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独り暮らしの自宅に帰ってきたユリは、玄関に靴も揃えず、すぐさまリビングのソファーに深く身を委ねた。 深夜までの残業は日常茶飯事だが、今夜は心底疲れていた。 化粧を落とす気力もない。コンビニで買ったビールを喉に注入し、ため息をつく。 「はぁー 今夜も昨日と同じだ……」終電で帰宅し、ビール飲んで、そのまま寝てしまう。 朝、シャワーを浴びながら化粧を急いで落とし、午前10時には出社しなければならない。 「仕事、午前は休もうかな」ユリは、午後出勤の依頼をメールで送信した。 少し楽になったユリは、手にしたスマホをぼんやりと眺める。 無駄な時間だが、無になれる時間だ。 ブックマークしたケータイ小説をチェックする。 30歳のユリは、10代の頃を思い出させてくれる、淡い恋物語をよく好んで読んだ。 文章が短いケータイ小説はライトな感じで好きだった。本格小説は疲れた時に読むもんじゃない。眠りの妨げになる。 小説をもとに、理想の男性像をこしらえ、「お疲れさま、よく頑張ったね。抱きしめてあげる」と主人公に抱擁してもらいながら、ビールを飲み干すのが、お気に入りだった。 今夜の小説はすこし官能的すぎた。 「濡れちゃったかも……」タイトスーツのまま、ユルは腰をすこしだけ唸らせた。 元カレと別れて半年が立つ。キスの感覚も思い出せなくなりつつある。 ユリにはマイルールがあった。たっぷり濡れたらオナニーする。中途半端だったらしない。 ビールを置き、右手をスカートに入れた。下着を確認する。湿っていた。 「あっ 疲れているのになんで?」ユリは下着に中指を滑り込ませ、第一関節で奥を確かめた。 指にまとわりついた愛液は、中指から掌にかけて垂れてきた。 「あれの日も前だからかしら」中指を顔の前で確認した。 手首まで愛液が垂れてくる。 明日は惰眠ができる。今夜はすこしだけ、冒険してみようかな。 ユリは、クンニが大好きだった。特に目隠しされてのクンニだ。 セックスは疲れる。大概の男は「フェラとクンニならどっちが好き?」と聞いてくる。 男を見極めて、適当に応える術を身につけたのはいつからだろうか。 「どっちも好きだけど、うーん、フェラが好きかも」というと、男は「そうなんだぁ」といって勝手に興奮してくれる。 本当なら男に、「あなたはどんなクンニをするの?」と聴きたい。 テクニックを誇る男は、ほぼハズレだった。 性感の技なんてどうでもよかった。 飢餓で死にそうな男が、生存本能をかけて激しく求めてくるクンニが好きだった。 そんな状況に、女は興奮するのに… ユリは身体の核から感じたかった。 ユリはいつも利用する変態サイトを眺め、ある募集に目が止まった。 「お時間は取らせません。クンニさせてください。車あります」 場所は東京の都心部とある。 近いかもしれない。 ユリはアクセスしてみようと思った。 なるべく注文は多くして。
2018/08/30 15:45:19(Rky6PsBC)
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