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1:マドンナの転落
投稿者:
優香
前回、の同窓会からわずか一年しか経っていなかったが今回はメンバーも規模も違った。
一流ホテルで中学の同窓会が昨年25年目にして初めて開催された。100人程の出席者で二次会までそのホテルで行われた。 しかし今回は二次会に使われた50人程が収容できるラウンジのみで軽食付きの飲み放題のコースで二時間。費用も5000円と低額のコースだった。 黒の優香は誰が出席するのかは知らされていなかった。ブラックの上品で優雅なドレスに高級なジュエリーで着飾って彼女は会場に入った。 開始時間の間際に入場するよう言われていたため優香がラウンジに入ると全員の視線を浴びた。 想像していた通りの連中も多くいた。比較的真面目そうな前回のメンバーとは正反対のメンバー。 女性も5人いたのには驚いた。 卒業して25年、さすがに老けて見える。しかし会話が進むに連れて昔の顔に戻って見えるのは不思議な気がした。 だがそんな中でも優香に美貌は際立っていた。女優としてある有名なテレビの時代劇に一本だけだが重要な役で出演した。 しかし15年前に誰にも知れず引退している。売れる前だったのでそのことを知る者は殆どいなかった。 幹事の恭一に呼ばれて優香は彼の隣に座った。優香は今回は主役だった。 恭一は卒業生全員に案内状を送るつもりだったがそれは真面目の同窓生、同窓会そのものを冒涜するものだと優香が懇願するので メンバーをよって案内状を送付した。 既に恭一と共に前回メンバーにというか正会員の男が5人いた。今回は彼らを含めて50人近くも集まったのはさすがに優香の人気の程が伺える。 5人の正会員たちと恭一も加わって優香に話しかける。 「優香、さすがに凄い人気じゃないか?」 「50人も集まるとはねえ。一年もしない内に噂が広まって卒業生全員に知れ渡るだろうよ。」 「そうなれば何回かに分けて開催しないといけないね。優香うれしいか?」 優香は男達の言葉を聞きながら目を閉じてあたかも自己催眠を掛ける様にしてある物語の主人公に成りきろうとしている。 打ち合わせでも出来ているのか出席者たちはそれぞれ久しぶりの再会を喜んだりした振りをしながら優香を品定めしている。 優香はその視線を強く感じていた。 全員来たことを喜んでいた。期待以上の美しさ。20代の頃の優香をテレビで見ているが時間が経過すると40才になったばかりの優香には 大人の色気もその優雅さも加わって男達をたまらない気分にさせている。 そしてもの珍しく集まった5人の女たちも潜んでいた加虐の意識に火を灯すのだった。 「優香。山田だ。それと今井。今は山田の奥さんだけど。」 「優香さんお久しぶりね。去年の同窓会は来れなかったけど今日はあえて良かった。うれしいわ。」 「お久しぶりです。」 優香は催眠から覚めた様にハットなって答えた。 何人もの男が挨拶に来たが半分以上は記憶になかった。 やはり優等生は少なかった。殆どが不良の山田につるんでいるような連中なのでそれは優香には仕方なかった。 そして閉会の時が迫って来た。 すると山田夫妻の所に全員が会費なのかそれぞれ一万が差し出されていた。 「実はな優香、二次会の席は山田が提供してくれたんだよ。まさかこんなに集まるとは思って無かったし会場探しに困っていたら 田は声を掛けてくれたんだ。君も会費を払って礼を言いなよ。」 案内状にどんな卑猥で恥ずかしい事がかかれていたのだろうか?優香はその時点では知らされていなかった。 しかし全員が二次会までお金を払って出席するとは優香は後で知らされて納得した。 「優香さん。支度?ってあるのか知らないけれど打ち合わせがあるから一緒に来てよ。先にね。」 支度?と言っても優香は裸になるだけだ。それを皮肉って言ったのだろう。 タクシーで夫妻と恭一と優香が乗り込んだ。 山田は高校を卒業した後何とか悪い道には進まずダンプに乗っている。 結婚は早く高校生の息子がいるそうだ。 こんな連中にもちゃんとした家族があるのだ。優香が自棄になった原因の一つはそこにあった。 ある男の二号になり子供はいない。その男もこの世をさり優香には幸せな家庭も子供もいなかった。そのことに優香は劣等感を感じていた。 一種の病気なのか自分が世界で一番最低な人間であると感じることがあった。 そんな弱みに付け込んで巧に優香の秘密を聞きだしたのがエリートだった恭一だ。 優香の死んだパトロンは親子位の年の差があった。ある官能小説と言うかsm小説の作家のファンだった。 そしてそのヒロインに優香を仕立てて何人かの同志を集めてはちょっとした余興を楽しんでいたのだ。 優香も次第にその世界に引き込まれすっかりヒロインに成りきっていたのだ。 だが男は死んで優香は寂しいやるせない生活を送っていた。同志の連中も高齢で次第にその怪しげな催しも開かれなくなった。 その後優香は自分一人でその妖しい会を復活させた。 原作を元に何本も脚本も自ら書き上演されることもないその寸劇を想像し自分で慰める日々が続いた。 一年前、恭一にそのことを打ち明けてしまった優香だがその時に入った5人のメンバーと前の高齢のメンバーの協力も得て昨年に【優香の会】が 正式にスタートしたのだった。
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2024/05/02 11:31:34(iuPstDzx)
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