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1:黒い下着1
投稿者:
ま
中学生二年生のときのことである。同じクラスの白井由紀という女を好き
になった。白井由紀。しらいゆき。しろいゆき。白い雪。多分そういうこと だろう。名前の通り、肌が、透けるように白く、雪のように綺麗であった。 顔立ちも美しかった。僕の好みであった。といっても、今思うと、好みの顔 をしていたから好きになったのではなくて、好きになったから、その人の顔 が好みになったようだ。何故好きになったのかといえば、彼女の無邪気さで あろうか。屈託無く僕と話してくれるのが嬉しくて、いつのまにか惚れてし まった。これも、今思うと、彼女はいわゆる男受けする女だったから、僕以 外のどの男子に対しても、僕と同じ態度だったようだ。僕と同じ理由で彼女 を好きになった男子は多かろうと思う。 しかし僕は、白井由紀に惚れる大勢の男子の中の一人、ではなかった。確 実に、彼女にとって特別な存在になった。 そのことを話す前に、少し思い出話でもしようと思う。 中学校というのは、何かというと出席番号順に男子一列、女子一列になっ て並ぶことが多いものである。僕の名前などはどうでもいいから言わない が、極めて幸運なことに、二年生のときは白井と同じ番号だったので、そう いうことのたびに隣になって、話すことなどができ、大変嬉しかった。その ときは、朝礼のときで、やはり男女並んで、出席番号順に一列ずつ作り、僕 と白井は隣同士であった。 朝礼は、全校生徒が集まって並べば始まるので、早く並べば他の人が並び 終わるのを待つことになる。僕のクラスは偶然真面目な人間が集まっていた のか、いつも並ぶのが早いほうで、早く並び終わると、別段誰も座れとは言 わないが、立っていろと言う者もいないので、何となく座って待つのが習慣 になっていた。雨の日だと、朝礼は体育館で行われるので、男子はあぐらを かき、女子は横に足を崩して座る。雨が降っていなければ、外で行われるの で、そのように座っては制服や足が汚れる。そこで男子は、うんこ座りとか ヤンキー座りとか言われるような座り方をする。女子は、まあ普通にしゃが む。けれども、無防備にしゃがんでは、スカートの中が見えてしまうので、 スカートの後ろを太ももとすねの間に挟むようにする。丈を短くしている子 などは、それだけでは足りないので、さらに膝を下にさげて、尚且つ手をそ の膝のうえにちょこんと乗せて、どうにか下着が見えないように努力をして いる。女は大変だなと思うが、癖をつけてしまえば無意識にそうするような ので、そう思うには及ばないらしい。 白井は、ギャルめいた子ではないからというか、別にギャルだからスカー ト丈を短くしたり、スカート丈の短いのがギャルだったりするわけではない のだが、まあとにかく普通の丈の長さ、膝が見え隠れするくらいにしてい た。僕はその、見え隠れするくらい、というのが好きであった。勝手な想像 だが、ちょっとおしゃれにスカートを短くしてみたいけれど、露出を多くし たり、露骨に流行りを追っているように見えたりするのが恥ずかしい、とい うような、恥じらいの心があるように思えて、そんな彼女を可愛らしく思っ た。他の女子の大多数もそれくらいのスカート丈をしているのに、白井に対 してだけはそう思っていた。馬鹿である。色惚けである。 隣同士に並んだ僕らは、いつも通りに話を始めた。内容は、いつも大した ことはない。昨日見たテレビ番組のことなどである。その他のことも、重要 度においては、ほとんど変わらない。けれどもその頃の僕は、その瞬間が、 一日で最も幸福な瞬間であった。それから後、授業や部活なんかは全ておま けであるとさえ思っていた。 幸福な僕は、他のクラスメイトが、クラス全員並び終わったのでそろそろ 座り始めているのを見て、自分も座った。白井も座った。そうして僕は、話 の続きをしようと、白井を見た。僕は愕然とし、すぐに目を逸らした。心臓 がやかましくなって、汗が全身から噴出した。 白井は何故か、いつものようにスカートの後ろを太ももとすねの間に挟ま ずに、後ろに垂らしたまま、しゃがんでいた。そのために、向き合った僕か らは、スカートの中が丸見えであった。スカートの中には、白く美しい脚が 二本と、その付け根には、下着があった。その下着が、ただごとでなかっ た。黒い下着であったのだ。僕は一瞬、ブルマをはいているのかと思った が、ちらと見ただけでも、その生地が、ブルマのようにもこもことした質感 をしていないことはわかった。それだけでなく、下着のふちのあたりなど に、模様があるのもわかった。あまりに衝撃的な光景だったので、強烈に印 象が残ってしまったのである。 その日はもうそれだけで終わった。授業も部活も上の空で、なんのために もならなかった。頭の中を駆け巡るのは、白井の黒い下着。思い出せば思い 出すほどに、その映像は鮮明に脳裏に浮かび上がった。肌が白いだけに、そ の下着の黒さがより一層際立っていた。音で言うなら、ばっちり、とでも言 いたいくらい、映えていた。さらに、僕が最も強く目に焼き付け、性欲的興 奮を感じたことは、下着が、覆っている肉のかたちに沿って、凹凸を作って いたことである。割れ目と、その両脇の盛り上がりを、はっきりと視認した のである。つまり、まんこのかたちを、下着の上からでも確認することがで きたのである。それを思い出すと、僕のちんこはかちかちになった。授業中 でも構わずそうなるので、弱ってしまった。学校が終わり、家に帰って、自 分の部屋に入ると、早速、割と覚えたてのオナニーをして、たぎりを沈め た。 オナニーの後、色々と考え事をした。まず、白井の下着を見て、すぐ目を 逸らしたことを後悔した。白井は、下着が見られていることを気付いていな い様子であった。どうせ朝礼が始まって立ち上がるまでの短い間なのだか ら、もう少し見ておけばよかったと思った。しかし、あまりあからさまにじ ろじろ見たら、目線ですぐ気付かれるだろうし、そうなると軽蔑されるのは 確実であろうから、あれでよかったのだとも思った。それから、何故下着が 黒かったのかということを考えた。この考え事にはかなり時間を割いた。そ うして僕は心を苦しくした。女子中学生が、黒い下着を着用して学校に来る 心境が、どうしても想像できなかった。その日は確か体育のない日であった が、白井は女子バスケ部員なのである。着替えのときどうしたのだろう。あ んな事件がなくても、他人に見られることはあるのではないか。それとも今 時の女子は黒い下着など平気ではくのであろうか。まさか。最も健全な予想 は、自分の下着がことごとくはけない、例えば全て洗濯して乾いていないと か、そういう状況に陥って、やむなく母親のを借りてきた、という予想だっ た。最も醜悪な予想は、あの下着は当然白井本人のもので、おしゃれのため にはいた。おしゃれをするからには、見せる相手がいなければつまらない。 女子を相手にそんなもの見せびらかして喜びそうにも思われない。すると、 相手は男子である。下着を見せる男子との関係は、つまり…。マイナスの方 向へは、思考は際限なく拡がっていった。根拠もないのに、悪い想像ばかり して、一人で勝手に煩悶した。もう嫌になって、最も健全な予想を、それが 真実だと信じ込もうとした。けれども、悪い考えは、不意ににゅっと脳の中 に現れた。特に、床に入ってからは著しかった。それがために毎夜転々し て、僕の平均睡眠時間は二時間ほど短くなった。 そのときの白井が、わざと僕に、その黒い下着を見せようとしていたと知 ったのは、後になってからである。 思い出話はまだある。
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2006/08/23 22:41:50(LBkEts0w)
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