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契約彼女6
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:SM・調教 官能小説   
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1:契約彼女6
投稿者:
契約彼女6‐1

俺の目の前で大きな鮫が身体を翻した。

「大きかったですねっ」

友恵は声を上げ、はしゃいでいた。
元カノと行こうと言ってて、結局来れなかった水族館。
そこに友恵を誘ってみると、快く引き受けてくれた。
それが俺たちの関係。
美佳には言い返せなかったが、決してセックスフレンドではない。
しかし友恵をここへ連れて来ようと思わせたのは、美佳が俺たちの関係を捉え間違えてくれたからなのだろう。

「そろそろ帰ろうか」

「えぇ~……」

子どもかっ!

「友恵は行きたかった所ないの?」

「行きたかった所……」

大きな水槽に視線を向ける彼女は、何処か寂しそうに見えた。

「……行きたい所は、遊園地ですかね」

「遊園地? じゃあ、今度行こう」

それが俺の役割だ。
思い思いに泳ぎ回る魚たち。
その光景を閉じ込めた水槽に顔を向けているはずの友恵の瞳は、どの魚の姿も追っていなかった。



8月は下旬を迎え、夏の終わりを告げるツクツクボーシの声ももう聞こえない。
このファミレスに来る客も、長い夏休みを持て余す大学生の姿が目立つようになっていた。

「はぁ~……」

やっと終わった。
深夜の2時を回り、クローズ作業を済ませたスタッフ数人と煙草をふかしていた。
仕事の後の一服は、食後のそれと並ぶほど一際美味い。
フィルターギリギリまで堪能し、灰皿に擦り付ける。

「お疲れさまです」

店の前でそう声を掛け合い、俺たちは散り散りになった。
蒸し暑い夜に、気の早い虫が秋の訪れを知らせている。
たまたま通った車が俺の横を通り過ぎ、生温かい風を浴びせてく。
そして、どこか物寂しい想いを置いていった。
俺はその原因がわからないまま、重い足を動かしていた。
友恵の待つ、俺の部屋に向かって……。
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2010/10/08 17:36:58(/3PTCMym)
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