母の妊娠。
何時ものように帰宅すると、母が出迎え玄関で母との長い口づけが僕の楽しみの一
つ母も答えてくれる、が今日は何故か積極的で無い事が気になった。
「母さん、何か有ったの」と言うと
「い、いや 何も何故」と聞き返してきた。
「だって何時もと違うよ、何か心配事出来たの？」
僕の着替えを手伝いながら
「信ちゃん、ごめんなさい、ママ妊娠してしまったの、今日変だと思って病院に
行って来たの、そしたら三ヶ月だって、先生も驚いていたわ５０歳近くになっ
のての妊娠なんて余り例がないって言ってたわ」
母の年齢は今年で４８歳ぼつぼつ生理も終わる年頃であるのに母はやっぱり若い
のである。
「母さん、それでどうするの」
僕は矢張り心配に成ってきた、親子で子供なんて、どうしても考えられないし、ま
ともな子供が生まれない事も、何処かで聞いた事がある。
「病院の先生は今の内に処理した方が身体の為には良いと言ってたわ、でも２５年
も出来なかった､子供が出来た事はとても女に取って嬉しいの、しかも信ちゃんの
子供よ、その事がとても嬉しかった、ねえ 信ちゃん生んでいい？」
と僕の顔を覗き込んで来た、僕は正直言って大声で「駄目」と言いたかったんだ。
母の子供である自分が子供を生ませるなんて、恐ろしくなってきた、母に熟慮して
欲しいと思ったが言えなかった。

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