何気なく、いつも通る散歩道。
春にこっちに越して来てからと言うものの親しい近所もなく、休日というと家から歩いて２０分程度の公園までの散歩が通例となりつつあった。

春にこの公園に来た時なんかは、桜花絢爛。
散る花弁が、吹雪のように目の前を斜めに流れていた。
人の出も少なくはなかった。
それだけで、少しはしゃぎたくなるものだった。

夏になると人の出は疎らで、濃い緑と蝉が夕立のように煩い。
木陰が爽やかで何度も自然のそよ風に肌を撫でられうたた寝た。

秋。
ちょっと違った。
艶やかな、薄紅色した春。
緑と蝉で忙しかった時とは、打って変わって。
景色自体が、落ち着き払っている。
まるで、こちらが季節の移り変わりの景色を、変化を予想して感銘を受ける様を無惨に裏切るかのような。
心の奥深くに夕陽に染まった朱の秋風で染めていくような。
侘しさと儚く寂しい。

そして、今。
冬となって、この公園は、真っ白となった。
一年を通して、様々な景色を催し、人々に色を見せた自然の顔が、今、又、新たな一年に向けて、リセットしているんだろう。
様々に色を成す為。
純白となって、ゆっくりと芽吹きを雪の下。

また、桜の頃に…