身勝手な論理で悪意を注ぎ込みながら俊介は　女は事情はどうであれ生まれ
てくる子供を無条件に受け入れ、育てる事が出来るのだろう。十ヶ月その身
体に育むからだろうか？　その子の出生の秘密を墓場まで持っていても行っ
たとしても明かす事無く育てる事が出来るのだろうか？タヅにしてもそうだ
陰口をものともせず育て上げた。何故だ？男は注ぎ込めば終わり。結果とし
て子供が出来ても其は其　自分で信じ込む事でしか自分の子と認識出来ない
生き物であるのに対し　女は体内に宿し日々を送るうちに母に成る準備が整
うのでは？　激痛戦い　産み落とす。　三時間おきの授乳　小さな手　プｯク
リとした頬　熱い位の体温　その腕に安堵の表情で眠る愛らしさが　女を女
で有り続ける事を許さない。　母性が羽化した女は好むと好まざるとに関わ
らず母と成り。その繰り返しが今を生み出し　今が過去と言う概念を生じて
いる事に気付いた。ベッドにその温もりを失い冷え始めた体から俊介は抜け
出た。祖母の体内に宿る為に。

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