッチの部分にホックがあるボディースーツのようだ。
「ああ、お願い。ヒデちゃん。やめてったら」
　ホックが外されたのを知って、千秋の抵抗が激しくなる。俺は無理矢理足を開かせ、あそこに舌を這わせる。ジョリジョリとした茂みの先にある部分に分け入ろうと舌の先を硬くする。やがて、ヌルッとした肉の感触。
　もっとも敏感な部分を弄ばれ抵抗がゆるんだ。あそこに指を入れながらクリトリスを舐め続ける。千秋は立ったまま、おれの悪戯に耐えている。
　しゃがんだ姿勢に疲れ、スカートの外に出て、次の行為に移ろうとした、そのときだった。
　ドアがノックされ、係りの人に付き添われて彼女の母親が入ってきた。
　千秋は真っ赤な顔をしてうつむいている。が、式当日に花嫁が泣いたり、興奮したりはよくあること。誰にも怪しまれることもなく、係りの人から手順についての何度目かの説明が・・・
　ふと、千秋の方を見る。目が合う。一瞬、彼女はアカンベをしてみせた。
　ウエディングドレス姿の兄嫁を最後まで犯すことはできなかったのが残念だったが、これからも、いろいろ楽しめそうな予感に、つい、ニンマリしてしまう俺だった。