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1:密かな楽しみ29~孝史と香奈~
投稿者:
瀬名
『これ可愛いな・・・。』
ショーウインドウに飾られた白いニットのワンピースを見ながら、香奈は自 分が着た姿を想像してみた。 『・・うーん・・丈が短すぎるし、体型がはっきりするから・・・あたしに は無理だな・・・。』 香奈は自嘲するように笑みを浮かべると、また店内を歩き始めた。 中学生の頃からスカートはあまり履かなくなった。 肌を見せるのに抵抗があったわけではないし、自分の足はどちらかといえば 細いほうだと思っていたが、動きやすくて安心していられる方が良かったの でジーンズが定番だった。 別に洋服に興味がないのではなく、自分を着飾ることに対しての重要性が感 じられなかった。 学校と家の往復以外に行く所といえば図書館か本屋で、着飾って何処かに出 かけたりすることも殆どなかった。 何より、こんな地味な顔の自分に可愛い服を着せたって滑稽なだけだと思っ ていた。 店内は平日の朝ということもあってか人影はまばらだ。 香奈がここにくる時は大抵友人の買い物に付き合わされた時で、いつも友人 の背中を見て歩いていたためかとても新鮮だった。 たくさんのテナントが入った店内の殆どは女の子向けのショップだ。 香奈は、通路を歩きながらウインドウに飾られた流行の服をキョロキョロと 見回しながら歩いた。 ふと前を見ると鏡張りの柱に映る自分の姿があった。 香奈は立ち止まり自分の姿をまじまじと眺めてみる。 『なんだかなぁ・・あたしって今風の女の子っぽくないよねぇ・・・。』 太ってはいない。 やせすぎでもない。 胸はそんなに大きくないけどそれなりのスタイルだと思う。 身長も高くも低くもない。 顔は・・・やっぱり地味だ。 『髪型・・変えてみようかな。』 案内板のあるエスカレーター付近に行き美容室を探してみた。 7階がエステや美容室の入ったフロアらしい。 香奈はそのままエスカレーターで7階まで上ると、少し通路を歩いた先にガ ラス張りの美容室を見つけた。 普段は近所の通いなれた美容室にしか行ったことはなく、こういうちょっと 洒落た感じの店に入った事はない。 少しだけドキドキしながらも、その美容室に入ってみた。 「あ・・あの・・予約・・してないんですけど・・。」 カウンターにいた派手な髪の色をした店員に恐る恐る聞いてみる。 「あ・・大丈夫ですよ。空いてます。お客様、当店は初めてでしょうか?」 見た目からは想像もつかないようなしっかりとした丁寧な受け答えをする店 員は、香奈に必要ないくつかの質問をするとカルテのようなものに書き込ん でいった。 しばらく待つように言われた香奈は、ソファーに座るとテーブルの上にあっ たファッション誌をパラパラとめくりながら、ある重大なことに気がつい た。 とにかく「髪型を変える」という目的でこの美容室に入ったが、どんな風に するかなんて考えてもいなかった。 「お待たせしました。岡本様こちらへどうぞ。」 さっきの店員が案内しにやってきた。 香奈はあわてて立ち上がると案内された方向へそそくさと歩いていく。 『ああ・・どうしよう・・なんて言って切ってもらおう・・あたし・・バカ だよ。』 そんな風に考えながら不安な表情を浮かべ俯く香奈を別の店員が迎えた。 「どうぞ~。こちらへお掛け下さ~い。」 「あ・・あの・・!」 そう言って顔を上げた香奈の目の前には茶色い髪にゆるいパーマをかけた綺 麗な女性が立っていた。 化粧は多少濃いけども、今風のナチュラル系な感じで優しげな笑みを浮かべ ている。 「すいません・・あの・・あたし・・髪型・・変えたくって・・でも・・ど ういう風にしたらいいかわからなくって・・それで・・あの・・。」 しどろもどろに上目遣いで喋る香奈を見て、店員は一瞬困ったような顔をし てからにっこりと笑いながら言った。 「えっと・・とりあえず座って下さい。」 香奈は言われるままに椅子に座り、鏡に映る店員を恐る恐る見た。 「う~ん、そうねぇ。今はショートで前髪が眉にかかって少し重たい感じだ から、パーマ当てて前髪にAライン作って・・あと少し鋤いてから軽くしよっ か?予算大丈夫?」 「あ・・はい・・大丈夫・・です。お願いします・・。」 そういう香奈に店員はにっこり笑うと用意を始めた。 『あぁ良かった・・。でも・・どんな風になるんだろ・・?』 店員が言った髪型のイメージが香奈にはイマイチぴんとこなかったが、もう 椅子に座ってお願いしてしまったのでなるようになるだろうと楽観的に捉え ることにした。 それから店員はいろんな話をしながら手早くパーマをかけ始めた。 香奈はパーマなんて初めてだったので、その刺激臭と頭の上をぐるぐると回 るヒーターに多少の違和感を覚えながらも自分がどう変わるのかドキドキし ていた。 しばらくするとその綺麗な顔の店員は香奈の髪に巻かれた銀色の髪を解き、 くるりと椅子を回転させると念入りにシャンプーをした。 その指の感触が心地よくてウトウトしかけたとき、クスッと小さく笑いなが ら店員が耳元で囁いた。 「岡本さん。チャック・・半分開いてるよ!」 なんのことだろうと香奈は一瞬考えた後、あっと小さな声を上げ股間に手を 伸ばした。 『あの時・・ネットカフェであわててチャックを上げたつもりが閉まってな かったんだ!』 あわてて閉めようとするが掛けられたビニールのシートやお腹の上に乗せら れたタオルを掴んでしまい余計にあせってうまく閉められない。 そのとき、チーッいう音とともに下腹部に触れられた感触がした。 「はい。閉めといたよ。」 綺麗な顔の店員は悪戯っぽい笑みを香奈に向けながら、また優しく囁いた。 「・・あ・・ありがとう・・ござい・・ます・・。」 香奈は真っ赤な顔で店員の顔を見ながらお礼を言った。 チャックが半分開いたまま街中をウロウロしていた事も恥ずかしかったが、 その店員から閉められたのが香奈に追い討ちを掛けた。 「気にしなくていいよ、見えてなかったし。あたしなんかこの前スカートの ファスナー全開でお店に立ってたからね。」 ニコニコしながら店員が話してくれる。自分を気遣ってくれてるのがよくわ かってしまい自然と笑みがこぼれた。 椅子を起こされ、カットに入った時、ふと鏡を見てみる。 まだ髪が濡れてて良くわからないがゆるいパーマがかかってるのが解る。 目線を店員に移す。 なんだか顔つきが真剣だし、チラチラと自分の顔を見ているようで何度も目 が合う。 気まずいような恥ずかしいような気がして目を逸らしたとき、店員がボソッ と呟いた。 「・・・キレイ・・。」 「えっ・・?」 香奈は鏡越しに店員の顔を見る。 「あ・・あのね・・キレイだなって思ったの。こう・・まじまじと顔を見な がらねカットしてたらね、どんどん雰囲気が変わっていって・・。岡本さん もともと美人だったのよ。ほら、見てごらん。」 そう言われて鏡の中の自分を見てみる。 『確かに・・髪型は変わったみたいだけど・・雰囲気も変わったみたいだけ ど・・あたしが・・キレイ・・?』 香奈は見慣れた顔がそこにあるだけでお世辞を言われてるんだと思った。 首をかしげる香奈を見て店員が言った。 「まぁ・・自分のことなんて客観的には見れないからね。よほどのナルシス トでもない限り自分の気に入らないところばっかり見えてしまうものだか ら。でもね・・岡本さんはキレイだわ~。なんていうか独特の雰囲気があっ て・・なんかモデルさんみたい。」 「あ・・・あのそんなワケない・・けど・・ありがとう・・ございます。」 こうまで褒められると悪い気はしない。 『そういえば中村君も同じようなこと言ってた。あたし・・少しくらい・・ 自信もっていいのかな・・。』 そんな風に香奈は考えたけども、やはり生来の臆病さからか、とても自分に 自信を持つには至らなかった。 すべての作業を終えた店員は、香奈の隣に顔を近づけると、鏡に映る姿を見 つめた。 鏡の中では店員と香奈が顔を並べお互いの目を見ていてなんだか可笑しかっ た。 「うん。今までで一番の自信作だわ。」 店員はそういうと椅子をクルリと回転させ 「お疲れ様でした!」 と元気よく言った。 帰り際に、またあのきれいな顔をした店員が来て一言だけ香奈に言った。 「化粧はしたほうがいいよ、薄くていいから。またきてね。」 香奈はその店員に笑顔を返しエスカレータで下の階へ向かった。 『気のせいだろうか、すれ違う人たちが自分を見ているような気がする。 いや絶対気のせいだ。髪形変えたくらいであたしが人から見られるような美 人になるわけがない。思い上がりだ。でも・・それは気のせいだとしても、 なんだか世界が変わって見える。あたしは何も変わってないけども、気分を 変えるには良かったんだな・・。そう・・あたし・・変わるって決めた し。』 そう思った香奈は、財布の中身を確認した。 さっきの美容室代は痛かったけども、自分の気持ちを変える効果はあった し、この際だからパーッと買い物をしようと考えた。 それからは、店内をあちこち歩いて、いろんな買い物をした。 あのワンピースや、それに合うコート、化粧品。 それから少し大人っぽい上下セットの下着も数枚買った。 たくさんの荷物を持ってビルを出た香奈は、すぐ横のコーヒーショップによ って店の前に置かれたテーブルに荷物を置き、道行く人たちを眺めながらコ ーヒーを飲んだ。 「やっぱり甘いやつにすればよかったな・・・。」 買い物を済ませ気分の良かった香奈は、いつものカフェ・ラテでは無く、普 通のコーヒーを頼んでしまったことを悔やみながら苦いコーヒーを啜った。 目の前を一台のバイクが通り過ぎていく。 なんだかバタバタとうるさいエンジンの音だ。 スーツを着てるくせにそんなうるさいバイクに乗って仕事してるんだろうか と不思議に思い、そのバイクを目で追った。 しかし、そのバイクは急にブレーキをかけ音を立てて路肩に止まると、乗っ ていた男が慌てたようにバイクを降りてこちらへ早足で歩いてきた。 『なんだろ・・落し物でもしたのかな・・やだ・・ちょっと・・なんで・・ あたしの前に来るの・・怖い・・え・・なに!?』 バイクから降りた男は香奈の目の前に来ると、何か言いかけて慌ててヘルメ ットを脱いだ。 香奈は目を疑った。 それとともに全身に鳥肌が立ち、ガタガタと震えだした。 香奈の目の前に立っている男。 まぎれもなく、あの時の痴漢だった。
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2009/03/23 00:43:37(y4NV3M6J)
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