三十数年前。中学2年生の夏休み。僕は記念になる事をしようと、兼ねてより計画していた自転車旅行に出掛けた。

目的地は富士山。行程はかなりテキトーで、「埼玉→東京→神奈川→静岡」予算はお年玉やら小遣いやらを貯めた5万円。いかにも中学生といった感じの浅はかさである。


1時間も経たずに地元埼玉を抜けて東京都内へ。真夏の太陽に焼かれたアスファルトの照り返しがなかなか厳しいが進行はスムーズ。

水戸街道で浅草を経由して日本橋…銀座…。更に自転車を漕ぎ続けて、3時間もせずに東京を脱して神奈川県川崎市入りするが、ここからが苦難の道のりであった。

埼玉県は市町村の数が全国一であるが、一市辺りの面積が小さい。東京23区にしても大きな区はあれどたかが知れている。

一方で神奈川県の市というのはやたらとでかい。
川崎市は言うに及ばず、横浜市などはそれだけで「23区よりでかいんじゃないか？」というくらいに更に巨大で、かつ山あり谷ありで道も曲がりくねって複雑怪奇と言わざるを得ない。

スマホはおろかカーナビすらも無い時代。
僕は時折リュックサックからマップルを取り出して道を確認しながら進むが、神奈川県は余所者の侵入を拒むかの様に、文字通り僕を路頭に迷わせた。


行けども行けども川崎市から出られず、漸く川崎市から出たと思えば、今度は横浜市から出られずに結局、その日は公園で野宿と相成ったが、眠る事もままならずに土砂降りに叩き起こされた。


僕は合羽を羽織り再び自転車に股がる。
2日目の朝を車上で迎え、道路の案内標識を目印にしつつ無心で自転車を漕ぐ。

保土ヶ谷…戸塚と抜けて横浜脱出。藤沢市を越えて深夜には鎌倉市内に入った。


身体はくたくた。

僕は前夜の経験から、屋根付きのバス停のベンチに横になると一瞬で眠りに落ちた…



…が、ふと気が付くと様子がおかしい。やけに眩しく真っ白な光に包まれており、周囲が全く見えず、それどころか身体が硬直して指一本動かない。


ふうっ…ふうううっ…！？助けを呼ぶために叫ぼうにも喉から空気が漏れるばかり。

焦る。死すら予感させる恐怖。僕は何か情報を得ようと必死に目玉を動かすが…自分の状態に更に驚愕させられる事になる。

何と僕は全裸で、ゴムホースにカップを着けたような器具が股間にくっついている。


むがっ…むががっ…！僕は振り解こうと必死に暴れるが、身体はぴくりとも動かない。

何となく目が慣れたのか…周囲が段々と見えてくると、僕の眼前には銀色の人型の何かが居て、何かを話しているのが解った。

そして彼らはひとしきり話終えると、僕の股間の器具のスイッチを入れた。



じゅぼっ…じゅぼぼぼぼっ…
カップは小刻みに振動しながら僕のぺニスを吸う。


うぐぐぐーっ！
好きにさせてなるものかと気を強く持とうとするが、吸われる度に身体がガクガクと震え、体験したことの無い抗えない快楽が脊髄を走る。

んんんんんんっ！！僕は結局、カップに吸われたまま、だらしなく数回射精をして気絶する。


そしてはっと気が付くと…僕は元のバス停のベンチに居り、身体も動く様になっていた。



「宇宙人…あれっ！？夢っ！？」
僕は慌てて飛び起きるが、すぐに夢ではなかった事に気付いた。

その証拠に股間が精液でべったりグショグショになっている…


「あぁ本当の事だったんだ…」
僕は富士山を諦めて帰宅の途についた。


UFOによるキャトルミューティレーションなのか…正直僕には解らない。寧ろ解らない事だらけであるが…


それでも僕はこの事件でいくつかの事を知った。



先ず一つは宇宙人が実在すること。

もう一つは、拘束されてちんこをしごかれるのは思いの外気持ちが良く、強制射精させられるのもまんざらでは無い…ということだ。



正にSF恥辱プレイ



世の中には不思議な事があるものだ。
信じるか信じないかはあなた次第です。