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1:曼珠沙華 2
投稿者:
喜久江
前置きが長くなりました。
2人の子供がそれぞれ自分の道を歩みはじめ、私も新たな世界に出て行く事と なりました。大手電機メーカーの下請けの職場、家族的な雰囲気の職場で、 久しぶりに外で働く私を、温かく迎え入れてくれました。私を指導してくれ る事になったのは、社長の従兄に当たる、25才の副島さんと言う方でした。 私の帰る時間まで、副島さんと一緒にいる機会が多く、彼の気さくな性格も あり、次第に私達は親しくなっておりました。私にとって、夫以外で初めて 身近に感じた初めての男性で、自分でも気がつかない内に、彼と夫を心の中 で比較するようになっておりました。真面目だけが取り柄と言える夫、それ に比べ、副島さんはチョッと危険な香りも感じられる人でした。 中でも、夫とは比較にならないのは、グイグイと私をリードしてくれるその 男らしさ・・、半ば強引な感じもありますが、私には新鮮な出会いでありま した。夫には悪いと思いましたが、毎日、彼と会って、話をするだけでも、 職場に行く事が楽しくなっていたのです。そして、働いて初めての給料日が 参りました。 「喜久江さん、如何・・今夜皆で飲みに行くけど、参加しません?」 副島さんが昼休みにそう言って私に声をかけてきました。 「アッ、そうか・・ご主人が待っているんでしたよね・・?」 彼が気ずかいを見せました。 「いえ、今夜位なら構いませんよ、電話しておきますから。」 職場の誘いを断るのも悪いし、久しぶりに家事から解放させてもらえる、そ んな思いが交叉しておりました。飲み会は会社の傍にある居酒屋で行われ、 10人ほどが参加し、女性も3人ほどおりました。一時間程すると、ひとり、ま た一人と帰る人が出始めました。飲み会に慣れない私は、そのタイミングを 外し、帰れないでおりました。そんな時でした。 隣の席の副島さんが、私にそっと耳打ちするようにして言いました。 「課長のあの調子だと、まだまだ長引きそうだから、そろそろ帰って方がい いですよ。」 そう言いました。そして、 「僕、これからトイレに行きますから、そっちから、喜久江さんに声かけま す。そしたらそのまま帰っちゃっていいですよ。あとで僕が課長に言ってお きますから。」 彼がそんな事を考えてくれました。 「いいんですか?」 「大丈夫ですよ、心配しないで。」 その後、彼の策通りに事が行われ、私は何とか店を出る事が出来ました。 すでに8時を過ぎておりました。夫には連絡済みですので心配はないのです が、急いで帰る事にしました。そんな時、後ろから私を呼ぶ声がしたのでし た。
2008/06/23 18:55:11(PiX5XvIP)
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