性懲りも無く続きをお送りします。
三日目の朝、義母からおはようと挨拶されました。
昨夜は何もしなかった為よく眠れたのか、それとも私が諦めたと思ったのか
は判りません。
朝食を頂いたあと、玄関から出ようとすると見送りに来てくれます。
今日はキスも迫りません。
見送りの声を聞いて社へ向かいました。
キスをしたいけど我慢した訳でなく、その気になれなかった。
昨夜の懇願するような義母の言葉が頭の隅から離れなかったのです。
でもな…
という自分を正当化する理由を探したり、悲しませたくないし…という葛藤
の連続です。

男性なら分ると思いますが、二度も抱くと自分の女になったような錯覚が起
きてしまいます。
なのにどうして…
できれば合意の上で抱きたい。
抱き合いながらお互いの身体を貪りたい欲望と希望は消えるどころか増々膨
らんでいきます。

その日の夕方は帰宅すると、義母は職場からまだ帰っていませんでした。
夜も雨戸を閉める習慣がなく、レースのカーテンだけでは中が丸見えなので
メイン？のカーテンを閉めたり、洗濯物を取り込んだりするうち義母の歩く
姿が。
ごめんなさい～残業頼まれて断れなかったの～と明るい声を発しながら玄関
から入ってきます。
本当に久しぶりの笑顔で私も嬉しくなります。
ちょっと待っててと食事の準備を始めようとするので、たまには外食もどう
ですかと誘ってみました。
少し考えたあと「そうね、滅多に行かないし行こうか！」の快い返事。
義母はアルコールが得意な方です。
ビールはジョッキ５杯くらい軽く、ウィスキーはロックで呑むほどです。
それではという事で、助手席へ乗せ居酒屋へ向かいました。
この際、飲酒運転であろうと構いません。
酔わせて気分をほぐして…が先走ります。
美味しくて雰囲気のいい店を選び、到着すると義母をエスコートするのは当
然でした。
ここでは義母の職場の愚痴、徘徊する謎の人物などの話で聞き役に徹するつ
もりです。
私の話に振られると軽く生返事、すぐに話を戻すことに専念。
普段食べない高級料理を頼み、アルコールも結構進んだ頃。
義母の思いやりのある人柄、好みの顔、落ち着いた性格などを誉めちぎり
最初に顔を合わせた時から感じるものがあった事を改めて告白しています。
アルコールで気分が解れているタイミングを図っていたのです。
はにかむ表情で困ったように視線を落とします。
目の廻りにある刻まれたしわ、少しだけ見える白髪、歯並びはいい。
若い女性には無い全てを経験した完璧な女と思えたのは酔っているせいか…
この女が欲しいと思わずにいられなく、その場で抱き締めたくなるのを抑え
ることが苦しかった。
「私はあなたが思ってるほどいい人間じゃないよ」と呟くように言う。
仕切られた座敷に二人が向かい合って座っている。
こんなに真近で顔を見ながらの長いお喋りは初めて。
義理の関係では無く、男と女のムードが少しだけ漂っていたように思えま
す。

こちらも酒だけは強い。
ではと、次の店へと走らせました。
もう帰りましょうよと言う義母を軽くあしらい郊外のショットバーへ。
かなり暗い店内に義母は驚き、数人いるカップルは肩を寄せ合っています。
奥へ並んで座り、ウォッカとジンのカクテルを注文。
やはり強い義母は何杯もお代わりします。
これだけ呑んでもしっかりした口調に少しの焦りが。
でも所詮女か、左手を背中へ廻し脇腹を抱えるように寄せてみるが抵抗な
し。
完全に気が緩んでいることが分ります。
きりっと睨む目に威力は無く、逆に艶っぽさが溢れています。
我慢できず抱き寄せたまま髪の匂いをかいだり、耳へ唇を押し付けたりを繰
り返します。
バーテンは気を利かしてテーブルを離れます。
あまりの暗さに別のカップル達もよく見えません。
思い切って、顎に手をそえキス。
ダメっと顔を背けるけど、引き寄せるとキスができる。
自然と左手に力が入る。
感情が少し変化しているように思えました。
アルコールのお陰です。

長くなりました。この辺で。