さっき、30の時に別れた妻が尋ねてきた。
開口1番、「ね、お金ちょうだい」
ね？
バカでしょ笑
あげる訳がない。
今、幾つなのかって？
元妻も自分も53。
元妻とは26の時に付き合い始め、30で別れた。
別れた理由がなにかって？
じゃ、少し元妻の昔を少し話そう。

付き合っている時は、まぁ普通に優しい子だと思っていた。
ウエストは寸胴だったけどね笑
あとは、ホントに普通だった。
が。
結婚が決まり、結納になると本性が現れ始めた。
私の意見など一切求めずに元妻の父親と共謀し、勝手に土地と家を建てる業者を決めて、着工日まで決めていた。
「〇月〇日から、〇〇って言う所に家建てるから」
と、それだけだった。
そして、その日から段々とセックスを拒否する様になった。
妻は、結納が決まってから仕事も辞め、昼間は俺の稼いだお金だけで友達とランチに行ったり、ドライブに行ったりと忙しいのだろう。
俺がセックスを誘っても「今日も疲れてるから出来ない」
そして、結婚も決まり、日取りも決まると完全にセックスを拒否してきた。
「わたし、セックスは男の顔でしたいの」
「じゃ、子供はどうするのさ？」
「は！？子供なんか作るわけないでしょ！」
ここで、やっと俺も後悔し始める。
俺もバカだった。
誠心誠意、真面目に働いて、妻にも優しくしてたらきっと妻も解ってくれるだろう。と、結婚式を挙げた。
それは、間違いだった。
妻は、働かない上にこんな事まで言い始めた
「あたしさ、あんたと結婚してあげたんだからさ、あたしを自由に遊ばせても余裕ある働き出来ないの？」
(何言ってんだ、コイツ！お前のヴィトンのバッグもカルティエの財布も、イヴサンローランの時計も俺の金で買えたんだろうがっ！)
セックスもしない、働かない癖に無理難題、日に日に肥えてゆく妻の脂肪。
(ダメだ、もう付き合ってられない)
そう決断するまでに4年も我慢してしまった。
離婚を切り出した時、妻は泣いて謝り「あたし、甘えてたの甘えさせてくれると思ったから！だから、お願い！別れるなんて言わないで！」
そうだろうな！
イケメンの浮気相手に振られたはかりだもんな！
俺は知っていたんだ。
でも、1度は好きになった人だから、慰謝料なんて請求なんかしない。
ただ、目の前から消えて欲しかった。
俺は、離婚届の自分の書く箇所を全て埋め、妻に差し出した。
建てちまった家も妻にやり、妻に買ってやったもの全てもそのままに、妻にこう言った
「もうごめんだ。もう1日も〇〇の顔を見たくない、俺は今から実家に帰るから、後は好きにしろ」

その妻が23年振りに顔を出したかと思ったら、ホームレスさながらの姿で「金をくれ」だった。
前歯は、殆ど無く、顔も化粧なんか何年もしていないのだろう浅黒く、染みだらけ。
同情すら湧かない。
「お前にやる金なんかある訳ないだろっ！何様だっ！とっとと帰れよ！」
内心、ざまぁ！と思った。
しょんぼり肩を落とし、サビサビの自転車に跨り、元妻はどこかに消えて行った。
結婚なんて、みんなはいいものだとか、守るものがあるのは力になるぞ、とか言うけれど、俺はもう懲り懲りだ。
30から今まで、妻の後に付き合った人は居ない。
セックスは、まぁワンナイトでたまに。
53にもなって、愛がなにかさっぱりわからない。
ドラマや映画の様な優しくて、思いやりのある女性は存在しないと思っている。
まぁ、存在したとしても俺の前には現れないのは事実だろうな。
好き、とか、なんだろうな？
愛してるって、なんだろうな？
みんな、何を思って結婚生活を送ってるんだろうな？
それだけ愛し合えるって、凄い事なんだろうな？
俺には、経験がないからわからない。
人を好きになっても無駄な事はあったが、それを幸せに思える日は、果たして迎える時がもしかしたらあったのかも知れないが、それを拒否した俺には到底、到達出来ない事なのだろう。