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1:No.02『痴漢師トモヤあなたの欲望叶えます。』
投稿者:
カフカ
◆VbtFbJpv4E
「285番でお待ちの方、2番窓口までどうぞ。」
2番窓口で立ち上がった女がそう声をあげた。 285番の番号札を持っていたトモヤは立ち上がり、2番窓口に向かった。 「90日間は待機期間になります。給付はそれ以降になります。」 失業保険給付の手続きのために訪れたハローワーク。職員が説明する内容を耳に入れながら、トモヤは自分が失業者になったのだとあらためて感じていた。 「まだお若いですから、求職活動がんばりましょうね。」 30代に見える女の職員がそう言った。アクリル製とわかる黒いスーツ、インナーに着た白シャツから胸元の肌が見え、トモヤは凝視していた。懲戒解雇になった身。居酒屋でアルバイトさせてもらえるだけでも難有いが、果たして再就職できるだろうか。トモヤは職員の胸元をみながら、明るい未来を描けないでいた。 15時前に、アルバイト先である居酒屋に着くとドアの鍵をあけ、エプロンを着る。ジーンズからスマホを取り出すと、ラインを開き、先週の金曜日にこの店で出会ったあの女とのトークルームを開いた。 『痴漢、してください。』 『同意の上なら?』 その女のメッセージに返信できないでいた。むろんトモヤは疑っていた。 (そんなうまい話があるだろうか。美人局では?) しかし先週金曜日のあの女のニオイ、身体を忘れられないでいた。 頭に浮かぶ疑問と不安を吹きはらすように、彼はメッセージを入力する。 『場所、時間を教えて下さい。』 ひと呼吸すると、ためらいながらも、『送信』をタップした。彼の心臓は高鳴っていた。 居酒屋でのアルバイト中、彼は何度もスマホを手に取り、ラインを確認した。皿洗い中も、トイレ掃除のときも、何度もスマホを取り出しては確認するが、メッセージは既読にならない。 「トモちゃん、今日は接客も手伝ってよ。」 居酒屋主人の一言。「えぇ、よろしくお願いします。」そう言ったトモヤは接客中も、何度もスマホを確認した。 既読にならない。 (酔った勢いのメッセージか。) 彼はそう諦めスマホをポケットにしまった。 23時に店が閉まり、自宅に戻ったのは0時を超えていた。 ワンルームの自宅、ユニットバスでシャワーを浴びる。熱い湯を浴びながら、トモヤはあの女の身体、ニオイを思い出していた。小ぶりの乳房、明らかに立っていた乳首、濡れたあそこ。 シャワーの音が鳴るユニットバスで、彼は勃起していた。自身の手でその反り上がった陰茎をにぎると、それを上下にいじりはじめた。ハァハァと喘ぎながら手を動かすトモヤ。頭にあのアラフォー女を描いていた。 シャワーからでると、冷蔵庫から発泡酒を取り出し、それを開け、熱い身体に流し入れた。ベッドに寝そべり、スマホを手にとる。 と、女からメッセージが届いていた。 『理由は聞かないでください。』 『平日は毎日、私鉄〇〇線、〇〇駅から都内へ、7時32発に乗車しています。』 『2号車4番扉』 胸が高鳴っていた。トモヤはそのメッセージを読み興奮していた。と、同時にどうすべきか、 (まずは本当か確認するか…) そう考え、時刻表検索サイトで自身の最寄り駅からのルートと時間を調べた。 『わかりました。』 そうメッセージを返すと、彼は布団に包まり目を閉じた。興奮が彼を眠らせないでいたが、安い発泡酒が身体に染み込み、自然と眠らせてくれた。 朝7時。 早朝も蒸し暑い夏の〇〇駅ホーム、白シャツと黒いスラックスを着たトモヤがベンチに座っている。出勤時のサラリーマンを装っているのであろう。マスクをしたトモヤはスマホを見ているフリをして周囲を伺っていた。 都内方面へのホーム。〇〇駅はすでに混雑していた。 2号車4番扉の乗車位置に目を向ける。スーツ、クールビズ姿の50代の男が2人立っているだけで、女の姿はない。 女のライン、ライン名は『多香子』とあり、サムネイルは花束の写真だった。雨宮塔子似の女。トモヤの頭には女の姿がはっきりと残っていた。 時計は7時29分を指していた。あと3分で女が言う乗車時間となる。 と、コツコツとヒールの足音が聞こえた。 自然にトモヤが目を向ける。 あの女が歩いて向かってきていた。女はスマホを見ながら歩いていた。 高いヒールに、グレーのパンツ、白いシャツをウエストに入れ、スカーフを首元からおろし、胸元で結び垂らしていた。 パーマをかけたロングの髪。40代会社員女の出勤。あの日よりなぜか綺麗に見えた。 と、トモヤの前を通リすぎる瞬間、トモヤは咄嗟にスマホに目を向け、目をそらした。 女は気づいていない。 女はメッセージ通り、2号車4番扉の乗車位置に並んだ。 トモヤはベンチから立ち上がり歩き出し、わざと2号車3番扉乗車位置に並んだ。 スマホをいじる女を横目にして、ホームに到着した電車に乗り込む。 到着した電車はすでに満員電車だった。サラリーマンが大半で少なからずではあるが女性もいた。大多数の女性は女性専用車両に乗り込むのであろうか。トモヤはホームで並んでいた乗客達に押し込まれるように車内に乗車した。 満員電車の車内。トモヤが想像していた以上に混雑していた。女に目を向ければ髪が確認できた。女がどこで下車するか、ただそれだけを気にして、トモヤは満員電車を我慢した。 「〇〇、〇〇に到着です。」 6つの駅を通過後に、女が下車した。私鉄が地下鉄に直結した都内有数の駅で彼女は地下鉄に乗り換える。後を追うトモヤは女を見失わないように必死だった。乗り換えた地下鉄も満員電車だったが女をみつける。女が地下鉄で下車した駅は、有数のオフィス街だった。ホームで後を追う。女の後ろに陣取り、出勤しているかのように同じように歩いた。地下鉄駅、エスカレーターを登る。女の小ぶりな尻が目の前にあった。グレーのパンツ、マスクでニオイはかげなかったが、彼は女の尻を凝視している。高いヒール、背筋のいい女の尻は、まるで入れてほしいかのごとく、彼を挑発しているようにも感じた。自然と勃起をしていた。 改札をでると女は少し歩き、駅前の大きな大きなビルに入った。保険会社や通信会社など、大手企業しか入居していない、オフィスビル。 (大手企業に勤める女…美人局ではない?) 彼は女をまだ疑っていたが、オフィスビルの警備を通過した姿をみて、疑いがはれていくのを感じている。 (たしかにここから数駅で、あの居酒屋だ。) あの日、先週の金曜日の夜、女は本当に仕事帰りに飲み歩き、たまたま居酒屋によったのかも知れない。疑いがはれれば、はれるほど、女のメッセージ『痴漢、してください』が頭を覆い、彼を興奮させていた。 翌日早朝、彼はラインで女にメッセージを送った。 『明日プレイしましょう。あなたの欲望叶えます。』 『私は先に乗車位置に並びます。白シャツ、黒いパンツ。マスクをしています。』 『乗車後、社内で振り向きます。目の前にいてください。』 早朝にもかかわらず、メッセージは既読となり、女から返信があった。 『はい。よろしくお願いします。』 〇〇駅ホーム2号車4番扉乗車位置。トモヤの前方には昨日と変わらず、50代のサラリーマンが立っていた。 時計を目に入れる。 7時30分。あと2分。トモヤは前方から目をはずさずに、自然を装っていた。 と、ヒールの音が鳴る。ホームアスファルトに打ちつけるようにコツコツと足音が鳴る。 トモヤはゴクリと生唾を飲み、前方から目をはずさない。 コツコツと鳴る足音が、トモヤの背後で止まった。女が後ろに立った。 7時32分。到着した電車の扉が開く車内はすでに満員電車で、そこ押し込まれてるように乗り込んだ。後ろから女が身体をぶつけて押し込もうとする、いや女もその後から押し込まれているのだろう。トモヤは車内のちょうど中央で立つことが出来た。 車両が動きだすと、彼はゆっくりと体制を変えて行く。ゆっくりゆっくりと周りに気づかれぬように身体を振り向かせた。 女が目の前にいた。目の前どころか、トモヤが振り向いた事で2人の身体は向きあい、密着していた。トモヤの背中には50代の男の背中が重なり。女の背中には若い男性の背中が重なる。双方から押し込まれ、トモヤと女の身体が向きあいながら密着していた。 女は顔をわざと背けていた。 雨宮塔子似。綺麗な女。目にシワがあるが、40代であろうが美人だろう。ライトブルーの半袖ブラウスにグレーのタイトスカート。耳につけたゴールドのアクセサリーが大人らしさを魅せている。 女が頭を下げればちょうどトモヤの胸元に収まる。女のニオイ。シャンプーなのか、香水なのか、女のフェロモンか。 トモヤは勃起していた。 次の駅到着すると降車する人はおらず、乗車客が乗ってくる。再び押し込まれトモヤと女の身体は完全に密着していた。 女がかばを持つ手の甲が、トモヤの勃起した股間、スラックスの上に触れた。 ハッと気づいた女が顔を上げトモヤをみつめた。女を凝視するトモヤ。女の、まるで怯えたような目つき、いや、男を求める目つきだった。大企業で働くアラフォー女、ひとりで生きてきたのであろう女の目は、いそがしい毎日の中で男の手を求めているようだった。 その手をトモヤが動かした。手の甲を女の股間にぶつける。女は目をそらした。電車が動く度に、トモヤの手の甲が女の股間にぶつかる。 女を見下ろすように見つめるトモヤは、手のひらを握り、人差し指を曲げる。曲げた指で女の股間をなぞった。 ゆっくりとゆっくりと女をなぞる。 また次の駅でも乗車がある。 押し込まれていくふたり。押し込まれた勢いでトモヤが女のスカート、ウエストの上から手をゆっくりと入れた。周囲に目を配る。背を向けた大柄のサラリーマン、50代の男、それに満員電車の中で強引の新聞を読む男によって死角となっていた。トモヤの手のひらが女のウエストから入っていくことに満員電車内は誰も気づいていなかった。 トモヤの指先が女の下着に触れた。 彼はうまくその内側に指先をすべらせていく。女は片手を口元につけ、すでに喘いでしまっている自分の声を押し殺した。 指先が女の濡れたアレに触れるとトモヤは指先でソレをなぞった。 アラフォー女が、トモヤに顔を向ける。目を合わせた女は、目で喘いでいた。 指先を激しく小刻みに動かすトモヤ。女の身体が震えていた。ガタガタと小刻みに動く身体は、トモヤの身体に密着していた。二人は目を合わせ、目で互いを愛撫していた。女は薄っすらと口を開き舌先みせ、トモヤに何かを求めていた。 「〇〇、〇〇。〇〇線はお乗り換えです」 下車する人波に押し出されるように、女が押し出されていく。いまだ身体がガクガクを震えていた。 人波は流れていくが、彼女はホームで立ち止まるとゆっくりと振り返ってみた。トモヤはいなかった。 彼女はハァハァと押し殺していた声を吐き出しながら歩く。駅のトイレをみつけるとかけこみ、個室トイレの鍵をかけた。扉のカバンかけに持っていたカバンをかけると、様式便器に座り込んだ。 グレーのタイトスカートを巻く仕上げれると淫らに足を広げるベージュ色のレース柄の下着、ちょうど性器周りがグチャリと濡れていた。 彼女は濡れた自分の下着を目に入れて、また『アァ』と喘いだ。 濡れたレース柄の下着の上から自分の人差し指でなぞる。『アァ』と喘ぐと、頭をあげ目をつぶり、口を小さく開き舌先を出した。 人差し指中指を並べて、ゆっくりと下着をなぞった。 『ハァハァ』と小さな声で喘ぎながら指を動かす女。ガニ股に開いた足。目を閉じて必死に何かを求めて舌先を動かしていた。 居酒屋の水場、トモヤは変わらず皿洗いをしていた。 『同意の上なら?』 トモヤの頭には女の言葉が浮かぶ。 『いい機会なんだから、好きなことをしなよ』 居酒屋の主人の言葉が浮かんだ。 『貴女の欲望叶えます。』 トモヤはその言葉を頭の中で浮かばせ、皿を洗った。 ポケットに入れたスマホが鳴る、トモヤのラインに女から何かメッセージが届いていた。 つづく
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2020/04/07 23:47:07(GdbYzB4A)
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