ようこそゲストさん。
ナンネットIDにログインしていません。
ID: PASS:
IDを保存 
ナンネットIDは完全無料のサービスです。ナンネットIDを取得するとナンネットの様々なサービスをご利用いただけます。
新規登録はこちら
ID・パスワードの再発行はこちら
小学生女子に求婚されたのだが 9
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ロリータ 官能小説   
投稿の削除 パスワード:
1:小学生女子に求婚されたのだが 9
投稿者: たかし ◆vUNIdToRTo
22時を過ぎたころ、亜季を呼び出して反省会を開いた。
亜季の言うブラジャーショーによって、俺と裕未との親子関係がとんでもない事になりかねない事態になっているのだ。これを放置しておいていいわけがない。
亜季にとっても裕未のあの変化は想定外だったようで、少なからず責任を感じているようではあったのだけど、そこはやはり亜季なわけで、既に分析ができているのか、妙に落ち着いていた。
「でも、裕未ちゃんの行動には驚かされましたねー」
「あれは露出狂の顔だったぞ。オマエ、パンドラの箱開けたんじゃないのか?」
「露出狂?たっくん何を見てたんですか、あれは違いますよ」
「いや、だってブラウスを脱いで下着だけになった時の裕未の顔!ありゃ完全にブレイクスルーしちゃった顔だったぞ」
「それ私見てないんですよ。ビデオに撮ってないんですか?」
「撮影禁止って言ったのオマエだろうが!」
どれだけ録りたかったと思ってるんだ。必死に我慢して固定カメラの隠し撮りも断念したんだからな。俺、偉いんだぞ。
「でもよく考えてみてください。露出狂ならたっくんに抱きついたりしないと思いますよ」
「ふむ」
「今こそ真実を解き明かしましょう」
「探偵か!」
「裕未ちゃんは、ファザコンなのです。それも重度の」
「はあ!?」
「お母さんが亡くなってから、たっくんだけが頼りだったんですから当然と言えば当然なんですよ」
「はぁ」
「なのに体の成長に戸惑って、ついつい距離を置いてしまった」
「ふむ」
「恥ずかしくて秘めてた障壁が、今夜破壊されたのです!ベルリンの壁どころではありません!トラバントが乱入するばかりになるのです!」
「お前、よくそんな旧東ドイツのポンコツ車の名前知ってるな」
「ミーの頭脳は優秀なのです!そのくらい一般常識の範疇です」
「裕未の秘めてた感情がトラバントだとするなら、どこにぶつかっても木端微塵じゃないか」
「それでいいんですよ。ファザコンなんて一つ残らず木端微塵になればいいんです」
「やけに厳しいな」
「ファザコン、マザコン、ブラコン、シスコンなどの近親コンプレックスはロリコンよりも重罪です」
「その見解は新しい!社会通念をひっくり返すかもしれないぞ!」
「考えてもみてください。ファザコンの対象となる人物は父親一人です」
「ふむ」
「対してロリコンはその対象が膨大です」
「ふむふむ」
「子孫繁栄の観点からみれば、ロリコンは至って正常ではありませんか」
「おお!日本政府はロリコンを推奨すべきという話だな!」
「朱鷺の繁殖に躍起になってる場合じゃありません!最も憂慮すべき絶滅危惧種は日本人です!」
「ブラボー!晩婚化と少子化の恐怖をもっと叫べー!」
「高齢社会に未来はありません」
「そうだー!」
「男女共同参画社会では家庭が崩壊するばかりです!」
「そうだー!」
「囚人に使う税金を減らして少子化対策に充てるべきです!」
「具体的には何をすればいいというのだ」
「全国の小学校で、妙にリアルな人形や漫画を使った歪な性教育の授業があるのを知っていますか?」
「人形や漫画!?」
「努めて明るくポップに仕立てていますが、内容はモロ18禁なのです」
「文科省認可の18禁なのか!」
「そのせいで中途半端に好奇心を掻き立てられる児童がザクザクなんです」
「それは金銀財宝のような擬音だが、ある方面からは金銀財宝以上かもしれないな!」
「それなのに、いざ行為に及ぶ児童があれば問題児扱いです」
「あんまりな話だー」
「知ったならやりたくなるのが人情です」
「その通りだ」
「行為に及んでしまった児童及び授かった命への手厚い保護と補助が急務ではないでしょうか!」
「青少年の妊娠推奨か!」
「推奨なんかしたら秩序が崩壊します!あくまでも救済です。未成年妊娠をタブー扱いしているから、せっかく授かった命が無情に堕されてしまうのです」
「ものすごい数らしいな」
「それらをみな国営機関が育てるのです」
「親のない子の苦しみが増すだけだ」
「昨今増殖中の身勝手で自己中な親に振り回されて育つよりも幸せになれるかもしれませんよ」
「純粋培養でもやろうってのか!」
「DQNネームを回避するだけでも価値有りだと思います」
「確かに不幸丸出しの名前ってあるもんな。もっと名前はトラディショナルでシンプルがいいのに」
「女子はペコ、男子はポコです」
「それは素晴らしい名前だが、国民的かつ伝統的商標に秘められた卑猥さを露呈するな」
「じゃ女子は穴子、男子は棒介」
「もっとダメだ」
「幼くして親になってしまった青少年には専用のカリキュラム『父道母道すなわち人道』を教育して責任を果たしてもらいます。国営機関がするのはその手助けです」
「うまくいくのか?大人でも育児放棄するバカがいる世の中だぞ」
「今のDQN親は『父道母道すなわち人道』を学んでませんからね」
「それ、教えてる学校あるのか?」
「ありませんよ。そんなの家庭教育の基本じゃないですか。ですから育児放棄は殺人罪です」
「そうきたか!」
「当事者である親とその親も含めて死刑です」
「親の親もか!」
「家庭教育を怠った罪です。親は八つ裂きにしましょう」
「そんな死刑ないって」
「絶対許しません。八つ裂きがダメなら鋸引きの刑です」
この時、おや?と思った。いつもの饒舌モードな亜季にしては珍しく語気が荒々しく感じられたのだ。
育児放棄に関して何かしら強い思いがあるのか、表情がやけに険しかった。
「しかしそれで増税されても困るのだぞ」
「正体不明な外郭団体をぶっ潰せば、一瞬で多額の予算が発生します!」
「おお!根深い無駄の排除が行われた!」
「日本人の将来を本気で危惧するなら、直ちに天下り官僚とその一族を粛清すべきです」
「こんなところに過激派が潜んでいようとは!」
「鼻薬で正義を失ったメディアにも去ってもらいます」
「当然だな」
「日本人の三大義務は、労働、納税、セックスです」
「正解のような気がするぞ!」
「三大原則は、主権在民、平和主義、基本中出しの尊重」
「俺が言ったら逮捕だな!」
「絶滅危惧種の精液がどれほど無駄に流されてると思ってるんですか!」
「小学生女子のセリフじゃないな!」
「近親相姦ほど内向き不毛な性癖はないのです。自分の尻尾を追いかけて狂い死にする猫以下です!」
「そこまで言わなくても・・・お兄ちゃん文化の経済効果は無視できないと思うぞ」
「おにーちゃん」
突然可愛い声色で見つめてくる。
「お、おう、なんだよ、急に」
「どうしたの?おにーちゃん♪」
客観的に見て、すごく可愛いと思える仕草なんだけど、亜季みたいな身近でちょっと深い関係の女子がするとなんとも言えないムズムズが襲ってくる。
「俺が悪かった!それ気持ち悪いわ」
「解ればいいのですよ。経済効果がありさえすれば正義なのかという事も強く論じたいのですけど、それはまたの機会に」
「是非そうしてくれ」
「で、何の話でしたっけ?魚釣島まで橋を架けて佐賀県とくっつけろって話でしたっけ?」
「裕未がファザコンだという話だ」
「そうでした。どうします?」
「どうにかしてくれよ」
「しかし、まさか裕未ちゃんがお父さんに抱き着くなんて思いませんでした。嬉しかったでしょ?」
「嬉しいっちゃ嬉しかったけど、今日みたいに裕未が日常的に甘えるようになったら、お前との性活が難しくなると思うんだが」
「そんな文字じゃないと伝わらない遊びをしないでください。いい年こいて恥ずかしい」
「待て、俺を攻撃している場合じゃない。事は重大で一刻を争う」
「うまくバランスをとっていけばいいだけですよ。一刻を争う事態は終わったんです。この程度で壁が壊れて良かったと思いますよ」
「何を暢気なことを言ってんだよ」
「やっぱり親子ですねー。お互いに遠慮して妄想を膨らませるなんて」
「あ?」
「裕未ちゃんのお父さんへの意識の強さったらなかったんですよ」
「そうなのか?」
「放置しておけば間違いなく間違いが発生したと思います」
「恐ろしく恐ろしかったみたいな!」
「私がいる前で抱きつけたんだから成功です。あれなら単なる親子のスキンシップの範疇です」
「え?何、あれ、計画的だったのか?」
「とんでもない。まったくの想定外でしたけど、結果オーライです」
「ラッキー事故か!」
「私がいない時にああなってたら、高確率でセックスしています」
「俺のピーが機能しないだろうが!」
「ほほう、よくそんな事が言えますね。妄想にトリップして白昼夢精寸前だったくせに」
「申し訳ございませんでした!」
「裕未ちゃんにもその危険があった証拠もちゃんと見つけてあるのです」
「そんなものがあってたまるか!」
「裕未ちゃんの後について二階に上がった時、すごいもん見ちゃったんです」
「この状況で俺の興味を引くってのは凄い技量だな」
「実は裕未ちゃん、  濡れてたんです」
卒倒した。後頭部を強打した。これまでの人生が走馬灯のように駆け巡る・・・。
「かんべんしてくれ」
「間違いないですって、パンツの真ん中にはっきりとシミがこのくらい」
「カンベンシテクレ」
「マジで近親相姦ルート発生しちゃったと思ってドキドキしてしまいましたよ」
「誰のせいだと思ってる!」
「痛い痛い痛い!ごめんなさい!嘘です嘘です!冗談ですってー!」
本当に冗談ではない。裕未とのあの妄想はあの時だけの気の迷い。もう邪心は起きないのだ。
「でも裕未がファザコンだなんて全く気付かなかった。よくわかったな」
「前々から怪しいと思ってましたよ。今朝の私とたっくんの結婚推進の発言も、よくよく考えれば『お父さんの現状維持希望』って話でしょ」
「そうなのか?」
「たっくんって鈍感だから気づいていないでしょうけど、色んな女から狙われているんですよ」
「は!?」
「やっぱり鈍感。この際だから教えておきます。お隣の出戻りさん、渋水先生、コンビニの盆山さん」
「待て、そんなの何かの思い違いだって、渋水先生って誰だよ?お前の担任は銀澤先生だろうに」
「保健の先生ですよ。私が熱出して迎えに来てくれた時に一度話してますよ」
「あー、あのメガネ黒髪の?」
「そう!あれ以来たっくん狙われてます」
「いやいや、遠すぎてピンとこない。コンビニの盆山さんってアルバイトの学生じゃねーか」
「そう!たっくんにだけ最高の笑顔見せるしお釣り渡す時もガッツリ手を握ってるし」
「そういう教育受けてるんだろ」
「私にはニコリともしませんし、お釣りなんか投げてよこしますよ」
「マジで!?」
「他にも数名いますけど、この際それらはいいです。とにかく、たっくん、なぜか今頃モテ期なんですよ」
「お隣の出戻りさんはともかく、盆山姫奈ちゃんは可愛いよな」
ミシ!殴られた。脳天を肘で殴られた。更に2発目が入ろうとしてたので必死になって逃げました。
「死ぬ!死ぬ!冗談だって」
「なんでフルネームを知ってるんですか!私という者がありながら、このスケコマシ!」
「それ、死語!盆山さんは会社の同僚の娘なんだ!だからフルネームも知ってるし、姫奈ちゃんも昔から俺のこと知ってる!だから気安く接してくるんだ!」
「なーんだ、そんな落ちか」
思いっきり殴っといてそれですか!俺が可哀相すぎませんかね!
「とにかく、渋水先生と出戻りさんはマジですからね。それを裕未ちゃんに話した時、泣いて嫌がってましたもん」
「それで亜季と結婚すればいいって言いだしたのか」
「多分、私がまだ子供だから、すぐに男女の関係になりっこないってのが裕未ちゃんの安心要素なんだと思います」
「じゃ何もしちゃダメじゃん!」
「何もしないでいましょうか?」
「え?」
「うふふ、 う   そ」
はにかんだ笑みを浮かべてフッと身を寄せてくる。
「何て顔するんですか」
「どんな顔してた?」
「この世の終わりみたいな」
「それは大げさだろ」
「大人のくせに」
「子供のくせに」
一言毎に顔を寄せる亜季。
ふっと鼻をくすぐる甘い匂いは亜季独特のもので、これがすごくいい匂いなんだ。年甲斐もなくドキドキしてしまいつつも、やっぱりどこか信じられないでいる自分がいた。
亜季の事は本当に可愛いと思ってるし、結婚も本気で考えているのだけど、イマイチ現実味が無いと言うか、夢のようにふわふわしている感じが拭えずにいた。だからこんな風に亜季がにじり寄ってきても直ぐに受け入れられないのだ。
つまり、嬉しい意味での『マジかよ』が先に出てくるのだ。
「亜季」
「たっくん」
「夢、じゃないよな」
「えい!」
「痛い痛い痛い!」
腹の贅肉を思いっきり摘まれた。普通そういう時は頬っぺたを優しく抓るもんだろうに!
「やだ、中年のオッサンみたいなお腹」
「あえて否定はしないけどさ!」
ウシシと笑ったと思ったら馬乗りになって抱きついてきた。
「夢だったらどうします?」
「覚めないで欲しい、かな」
「じゃ夢でいいです」
「ナマイキだぞ」
「ナマでイキたいの?」
「この歩く有害図書め!」
「嫌なら部屋に戻るけど」
「戻りたいなら戻るがいい」
「ずるい」
「どっちが」
「・・・あんむ」
俺の下唇をあむあむと甘噛みしてくる。この感触がたまらなくエロい。
亜季もそれが気持ちいいのか心地いいのか、目を閉じていつまでもあむあむしている。
そのまま亜季の上唇を舐めてやる。そんな変なキス。でもすごく心地よかった。
「たっくん」
「ん?」
「ぎゅってして」
とろんとした目で甘えた事を言ってくる。すかさず抱き寄せ抱きしめると、緩く開いた口から息がはぁーっと漏れる。
こうして抱きしめると、裕未より華奢な体なんだとよくわかる。全力を出したら壊れてしまいそうな感じ。
「たっくん」
「ん?」
「出したいですか?」
「んー、今日は我慢する」
「いいの?」
「布団の上だと最後までやっちゃいそうで」
「へへへ、優しいんだー」
「それに、やっぱ風呂場の方が万が一の時誤魔化しが利くと思うんだ」
「お、犯罪者の顔してる」
「出すのは我慢するけど、一緒に寝たい」
「甘えんぼさんだー」
「裕未に笑われちゃうな」
そのまま俺の布団になだれ込んだ。上になったり下になったりしながら、何度も何度もキスをした。
「おっきくなってるよ」
「そりゃそうだよ」
「出さなくていいの?」
「いいの」
「触っててもいい?」
「いいけど、そっとだぞ」
「うん」
亜季の手が優しく勃起をさする。その触り方がとても優しくて、とても大事な物を触ってる風で、それだけで何だか嬉しくなってしまう。
俺に寄り添うように横になった亜季の背中を支えるように抱いて、そのまま夢心地になっていった。勃起したままだというのにとても安らかな気分だった。
そのうち亜季の動きも止んで、俺たちはそのまま眠ってしまった。


カチカチ
「ん!?」
急に明るくなったんでびっくりして目が覚めた。
「何だ?」
蛍光灯が眩しくて薄目しか開けられない。さっと明るさが和らいだので、なんだろうと思ったら、亜季が覆いかぶさっていた。
「どうした?」
「・・・」
亜季はじっと俺の顔を見ていた。
「亜季?」
「あなたは、だぁれ?」
「ジャン・ピエール・ロリエールだ」
「ロリエール?」
「そこだけ抜き取るな」
「ロリ?」
「核心だけ抜き取るな」
折角登場したジャンとピエールの立場も考えろってんだ。
いや、でもわかってる。今の亜季は『別の』亜季だ。いつの間にアレになってたんだ?
「俺が誰なのかわからないのなら教えてやろう」
「うん」
「俺はお前の婚約者だ。お前の事が大好きで、お前とずっと一緒にいたいと願い、そして、それをお前も望んだ」
「わかんない」
「俺はオマエが好きなんだ」
この時、驚いたような顔をした。
「うん」
「大切にするよ」
「ほんと?」
「本当だ」
「ぶったりしない?」
「? あ、ああ、しないよ」
「話してくれる?」
「ん?話すよ」
「怒らない?」
「それはわからない。お前が馬鹿な事をすれば怒ることもある」
「ふーん」
ちょっと思案するようなそぶりの後、ぽてんと俺の上に覆いかぶさってギューっと抱きついてきた。
「怒る?」
「そんなことで怒らないよ」
と頭を撫でてやる。安心したのか、ふーっと息が抜ける感じがした。
「あったかい」
と、小さく頬ずりしたように感じた。女の子から頬ずりされるってのは、すごくキュンする。
やがてそのまま寝息をたててしまった。
『別の』亜季と会話できたのはこれが初めてだった。
普段の亜季よりぐっと幼い感じがする。
でも、これが二重人格とか何か霊的な憑依現象だとか、そんなのはどっちでもいいんだけど、別の亜季が『女の子』なのは間違いないようで、俺はそんなことに妙に安心していた。
もし聞いたことのない言語を話したり、野太い声のオッサンだったり、裕未じゃないけど宇宙人だったりしたら、俺の精神が耐えられなかったと思う。
すやすやと眠る無邪気な亜季の顔を見てるうちは、ほんわかと幸せな気分になれたんだけど、いざ明かりを消して横になると裕未の事を考えてしまった。
今後の事を考えたら恐ろしい展開が次々と想像できてしまったのだけど、想像できたってことは回避もできるってことだと無理やり解釈して、とりあえずこれ以上考えるのは無意味だし疲れるだけなので止めることにした。


 翌朝、裕未がへんてこりんなテンションで下りてきた。
「お、おはっ!おはよーござーいますっ!」
見たことないなー、こんな裕未。ジェッター・ノボールかと思った。
「お、おはよう」
「お父さん、元気?亜季も可愛いねっ」
「・・・」
「えーっと、えーっと、き、昨日は、どうもっす」
「っす?」
「今日もやるような事言ったかと思いますが、あれ、ウソっす」
「っす。」
「昨日はどうかしてたっす」
「っすか」
「できることなら忘れて欲しいっす」
「無理だ」
「あーーーーん」
「泣くな、気まずくなる」
「恥ずかしいんだもん、思い出しても背筋がぞくっとするんだもん」
「そうやって大人になっていくんだ。全然恥ずかしいことじゃないって」
「そうですよ、裕未ちゃん、恥ずかしがる方が恥ずかしいですよ。家族なんですから」
もっともらしく言ってるのはいつもの亜季だ。
「亜季だって、恥ずかしいでしょ?私たち女の子なんだよ」
「え?おっぱいがですか?それとも毛の方ですか?」
「ばっ!ちょ、ちょ、そ、そんなこと言ったら分かっちゃう、あ、わわわ」
これ以上いじめたら裕未が壊れて引きこもってしまいそうだったので、話を変えなきゃと思い、
「ま、恥ずかしいならもうやんなくていいよ。昨日の裕未は可愛かったよ。何も変じゃない。あんまり気にするな。さ、ご飯だ、ご飯」
「私はまだ産毛ですけどね、ぎゃ!」
あ、ごめん、殴っちゃった。
「な、何をするんですか!か弱い少女を殴るなんて、家庭崩壊じゃないですか!通報しますよ!」
「お前はKYを認めろ」
ぶたれた頭を撫でながらぺろっと舌を出してやがる。こいつわざとやったな。
まあ裕未のこの状態を分析するに、つまりは、一時のハイテンションやその場のノリでやってしまった行為を、後になって冷静に思い出した時に、恥ずかしすぎて死にたくなるっていうアレなんだな。
一泊中二病とでも名付けようか。
「でもね、裕未ちゃん」
「何よ」
「お父さんに甘えることって、大切なんですよ」
「えー」
「たまには抱っこしてもらいなさいな」
「そうだぞ裕未。そう遠くない将来、お前は進学とか結婚とかで俺から離れてしまうんだろうから、慌てて離れなくてもいいんだって」
「そんなのわかんないよー」
「だーかーらー」
と裕未に背後から近づいてガバッとお姫様抱っこしてやった。
「ちょ!え!やだ!お父さん!」
パニクりながらも反射的に俺の首に手を回す。それに気がついて更に顔が赤くなる。
なるほど、この反応はファザコンってことなんだろうな。
「裕未は永遠に俺の娘なんだぞ。だから離れようとも甘えようとも同じことなんだ」
「え」
「胸が膨らんだり毛が生えたりしても娘は娘。子供ではなくなっていくけど、そんなのは人間なら当たり前の事だし」
「そうなの?」
「あ、そうだ!今晩久しぶりに温泉行くか!」
「やったー!」と喜んだのは亜季だ。なんだか普通に子供っぽい反応なんで逆に新鮮だった。
「お前たちは家風呂で育ってるから他人の裸を見ることないもんな。大きなお風呂で色んな人の裸を見て比較してみろ」
「う、うん」
急遽、今晩市内の温泉施設(スーパー銭湯)に行くことになった。3人で出かけるなんて近所のスーパー以外では久しぶりの事だ。
俺の裸は見て知ってるから、大人の男の体の事は知っているはずなのだけど、母親がいないことで、肝心の同性の大人の体を知る機会が裕未にはなかったのだ。これは盲点だった。よく考えたらこれは凄く大切な事で、もっと早くに温泉行きをやっとけば良かったと、軽く後悔した。
「お父さん、下ろして」
「はい、お姫様」
どうにか裕未が落ち着きを取り戻したので、朝食の時間となった。
「シャンプーやボディソープは向こうにあるから着替えとタオルだけ持ってけばいいぞ。夕飯もそこで食べよう」
「やったー!裕未ちゃん、イベント発生です!お手柄ですよっ☆」
「えへ、えへ、あはは、た、楽しみだな~」
「あ、そうだ、裕未」
「なに?」
「宿題進めとかないと一人で留守番させるからな」
「っ! はぁーーーーーー」
実に大きな溜め息だった。
冗談で言ってみたけど、このリアクションを見るに、思いの外深刻な問題だったようだ。
「亜季もできるのあったら手伝ってやってくれ」
「いいですけど、午後からですよ」
「え?午前中どっか行くの?」
「ホーコさんとこ」
「はあ!?」
いつの間にやらそんな約束が出来ていたとは!
ホーコのやつ、寂しがりやにも程があるぞ。
「お前、ホーコんとこ行って何して遊んでんの?」
「うーん、特に何って訳じゃないよ。おしゃべりかな、うん、殆どおしゃべりしてるよ」
亜季にしてはなんとも歯切れの悪い言い方だった。特に何か隠し事をしてるって訳ではなさそうだけど、なんか気になる。
何せ相手は魔女みたいな奴だからな。花屋をやってるのも世を忍ぶ仮の姿に違いないのだ。亜季が気づかないうちに変な魔法かけたり毒薬飲ませたりしてるかもしれないのだ。・・・冗談だけど。いや、冗談であってほしいのだけど。
「ホーコの家までどうやって行くんだ?」
「8時に迎えに来ることになってます。それに家じゃありません、花屋さんの二階です」
「へー。 なぁ、ホーコに言っといてくれよ」
「何をです?」
「亜季を誘う時は俺を通せってな」
「アイアイサー!」



 午前11時38分、ホーコからメールが入った。
『ごめんねー、勝手に亜季ちゃん誘って。今家まで送り届けてきました。お昼おごれ』
なんじゃそりゃ!
『今日は仕事なんだよ』
と送ると
『一人で外回りしてるだけなんだから融通きくだろうに』
と返ってくる。気持ちわりーなー!どこから見てるんだよ!
『わかったよ。どこへ行けばいい?』
『花屋』
で昼に会うことになった。
まあこの時既にお昼時でもあったし、午前中の仕事は終えていたのですぐに花屋へ向かうことにした。

「よお」
「遅かったねー」
「まだお昼になってねーよ」
「あれ?そうだっけ。よし、ちょっと出るか。タマちゃん、お店お願いね♪」
アルバイトのタマちゃんを初めて見たけど、まさかの老婆だった。
「行ってらっさいまふぇ」
と丁寧なお辞儀をするタマちゃんに見送られて、俺たちは花屋を出た。
当然のように助手席に乗り込んで早く出せというホーコの顔は、どことなく暗かった。
「大丈夫なのか?あんな婆さん一人にして」
「あー、タマちゃんね?心配ないのよ、見た目ほど歳とってないから」
「そうなの?」
ちらっとホーコを見ると、もう口を噤んでいた。顎と唇の形でだいたいわかる。違うことを考えてる時のホーコだ。
「えっと、とりあえずどこへ行けばいいのかな?」
「○○町まで行くか」
「え、あ、ああ」
案内通りに車を走らせ、コンビニの駐車場に入った。コーヒーを二つ買って店を出たのだけど、車には乗らず、通りへ歩いて行った。
ホーコがどこへ向かっているのかはもう分かっていた。この場所を忘れる訳がない。
その場所に着いた。ガードレールに腰かけてコーヒーをすするホーコ。俺も並んでガードレールに座る。
ずっと黙ってるホーコに俺は何故か話すのを促すことができずにいた。この場所を誰よりも嫌っていたのがホーコだと知ってたからだ。
「貴志ー」
「ん」
「由希子の夢、見たことある?」
「ないよ。一度もない」
「あはは、私もなんだ」
この場所は、由希子が交通事故で即死した現場だった。
何度も花を捧げにきたけど、やればやるほど苦しくなるだけだったのでいつしか来なくなった場所だった。
わざわざここへ俺を連れてきてどうしようっていうのだ。ホーコ自身もこの場所は辛かろうに。
「ここで、由希子は亜季ちゃんに会ったんだよ」
確かにそう聞こえた筈なんだけど、俺の思考回路はそれをうまく回せずにいた。というより回そうとしていなかった。
亜季の事で会いに来たはずなのに、由希子に関係する場所に来て、ホーコの口から由希子の名前まで出てしまっては心中穏やかではいられない。
「あん」
我ながら見事な生返事だったと思う。
「なんだ、分かってたのか」
「いや、分かってなんかないよ。お前が言いたいことと俺が思ってることは多分違う。それにこの場所に来たことは理解できていない」
「だから、ここで由希子と亜季ちゃんが出会ってるんだって」
そこで漸く話を聞く耳が出てきた。
ホーコの言う由希子ってのは生きてた時の由希子なのは間違いないだろう。だとすれば5年も前の話になんで亜季が出てくるんだ?
「由希子の事故の原因は?」
「飛び出した子供を避けようとして対向車線に」
「そう」
「え?」
「そう」
「その飛び出した子供が?」
「亜季ちゃん」
ちょっと待て。
なんなんだ、その設定。亜季は、あの亜季が、由希子の・・・
「あ、ごめん、やっぱキツかったか」
「いや、というか、もうちょっと言葉選べよ。その言い方だと亜季が由希子を殺したみたいに」
「それは貴志が勝手にそう思っただけだよ。私はそんなことは一言も言っていない。」
その通りだった。ホーコは至って冷静だった。
由希子が死んだ事故の原因となったのは子供の飛び出しだというのは警察が調べて分かっていたのだけど、その子供がどこの誰で、その後どうなったのかは全く分からなかったのだ。当時の俺は、その子供を強烈に恨んでいて、どこの誰なのか調べてくれと警察に懇願していた。でも皆目分からないとあって、仕方なく諦めたつもりになっていた。それがたった今判明した。
「冗談だろ?」
「だといいんだけど」
そうだった。ホーコもまたその子供を恨んでいた。殺してやると叫んでいた。
今の俺の活力の源であり、生活に潤いをもたらせてくれているのは間違いなく亜季なのだ。なのに、ホーコの告白で俺の中の亜季の存在がグラグラと揺らいでしまっていた。
『たっくん!』
不意に亜季の笑顔が浮かんだ。
『たっくん!』
次の瞬間、その笑顔が由希子に変わっていた。
「由希子ってさー、いっつも私らのことお構いなしだったよね」
「あ、ああ。そうだ。あいつは大人になっても暴走型は治らなかったな」
何か言いたげで、でも言えないって感じのホーコに、特に促すことはしなかった。
言えない事ぐらい誰にでもあるし、言えないということは、この場合、俺が今知るべき事柄ではないという意味なのだと感じたからからだ。
「私も貴志も、恨んで憎んで探してた子供が亜季ちゃんだって」
「待てって、なんでそんなことお前が知ってんだよ」
「貴志はさ、亜季ちゃんが由希子に似てるって思わないの?」
「思うよ。見た目は違うけど、中身はそっくりだ」
「それだったら確かめてごらんよ」
「確かめる?」
「亜季ちゃんに『お前ホントは由希子なんだろ~?』って」
「あは!それっぽいことなら何度もやったよ」
「それで?」
「絶対認めない」
「だろうね」
ホーコは亜季が由希子なんだと思っている風だった。
そんなことは俺もとっくに考えたし感じていた。何度か確かめようともしたけど、その度に上手くはぐらかされたりきっぱり否定されたりした。
 亜季がまだ隣に越してすぐぐらいの時、そのころの俺は、よく仏壇の前で由希子に話しかけていた。
ある時、死んでからずっと感じなかった由希子の匂いがふわーってしてきて、うわ、こりゃ幽霊で出てくるんかなと思って期待して振り向いたら、そこに亜季が立っていた。
「お前、由希子なのか?」
思わずそう訊いてしまった俺に向かってスタスタと寄ってきたと思ったら、いきなり服を脱ぎ始めてスッポンポンになった。
そして由希子の遺影に並んで立って、
「私とこの人のどこが似てんの?端的に述べてよ」
ときたもんだ。
確かにまだ2年生だった亜季は痩せっぽちな幼児体型で、由希子との共通点なんか全く無いんだけど、その喋り方とか語気の加減とかがまんま由希子のそれだったので、驚くとか絶叫するとかせずに、大笑いしてしまったのだ。
変な確信を得ながらも、それでも懸命に否定する様子から、その言い分を呑み込むことにした。由希子が望むなら何か理由があるのだろうと思ったし、それを邪魔しちゃ悪いとも思った。
だから俺はそれ以上由希子の存在を考えないようにしたんだ。
でも亜季の言動を見ていて、由希子じゃないなって思うこともよくあった。だから由希子によく似た女の子を、天の神様が寄越してくれたんだと思うようにしていた。
余計な詮索はせずに、黙って日々を過ごしていれば、死んだ妻と可愛い美少女の両方が手に入ったみたいで、最高にハッピーになれるじゃないか。
黙ってさえいれば・・・。

なのに、ホーコがそこに気が付いた。
気が付いたどころか、コイツの様子からするに、何かを掴んでいるようだった。
「あのね、こういう事って、それほど珍しい事じゃないんだ」
「こういう事?」
「死んだ人間が、魂っていうか、精神っていうか、まあ意識だけを他の人間に乗っけるってのは昔からあることなんだよ」
「幽霊じゃないのか?」
「幽霊は思念体だから頭が悪いんだ。つまり、違う。守護霊って知ってるよね?そんな感じなのかな」
「それって神様の領域なんじゃないの?」
「だとよかったんだけど、ホトケの領域なんだよね。だから放っておけないんだ」
神様と仏様がどう違うのか俺にはさっぱりわからないけど、今のままだと亜季が不幸になるというのだから聞き捨てならなかった。
「原因と結果の連鎖に深入りし過ぎたんだ」
「おあ?」
「由希子が出過ぎなんだよ」
「・・・」
「あれじゃ守護じゃなくて・・・乗っ取りだ」
「乗っ取り・・・」
少し間があったときに穏やかな表現を探したのだろうけど、これ以外の言葉が見つからなかったようだった。その意味するところは俺にもわかる。
「もう一人の亜季ちゃんがどんどん大きくなってるの、わかる?」
「ああ、分かるよ。それに出てくる頻度が上がってる」
「それ自体悪い事じゃないのよ。というかそれこそが由希子の仕事なんだけどね」
「こないだ初めて話したけど、随分はっきりしてきたよ」
「え?話した?亜季ちゃんと?」
「あなたは誰?って聞かれたんだ」
「会話ができるレベルか・・・急がないと」
「何を?お前なー、自分だけ分かった顔してんじゃねーよ」
「そうだね。じゃ、私が立ててる『仮説』を話そう」
ホーコはあえて仮説と言った。全体的に重苦しい雰囲気を纏ったままなので、どのみち楽しい話ではないのだろうと覚悟はしていたが、その内容は本当に楽しくなかった。
「もし、私が思ってる通りだとしたら、亜季ちゃん、近いうちに壊れるよ」
「ああ、なんかやってみる」
「今日、ドンブッフのモンブラン出したら喜んで食べたんだよ」
「あはは!考えること一緒だな。それ、俺も最近やったとこだ」
「マジ!?あんな過激な物、小学生が美味しいって言う訳ないのに」
「わーい、って食べてたよ」
ドンブッフのモンブランは拘りの逸品。上質な栗を使っているからといって上に乗ってるクリームは、ほぼ栗100%で砂糖も使っていない。土台となってるタルトには栗の焼酎であるダバダ火振がたっぷり浸み込ませてあるのだ。
完全に18禁の、いや、20禁の大人のお菓子なのである。一個750円もするんだから値段も大人向けだ。
本当ならまだ小学生の亜季には食べさせちゃダメなんだけど、由希子の大好物だったので、もしかしたら、という想いがいつもあった。仏壇にも何度もお供えしたけれど、結局は俺が食べてる訳で、なんか虚しかったのだ。
もし亜季が喜んで食べるようだったら、その時初めて『お供え』できるんじゃないか、なんてバカな事も考えていた。
そして、あの時実行したのだけど、予想外というか予想通りというか、亜季は喜んで食べて、そして少しも酔うことなくケロッとしていた。凄く嬉しかったのだけど、またまた由希子が亜季の中の人なんじゃないかという想いが頭をもたげてしまっていた。
というより、亜季にモンブランを買おうと思ったってことは、常に疑っていたということになる。なんだかんだ言いながら、俺は最低な男なんだ。
「たぶん、間違いないよ」
「ああ、由希子に認めさせればいいんだな」
「難しいだろうけど、亜季ちゃんのためだから」
「それが由希子の願いでもあるんだろ?」
「じゃなきゃ、私が、亜季ちゃん、殺しちゃう」
ぶわっと泣き出すホーコ。
ルールはルールだから守るけど、自分自身の感情がどうにも抑えきれないと言って泣いている。
なんで由希子の前に飛び出したのか、他の人でも良かったのに、と言って泣いている。
「お前がいつも言ってるじゃないか。全ての出来事には何かしら理由がある。偶然は」
「ない」
手で涙を拭いながら、平静を取り戻そうと懸命に笑顔を作ろうとしながら、それでも涙が溢れてくる。
俺はそんなホーコをいつの間にか抱いていた。泣きやむまで頭を撫でてやっていた。
「はーーー、よし、大丈夫。あは、貴志、ごめんね」
「いいって」
「往来で恥ずかしい事しちゃった。噂になったら弁解よろしく」
「別にいいよ」
時間も随分たっていたのでコンビニの駐車場に戻った。
「お昼食べる時間なくなってしまったな」
「気にしないで」
とか言いながら車には乗らずコンビニの店内に入っていくホーコ。
「またコーヒーか?」
「え?弁当とサンドイッチとデザートとおでんでいいよ」
「何が何でもおごらせるつもりなんだな!」
「カルピスソーダも付けて♪」
「好きにしろ!」


 
レスを見る(7)
2014/02/01 16:34:51(SpbWwwDr)
コメントを投稿
投稿前に利用規定をお読みください。
名前
メール
本文
スレッドを上げない
画像認証

上に表示されている文字を半角英数字で入力してください。
 
官能小説 掲示板
官能小説 月間人気
官能小説 最近の人気
作品検索
動画掲示板
画像で見せたい女
その他の新着投稿
人気の話題・ネタ
ナンネット人気カテゴリ
information

ご支援ありがとうございます。ナンネットはプレミアム会員様のご支援に支えられております。

Copyright © ナンネット All Rights Reserved.