６
幸樹は、駅前に置いてあった自転車に乗ると
必死にペダルをこいだ。
いつもの見慣れた風景。
眩しいネオンに家路を急ぐ人達・・・
この日常の時の流れの中にあって、
優子は今、それとは全く乖離した世界にいるのだろうか？
もはや、幸樹に罪悪感などなかった。
憧れの優子・・
先ほどまで自分の前に座っていた。
ささやくような甘い声、肩までのストレートヘアー、
黒目の大きい吸い込まれそうな瞳・・・
その姿と、竜也の粗暴な姿が重なり合う。
しかも、他に二人もいた。
あの竜也の仲間だ。どんな連中かは想像に難くない。
幸樹は、発展途上の自身がジーンズにあたり、
今にも果てそうになるのを堪えながら、ペダルをこぎ続けた。

　　　　　　　　７
一体何がどうなったのか？
優子には、理解できていなかった。
幸樹と別れた後、突然からだが宙に浮くような感覚がした。
そして、カビ臭く暗い車に自分はいる。
覆面をした男が３人。興奮したように息が荒い。
二人の男が、左右から自分を挟みこんでいる。
「まだ食うんじゃねえぞ！」運転席から声がする。
ワゴン車がついに「会場」に到着した。
広い資材置場の一角にだけ、照明が灯された。
その下に放り投げるように置かれ、
３人の男に見下ろされたとき、優子は初めて
自分の身に何が起ころうとしているのか理解した。
優子は、恐怖に全身から力が抜け落ちていくのを感じた。
このままでは犯されてしまう。
何とか逃げなくては。でもどこに・・・
そもそも３人から逃げ切れるのか？
男の一人が、優子のカバンを逆さにし、内容物を振り落とした。
音をたて、参考書や化粧ポーチが床に転がった。
　「駄目だなあ、お嬢ちゃん！
　　普段からコンドームは持ち歩いておかないと！」
　「じゃあ、今日は避妊の必要はないって事だな！」
避妊という言葉に、優子の恐怖は増幅した。
「いやああーーーー！」
優子は立ち上がり、走り出した。
どこへ走れば助かるのか、そんな事は知らない。
しかし、今はそうするしかなかった。
そんな哀れな逃避行は、数秒で幕を下ろした。
竜也が、簡単に優子のからだを床に組み伏せた。
すかさずもう一人が、うつ伏せの優子のスカートの中に
頭を潜り込ませた。
優子は、上半身を仰け反らせ、叫んだ。
男は、やわらかくあたたかい優子の双尻に頬をあて、
そして舌で唾液を塗りつけるように舐めた。
竜也は、乱暴に優子のシャツを剥ぎ、カットソーのみにした。
そして、涙にくれる優子を無理やり仰向けにした。
竜也はその大きな手で、優子の胸を握り潰すように掴んだ。
痺れるような痛みが走る。
その苦しげな優子の表情を見た竜也は
さらに両手に力を込めた。
優子の頬を大粒の涙が伝う。
「そろそろ、特等席にご案内しようや！」
傍らで見ていた３人目が言った。
「よし、じゃあこれは邪魔だな！」
スカートから頭を抜いた男が、そういうや否や
そのスカートのファスナーを下げ始めた。
「やめてーーーー！」
優子は、スカートの腰の辺りを必死におさえた。
「はいはい、いい子にしないとな。」
竜也は、おどけたような口調で呟くと、
優子の両手を床に組み伏せた。
「お願いだからーーー！」
優子は脚をバタつかせ、何とか逃れようと抗った。
ファスナーに続き、ホックが外された。
「よおし！いくぞー！」
優子の悲鳴とともに、華奢な脚からスカートが抜き取られた。
号泣が響き渡る。
「このクソ暑いのに、ちゃんとパンスト履いてんのか！
　さすが先生様だな！」
ベージュのストッキングに包まれた優子の下半身に
３人の視線が集中した。
茶色のパンプスを履いたままのその脚は
男たちの腕ほどの太さしかない。
「さあ、ご案内だ！」
３人は、優子を持ち上げると、
木製の椅子に座らせ、背もたれの裏側で両手首を縛り上げた。
その椅子は、地面に固定されているため、
もはや優子はその場所から逃れることはできない。
「先生は暑さに強いみたいだからな・・
　ちょっと違う熱さの方にも強いのかな？」
竜也が、意味ありげに笑った。　　　　　　　　　　　続

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