仕事を終え、帰宅を急ぐＯＬ綾香の目前に
　　突然、普段とは違う異様な光景が目に飛び込んで来た。

　　駅ビルのショップで、販売員の仕事をする綾香の帰宅は毎日２３時を回る。
　　何度か、怖い思いした経験から夜道は出来るだけ人通りのある明るい道を選び
　　帰宅するようにしていた。
　　駅から歩いて１０分、住宅街にある公園を過ぎれば、自宅マンションである。
　　街燈に明るく照らされた住宅街の道は、先ほどまで賑やかであっただろう家族
　　団欒の時間を終え夜の帳に包まれる。
　　碁盤の目のようにきれいに整備された住宅街の角を曲ると、
　　街燈の届かぬ公園内は道路とは違いうす暗く感じた。

　　何気なく上げた目線の先に、入口間近の公園の街燈、直ぐにはそれが人間とは
　　思えなかった。　誰かによって放置されたダンボールのゴミかと思い通り過ぎる
　　その時、それが人間の裸体であることが認識された。

　　突然現れたその光景に、恐怖を感じ動く事はおろか、声さえ発する事ができない。

　　街燈により掛かる、全裸の死体かと思われた物体は、まだ僅かに動く気配があった。
　　見てはならぬものを見た。そして、　再び動く事が出来なくなった。

　　綾香が目に触れたその光景とは、

　　何ら着衣を許されず、街燈の支柱を背中抱きに後手拘束さらた男の姿であった。
　　何かを訴える声は、ボールギャグを硬く結ばれ呻き声にしか聞こえない。
　　体には、綺麗に格子模様を解かされた赤い縄。
　　ガニ股に開脚された大腿には何重にも巻かれた縄が支柱をで止められ
　　暴れる事を防いでいた。
　　首から掛けられたプラボードに
　　「　変態Ｍ男調教中　」
　　下段には、自筆文字で、　「ボクの姿を見てください」とある。
　　少し落ち着き取り戻した綾香は、再び驚かずにはいられない物を見てしまった。
　　男として有るべき男性器には、有るべき陰毛は綺麗に刈り込まれ
　　男の象徴　陰茎には縄が幾重にも巻かれ、睾丸がまるで腫れ物でもあるかの
　　ように、飛び出ていた。
　　亀頭部に巻かれた細縄は下に垂れ、ブロックを釣り上げんと結ばれている。


　　経験がないわけではないが、このような異様な男性器を初めて目にした綾香は、
　　喉の渇きを感じずにはいられない。
　　
　　本来なら、上に向かい雄々と起立する陰茎が、ブロックの重みに耐え切れず
　　下を向いてはいるが確かに勃起している。
　　赤黒く変色した男性器全体は、血流を妨げられ萎えることを許されはしなかった。

　　全てを理解した綾香は、背中に冷たいものを感じる。
　　と、同時に日常から逸脱した光景にある種興味も感じていた。

　 落ち着きを取り戻した綾香は、この光景を他人に見られはしないかと、
　　周りを見渡したが、すでに人通りの途絶えた公園。
　　人に見られる恐れは無さそうである。

　　次ぎに綾香が取った行動は、
　　バックに放り込んできた携帯を取り出す事。
　　この異様な光景を目に焼き付けるだけではなく、写メに焼付けようとしていた。