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1:続・曼珠沙華 1
投稿者:
喜久江
ある日、同じ職場で働いている飯島さんと言う未亡人の方が私に話しかけて
きました。 「喜久江さん、聞いた? 副島さん、今月で移動するらしいわよ。」 「えっ! そうなんですか? 知らないけど。」 「そうなの? 喜久江さん、副島さんと一緒の仕事していたから、てっきり 聞いているかと思ったわ。」 初めて聞く話でした。彼が移動するって・・。 「何処に行くんですか?」 「M社の方に出向すると言う話よ。」 M社は、会社に仕事を廻してくれている大手の会社でした。 私はそんな大事な話を、彼が私に一言も話してくれなかった事にショックを 感じておりました。 あの時の事があってから、急に素っ気ない態度で私に接する様になったの も、私自身が招いたものでした。しかし、彼が私に対する気持ちも、同時に 離れてしまった事を今改めて思い知らされたように感じたのです。 「今の話、内緒よ。まだ本当かどうか判らないから?」 飯島さんが私に念を押すようにして、離れて行きました。 その日の夕方の事でした。私が倉庫の整理をしている処に、彼が部品の品出 しにやって来ました。 彼も私の姿を認めると、 「まだやってたの・・もう時間でしょう?」 「これかたずけたら・・帰ろうかと・・。」 久しぶりの彼との会話でした。 「ご主人待ってるだろうから・・早く帰った方がいいんじゃないですか?」 彼らしくない言葉を私にかけてきました。 「別に、待ってなんかいませんわ。なんでそんな言い方するんですか?」 私の意外な反発に副島さんは驚いたのか、 「気に障ったらごめん、そう思えたから・・つい。」 私は、あの時以来、彼と話す機会もなかったので、丁度良い機会かと思いま した。 「まだあの時の事、怒ってるの?」 私が素直に話しだした事で、副島さんの態度が元に戻っていました。 「いや・・怒ってなんかはいない。むしろ自分自身を怒ってるのかな?」 「自分自身?」 「そう、喜久江さんの心を捕えられなかった自分自身の力のなさをね。」 「そんな・・。」 初めて知らされた事でした。 手っきり、あの事で彼に嫌われたのかと思っていただけに、それが間違いだ と知り、少しだけ気持が晴れるように感じてました。 「あれから・・副島さん、あまり私と話をしてくれなくなったから・・」 私はそれまで心に引っ掛かっていた事を彼に話したのです。 そして・・更に彼の口から意外な言葉を聞かされたのです。
2008/08/02 01:35:54(aP/mOGcA)
投稿者:
(無名)
気になるわぁ~
08/08/02 11:04
(7jAJiIm4)
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