午前中頭の中が真っ白になったまま、何をしていたのかさっぱり分からないまま昼休みを迎えた。
「坂口さん、ご飯行かない?」
仕事が一段落した時店長の滝本が声をかけてきた。敦子は滝本が上司として好きだ。話をちゃんと聞いてくれるし仕事もできる。
そんな滝本の誘いなのでいつもなら二つ返事で了承するのだが、今日はそんな気分にはなれない。気分というよりもやらなければならないことがある。
「店長、すみません、今日はちょっと行くところがあって」
「そうか、分かった」
滝本は残念そうな様子で外に出て行った。
申し訳ないと思いながらも滝本のランチの誘いを断り敦子は外に出た。
会社の近くは嫌だな、同僚に会いたくないし滝本とバッティングしたら最悪だ、そう思いながらいつもランチに行く方向と逆方向に歩き出した。