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色情魔の欲望
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:空想・幻想小説
ルール: あなたの中で描いた空想、幻想小説を投稿してください
  
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1:色情魔の欲望
投稿者: ミキ
老若男女、人には基本的な欲求というものがある。

一般的に食欲、睡眠欲、そして性欲である……。

滅びた肉体がから抜け出ると、どうもその一つが無くなるようだと死んでから初めて知った。

それだけじゃなくて地上で生きている時と、時間と空間の概念が変わるのだ。

時の流れが無いような、部屋の中だって天井だって壁だって立てる。
変な話、壁をすり抜けることだって出来てしまう。

面白いけれど、難点が一つある。

物理的に接触しないということは、人の体をもすり抜けるということである。

生きている人にはこちらの姿は見えないし、だからこそスカート捲りを楽しめると思ったのに、それが出来ないではないか……。

イジケて街中を徘徊した。
繁華街を歩き回り、人の群れの中に突進してみた。

見事にすり抜けて、転んでしまったけれど……。
つまらなくなって歩いていると、横断歩道のある大きな交差点に立っていた。

誰もこちらに気づく者はいないのに、ふと視線を感じてそちらを見た。

綺麗な顔をしたかなりの美人の女性だったが、どういうわけか頭から血を流してこちらを見ているのだ。

聞けば彼女は生きていた時の時間でいうならば、数年前にここで車に跳ね飛ばされたのだと言う。


あなたは?………と聞かれて、そういえば自分はどうして?………思い出そうとしたけれど、記憶がない……。

正確には思い出せそうで、思い出せない……。
ブロックが掛かったように、生前の死の理由が思い出せないのだ。

彼女が言うにはその死があまりにショッキングだと、しばらくは思い出せないのだそうだ。

以前に同じような同類……幽霊と話をしたことがあると言うのだ。

それはそうと何故そこから動かないでいるのかと聞いたら、執着心が強すぎて動けないのだという。

もう十数年、この場に留まっているらしい。
あらかた喋り終えると彼女は興味を失ったようになり、またお喋りしに来てと言ってそっぽを向いてしまった。

その間も生きている人々は信号が変わるたびに、横断歩道を急いで渡っていく……。




腹も空かない、眠くもない………。
街を彷徨い歩き、いつしか公園に辿り着いた。

ベンチに暇そうなおじさんがあくびをしながら、両腕を上げて背伸びをしている。

スーツを着ていて仕事をサボっているのかと、初めはそう思った。

次の瞬間、その彼と目があったのだ。
自分の後にその人の知り合いがいるのかと思って振り返ったが、誰もいない。

彼に向き直ると、笑顔を向けられて手招きをするじゃないか………。



おっちゃん  こっちにお出でよ、取って食いや    
       しないよ………



恐る恐る彼に近づいて、間を空けてベンチに座る。



おっちゃん  いやぁ~誰かと喋るのは久しぶりだなぁ………



俺  あっ…あの……もしかして、貴方は……


おっちゃん  おおよっ、もう死んでからええ
       と………7〜8年になるかな……

俺  そお……なんですね……


おっちゃん  俺は病死だけど、アンタは?………

   そうか、まだ思い出せないのか………
   まぁその何だ、追々思い出すだろうさ……



亡くなってからある程度の時間が経過した彼は、俺の死の理由が思い出せないことの理由を察したようだった。



おっちゃん  いやぁ~同類と言えど誰彼構わず  
     会話が出来るわけでもないからな……
   ほら、死んだ理由はそれぞれだからさ……

それはそうと、何か聞きたいことはあるかい?
何でも聞いてくれよ……時間はいくらでもあるからな……


俺  じゃあ……どうすれば生きていた時と同じく       
   物体に触れられるようになれます?



おっちゃん  そんなことか……見ててみな……



彼は足元に転がる空き缶を数秒だけ見詰め、それを蹴って見せた。



おっちゃん  なぁ?……集中するんだよ、集中……


驚く俺に、おっちゃんは得意げな顔をして笑う。


俺  これが出来たら人にも触れることって、出来るんですか?


おっちゃん  まぁそうだけど、驚かすだけだから慎重に時と場所を選ばないとだな……

昔から幽霊に触られたなんて話、生きていた頃にいくらでも聞いたことがあっただろ?

体験者しか分からないことだから信じない人も多いけどさ、ほとんどが事実だと今は思うね……

まぁ……生きていた頃は、オレも信じない口だったけどな………


そう言うとおっちゃんは、軽やかに笑う。



おっちゃん あっ…そうそうセックスだって次第    
      で出来るはずだよ?

ほら、もうオレたちは肉体がないからさ、物理的に物体をすり抜けながら目標物に触れられると言うわけさ………



そんなことが本当に可能ならばと、その日から俺はおっちゃんの目の前で空き缶や石を蹴る訓練を開始した。

くる日もくる日もそれを飽きもせず、続ける。
なぜ自分がこんなにまで執着するのか、その理由は自分でも分からなかったけれど……。

足が空き缶を何百回、すり抜けたことか分からない……。

おっちゃんはその様子を見ながら何回あくびをしていたか、数えるのは途中でやめた……。


それは突然だった……。
夜が明けかけ、おっちゃんが何十回目かの背伸びをした時………足が物体に触れた感覚を覚えた。

気がついたら空き缶が遠くへ吹っ飛び、音を立てて転がったのだ。

おっちゃんがあくびをしたままの顔をこちらに向け、ニヤリと笑う。



おっちゃん  やるじゃないか……



お褒めの言葉を言って、涙を流してあくびをして見せた………。

      
 
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2025/01/26 03:07:27(i1Crf5MM)
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