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可愛い弟子Ⅹ
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:ロリータ 官能小説   
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1:可愛い弟子Ⅹ
投稿者: タカ ◆8pDveiYQdk
「・・・・すごい・・・・。」

ひっそりと、消え入るような細い声・・・・。

長い睫毛が、潮風に揺れる。

大きな瞳が、じっと見上げていた。

目の前にある、あどけない顔。

シホは、薄く笑みを浮かべて、嬉しさを隠そうともしなかった。

真っ暗な闇の中に浮かぶ白い肌。

寄せては返す波の音だけが、やけに大きく耳に届いてならない。

ふっと、身体が溶けて、波の中に呑み込まれて行くような錯覚さえ覚える。

波の音だけしか聞こえない。

男も女も、子供も老人も、皆、眠っている。

そう言う時間だった・・・・・。

シホが、嬉しげに見つめる。

「こんなに、すごいの・・・初めてよ・・・・・。」

無邪気な瞳の中にさ迷う、妖しげな光。

シホは、ずっと瞳を開けたまま、閉じようともしない。

「すごい・・・・こんなに、長く続くなんて・・・・・。」

喘ぐように、大きく胸を息づかせる。

悦びに満ち足りた顔。

気の利いたセリフのひとつも、思い浮かばない・・・・。

言うべきか迷った挙げ句、オレは、シホの耳元で囁いた。









「あれは人工衛星・・・。」

「えっ!、流れ星じゃないの!?」

シホが、ずっと見つめていた視線の先にあった物。
遙か向こうから、夜空を横切りつづける光の点。

違います・・・・・。
地球を半周する流れ星なんて、聞いたことありません・・・・。


夏の夜空を彩る奇跡の天体ショー。
ペルセウス座流星群。
7月下旬から8月下旬にかけての約1ヶ月間、夜中に北東の空を眺めている
と、驚くほど多くの流れ星を見ることが出来る。
お盆の時期ともなれば、その数は最大に。
丁度今回の盆休みと、ピークの時期が重なっていた。

「絶対見たーーーいっ!!!!」

話しをしたら、コトリちゃん大乗り気。

「わたしもっ!!!」

シホさんも、同じ。

一度でいいから、ふたりに見せてやりたいと思っていた。
このオレですら、初めて見たときは、心底感動に心がふるえた。
自然が織りなす大パノラマ。
きっと、このふたりなら喜んでくれる違いない。

最も流れ星が多く見られるのは、2時くらい。
コトリちゃんも、一生懸命がんばってたけど、やっぱりそこは子供。
昼間の遊び疲れもあって、12時前にはダウン。
愛らしい寝顔で、ぐっすりと夢の中。
無理に起こすのも躊躇われて、シホさんとふたりきりで見ることに。
明日の朝、アイツのブー垂れた顔が目に浮かぶ・・・・。

砂浜に毛布を広げて、ふたりで仲良く並びながら夜空を見上げてた。
今にも落ちてきそうな星空。
とてもロマンティックな夜。
明るい月だけがちょっと邪魔。

「どうして邪魔なの?」

シホさんにあんなコトや、こんなコトが出来ないから・・・。
じゃなくて、流星観測に不向きだから。

宇宙には、無数のチリが漂っていて、その中でも彗星が落としていったゴミ
を流星ダストと言う。
彗星は、ほとんど変わることのない軌道を維持して移動し続けるから、必然
的に流星ダストも同じ軌道上を漂うことになる。
公転する地球が、その流星ダストの帯に近づくのが、この時期ってわけ。
流れ星は、ものすごいスピードで大気圏に突っ込んできた流星ダストが、摩
擦熱で発光する現象だ。
真っ暗な空なら、かすかな光でも見ることが出来る。
でも、他に強い光源があると、流れ星はかすんで見えなくなってしまう。

「すごぉい!!なんで、そんなに詳しいの!?」

実は、高校に入学して間もなかった頃、廊下を歩いていたら、急に女の子に
腕を捕まれて、理科室へ引っ張り込まれた。

「天文部に、入りなさい!」

新入部員の勧誘。
有無を言わさぬその子の迫力に圧倒されて、言われるままに入部届に名前を
書いていた。

「天文部だったの!?意外ぃ♪。」

好きで入ったわけじゃない。
ただ、その女の子の迫力に負けただけ。
オレを勧誘した子は、1年上の先輩。
とても背が低くかったけど、チャーミングで可愛らしい子だった。
星のことなんか何もわからなかったオレに、一から教えてくれたのが、この
女の子。
面倒見が良くて、みんなから好かれる明るい人だった。

「その子が、好きだったんでしょ?」

シホが悪戯っぽい目を向ける。

ああ、好きでしたよ!。
でも、その子との楽しい思い出は、そんなに持っていない。
その頃から空手三昧で、硬派で通していたオレ。
試合でもケンカでも臆したことは一度もなかったけれど、その子に告白する
勇気だけは、とうとう最後まで持てなかった。
あっという間に、2年が過ぎて、その子が卒業してしまう日。
どうしても、このまま終わってしまうのが嫌で、最後の最後に勇気を振り絞
った。
結果は、あえなく惨敗。

「ごめんね。付きあってる人がいるの・・・。」

知ってますよ・・・・サッカー部のあいつでしょ・・・。
誰からも好かれる人だった。
みんなが、狙っているのも知っていた。
だから・・・・成就するなんて、思っていなかった・・・・。

「おいで・・・・。」

うなだれるオレの手を引いて、彼女は、2階にある理科室へと、オレを連れ
ていった。

「キミと初めて会ったのは、ここだったよね・・・。」

思い出の部室。
彼女と最初に出会った場所。
イスに座らされた。
卒業式が終わり、人の数もまばらになっていた校舎。
不意に、柔らかい手のひらに頬を包まれた。
近づいてきた、甘い匂い。
押しつけられた、しっとりとした唇。

「2年間がんばった、ご褒美・・・・。」

きっと彼女も、オレのことは嫌いじゃなかったと思う。
空手とボクシングを掛け持ちしていた。
忙しかったけど、天文部だって、おざなりにしていたわけじゃない。
彼女に会いたくて、時間を見つけては、理科室に通った。
オレを見つけると、彼女はいつも嬉しそうに笑ってくれた。
星の名前を覚えると褒めてくれた。
合宿で、一緒に夜食のおにぎりをつくった。
梅干しの代わりに入れたチロルチョコ。
廊下の影から当たりを引いたヤツを見つけては、ふたりでお腹を抱えて笑っ
てた。
気がつけば、彼女のお腹にしがみついて、泣いていた。
嬉しくて、悲しくて、寂しくて・・・・。
バカみたいに、涙があふれて、止まらなかった・・・・。

実らなかったけど、いい思い出・・・。
オレも、あの頃は純だった。
それが今じゃ、親子丼を目論むほどに・・・・。
人って、成長する。
悪どくなっただけかも知らんけど・・・・。

「その人は、今どうしてるの?」

気になります?
実は、オレも知らない。
卒業してから2度ほど会う機会はあったが、二十歳を過ぎてからは、まった
く会ってない。
噂じゃ、違う街に移ったとか。
2度目に会ったとき、すでに彼女のお腹は大きかった・・・・。
きっと、誰かと幸せに過ごしてるんでしょ。
明るい家庭が目に浮かぶ。
彼女に、不幸は似合わない・・・・。

「いいなぁ・・素的な想い出があって・・・・。」

シホが、夜空を見上げながら、小さくつぶやいた。
別に素的じゃないけどね・・・・・。
失恋したわけだから・・・・・。

「シホさんの、高校時代って、どんなだったの?・・・・・・・。」

シホさんの昔って、そういや知らない。
きっと、こんなに可愛い人ならば、たくさんの想い出があるのに違いない。
どんな部活に入っていたのか?
どんな友達がいたのか?
どんな彼氏と付きあっていたのか?
ひとりだったなんて、言わせんよ。
そんな戯言ぬかしたら、お仕置きするからね。

シホは、ずっと夜空を見上げていた。
つぶらな瞳が、星の下で輝いている。

「ねえ、タカ君・・・・・・。」

星空を見上げながら、シホが囁いた。

「なに?」

いったい、どんな答えが返ってくるのやら。

いつもと変わらぬ優しい声音だった。

幼さの抜けきらない、あどけない声。

シホに、振り向いた。

首を向けた瞬間・・・・・・・・




背筋が凍りついた。

ゾッとするほど冷たい眼が、オレに向けられていた。

暗闇の中に、眼の白い部分だけが異様に大きく浮かび上がっている。

たまらずに、息を呑んだ。

今までに、一度としてみたことのないシホの顔。

あどけなさなど、まったく消え失せて、そこには、知らない別の女の顔があ
った。

シホは、ゆっくりと迫るように身体を寄せてきた。

「絶対に、わたしを裏切らない?・・・・・」

手のひらをいっぱいに開いて、オレの胸に乗せてくる。

声までが変わっている・・・。

「何があっても、わたしを捨てたりしない!?」

語尾に力があった。

シホは、オレに覆い被さると、冷たい眼のままでオレを見下ろした。

「ああぁ・・・・。」

ひどく深いため息を吐いて、愛しむように、オレの胸板を撫でていく。

「・・・そっくり・・・・・・。」

遠くを懐かしむような声。

何かを確かめるようにオレの胸を撫でつづけた。

まるでそこ以外、何も見えていないかのように・・・・。

声さえも出せなかった。

シホは、手を這わせながら、何度もオレの胸にキスを繰り返す。

ゆっくりと身体を重ねてきた。

腕が伸びてきて、シホの指が、唇に触れる。

「裏切らないって、約束して・・・・。捨てないって、誓って!・・・・・
そうすれば、わたし・・・・・・。」

青白い顔が目の前に現れた。

だらりと落ちた長い髪が、頬を撫でつける。

冷たい眼が、刺すようにオレを見つめた。

「あなたのためなら、どんな事でもするわ・・・・・・・・・。」

死者のような蒼白な顔が、ニヤリと笑った。

思わず目を閉じていた。

かつて一度として見たことのない壮絶な女の、笑み・・・・。








ち、ちびった・・・・・・・。

 
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2009/09/03 23:18:43(nfy1tauq)
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