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1:クリスマス
投稿者:
ま
クリスマスの日、初めて出来た彼氏と、デートをしていました。
いつもは行かないような、ちょっとお洒落で高級しなレストランで食事を して、楽しくお喋りをしていました。デートといっても、格別すごいような ことをするわけでもなく、二人で食事など珍しくもないのですが、まだ日の 浅い私たちにとっては、二人でいられるだけでも心が弾んで、まして、クリ スマスという、恋人たちにとっては最高にムードがいい日なのだから、それ は尚更でした。 けれども、私は、そのデートの後に、すごいことを計画していました。彼 との、そして私一人にとっても、初めてとなる、エッチです。 交際を始めてから、彼が私としたがっているのは、知っていました。私は いやではなかったのですが、勇気が出ずに、申し訳なく思いながらも、拒ん でいました。彼は、強引にはしてこず、私の気持ちを尊重してくれて、私 は、そういう彼の優しさが痛いくらいに嬉しく、いつかはしてあげたいと、 また、初めての相手はきっとこの人にしよう、と思っていました。そう思っ ていたところへ、クリスマスが近づいてきましたので、私は、これだ、と決 意しました。こういう日に、大好きな人と初めてのエッチ。きっと、必ず、 絶対、素晴らしい思い出になるに違いないと、うきうきわくわくしながら、 その日を迎えました。 食事が済んで少し話すと、彼は、私にプレゼントをくれました。綺麗な、 とても綺麗なネックレスでした。体が溶けてしまいそうなほどの幸福感っ て、こういうものなんだ、と私は意識しました。男の人が、女物のネックレ スを買うなんて、なかなか勇気のいることのはずです。彼は、きっと、私の ために、恥ずかしいのを我慢して、アクセサリ売り場に入って、品物を吟味 して、どれが一番私に似合うだろうなどと考えながら、これぞというものを 手にして、レジに出すときなど、恥ずかしさの極地でしょうに、買ってきて くれたに違いありません。そんな私の想像は、しかし、私の自惚れから起こ る幻想に過ぎないかもしれませんけれど、そうだとしても、私はしんから幸 せでした。 私ばかりが幸せに浸っていては、不公平です。私のお返しの番。けれど も、私は、物品は用意していません。そこで、先に述べた私の計画を、話し ました。 「プレゼントは、あたし」 そう、言ったんです。嗚呼、もう、恥ずかしい。恋に溺れた女は、恐いも のを知らないものです。こんな下卑た言葉を、寧ろ得意になって言うので す。今にして思えば、こんな言葉で、彼のほうが興醒めたらどうするんだ、 と当時の自分を叱り飛ばしてやりたいです。けれども、まあ、彼のほうも、 単純に喜んでくれたので、救われました。 電車に乗って、彼の最寄の駅に着いた頃には、すでに深夜でした。 師走の、寒く暗い夜道を、私たちは、ちっとも寒くない心持で、手をつな いで歩いていました。私たちは、わざと、一組の手袋の、左手右手を、私と 彼の左手右手にそれぞれつけ、素手のままのほうの手をしっかり結んで、そ して彼のコートのポケットに入れてもらっていました。そうした方がお互い の温もりが伝わって、より暖かい気がするのと、そんなことまでして、触れ 合っていたい気持ちから、そうするのでした。 本当に、幸せでした。 しかし、歩いているところが、いけなかったのです。 公園を通り抜けていくと、早く着くので、そうしていました。その公園は けっこうな広さの、地図で見てもなかなか大きく見えるくらいの公園で、街 頭の明かりが全く届かないところも多いのです。そういうところを、歩いて しまっていました。しかも、深めの茂みが多いようなところでもありまし た。 突然、背中にものすごい重みを感じて、私は重さに任せて倒れてしまいま した。心臓が割れるかと思うくらい驚いたことは、言うまでもありません。 咄嗟に危険を感じて、彼がいたほうに首を捻じ曲げると、彼も倒れていて、 しかも、彼の背中には、知らない男がのしかかっていて、私は再び驚き、私 の背中の重みの正体も、人間のものだと確信しました。 それは当たっていて、すると私は猛烈な恐怖を感じて、何とか逃れようと 必死にもがきましたが、すでに体を抑えつけられていて、逃れられませんで した。そうしているうちに、私の背中に乗っている奴以外にも、周りに人が 集まってきて、その様子から、それら全員が仲間だと用意に察せられて、私 の恐怖は瞬く間に飽和点に達しました。 私と彼は、茂みの奥深くに引き摺りこまれました。複数の男に抑えつけら れ、全力で抵抗しても、それは抵抗のうちに入りませんでした。助けを求め て彼を見ても、彼も同様のようでした。彼は、知力のほうは、私など足元に も及ばないくらいなのですが、腕力のほうとなると、頼りないことこの上な く、女の私でも勝てるのじゃないかしら、と思われるほどで、そんな人が、 複数の男に抑えつけられて、身動きできなくなっていたとしても、責めるべ きものではありませんでした。 私は、絶望しました。これから、なにをされるのか、考えたくもありませ んでしたが、だいたいわかっていました。また、彼のことも心配でした。 男たちは、なんだかわけのわからない、下らないことを言いながら、予想 通り、私の服を剥ぎ取っていきました。もちろん、抵抗、したつもりでした が、かすかに身動ぎしただけで、ほとんど無抵抗に近い状態で、あっという 間に裸にされました。 彼は、やめろ、と絶叫しました。が、すぐに口を塞がれて、あとは呻き声 が聞こえるだけになりました。 全裸の私の脚をこじ開けて、その両脚の間に、下半身を露出した男が立ち ました。私は、どうにか脚を閉じて、その男の股間に蹴りでもおみまいした かったのですが、片方の脚に一人ずつ、しっかり脇に抱え込んでいて、それ もできませんでした。 さっきまで、彼と初エッチをするんだ、と。彼に、私の処女を捧げるん だ、と。そうして色めきたっていたのに、どこの誰かもわからない、下衆な 強姦魔に、奪われてしまう。その悲しみを言い表すのには、言葉などでは足 りません。 悲しもうが嘆こうが、そいつの知ったことではなく、無残にも、私の操は 奪われてしまいました。もうすぐで彼にあげるはずだったのに…。 そいつは、私が処女だと知って、喜んだようでした。私は、最早、空虚な 思いでそいつを眺めていました。諦めてしまいました。生きる望みを絶たれ た思いでした。 しかし、彼の幽かな呻き声が、遥か彼方から聞こえたような、けれども確 かにはっきりと聞こえた彼の声が、私に正気を取り戻させました。 私は、極めて理不尽に強姦され、処女でなくなってしまった。しかし、そ れは身体上でのこと。心のほうは、心の処女は、失っていない。体の処女は 奪われてしまったけれど、せめて、心の処女だけは、奪わせやしない。こん な奴らに、心まで奪われてたまるものか。私はそう思って、それからはも う、なにをされても、完全に、そいつらをはなから否定する気持ちになりま した。 どだい、ちっとも気持ちよくありませんでした。痛くてたまらないし、自 分の体内に異物が入って蠢いている感じが、何とも言えず気味悪い。私は、 とにかく、終わるのを、歯を食いしばって待ちました。彼のことが心配でし た。かなり手荒く抑えつけられているようなので、怪我でもしやしないか と、自分のことより、彼のことが気がかりでした。 いれかわりたちかわり、男たちは私を犯しました。私は声を出しませんで した。それがせめてもの抵抗でした。もっと鳴け、と言って、顔を叩く人も いましたが、こんな奴らに屈するくらいだったら、いくらでも叩かれてやる と、かえって口を固く閉じました。 さんざんなぶられ、もみくちゃにされて、どうやら終わりました。体中に 精液がへばりつき、中にもいくらか出されたみたいでした。しかし、私はそ んなことより、彼のことが心配で、彼のほうに顔を向けると、ちょうど彼が 走り寄ってくるところでした。 体が汚いのもかまわずに、私をひしと抱いてくれました。肩が震えてしま した。私は、心までは奪われていないのだから、悲しまないで、と心の内で 言いながら、彼の体を調べて、外傷らしい外傷は見当たらなかったので、ひ とまず安堵しました。 しかし、体を離して、彼の顔を見た瞬間、また恐怖が、それも、先の恐怖 などとは比類にならない、すさまじい、天変地異のような恐怖が、私を襲い ました。 彼の顔は、温厚な性格からはとても想像できない、いえ、かなり気性の荒 い人だって、そうそうできるものではないだろうというような、恐るべき形 相をしていました。悪魔。鬼。それすら、可愛く見えるほどの、烈しい、険 しい顔つきでした。 さらに私を震え上がらせたのは、瞳の奥に光る、不気味な、不吉な光。そ の眼光を確認したとき、背筋どころか、全身が凍りつきました。 「殺してやる」 阿鼻叫喚の地獄から発せられたと思われるような、低く濁った息が、彼の 口から漏れて、私は戦慄し、いま、自分が強姦されたのも忘れて、どうか、 恐い人にだけはならないでください。どうか。どうか。と祈るより他はあり ませんでした。
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2005/12/29 16:40:21(BO7yoa4S)
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