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そこは、以前私が働いていた会社が入っているビルです。
そこには数人の清掃のパートさん達が、決められた時間にトイレやフロアの掃除をしてくれていた。 シニアのオッチャンか同じ位のオバチャン達がメインで働いていた。 男子トイレはオッチャンが、女子トイレはオバチャンが掃除するものと思っていたが、シフトの関係か決まりが無いのかオバチャンも男子トイレの掃除をしていた。 毎朝同じ時間にトイレに入っていると、廊下で会っても会釈暖挨拶暖軽い会話と、だんだん親しくなっていた。 そんなある日、その数名いるオバチャンの中ではそこそこ若いオバチャンがトイレ掃除をしていた。 その日は、家を出る時に用をたしていなかったので、限界寸前だった。 いつもなら、掃除中の看板?が立っていれば、声を掛けてから入るがそれどころではない。 バッと駆け込み用をたす。 フーッと安堵の溜息をつくと、入り口付近からクスクスと笑い声が。 「どうしたの?そんなに慌てて。」 「いや~出掛けにトイレに行かなかったから。」 その間もオバチャンは掃除を続けていた。 (今日はやけに出るな…)と、思っていたところで、オバチャンは私のすぐ隣に居た。 時間にしたら数秒だろうがオバチャンは私のモノをガン見していたオバチャンが一言。 「はぁ~お兄ちゃんあんた凄いね。」と。 他人と比べた事もないし、オバチャンが誰と比べているかも分からず、ただ笑うしかない状態。 その翌日は、いつもより早い時間に出勤。 デスクをすぐにでも業務を開始出来る状態にし、いつも通りにトイレへ。 看板が立っているので、声を掛ける。 「あの~良いですか?」 「あっ…どうぞ…」 と、返事が帰ってくるが、いつもと違う。 「邪魔してすみま…」 私の視線の先には、年の頃40前半位で、切れ長の涼しげな目元の女性が、いそいそと掃除に励んでいる。 (おっ!これはラッキー) 私がいつも使うのは、一番奥の便器。(落ち着くんですよね。何故か) そして今日もいつも通りに一番奥へ。 その隣には、女性が私のモノから1m程の距離で便器を拭いている。ゆっくりと時間を掛けて。 それでは、と分からずも一旦出すのを止めてみる。 携帯をチェックするフリをして、エロ動画を再生。 少しずつ芯が入ってきた所で、動画を止めて改めて放尿再開。 半勃ちのモノを、しかと確認したその女性は 「ウソ?!凄っ」と、思わず心の声を漏らしていた。 私は、なに食わぬ顔で手を洗い、会釈をしてその場を後にした。 一つ罠を仕掛けて… 振り返らす歩いて行く私。 それを目で追う女性。 仕事を続けようと、振り返ると洗面台にハンカチが忘れられていた。 それを手に取り、慌てて飛び出す。 数mの所からの「あの!」の声で、白々しく振り返る。 「私に何か?」 「はい。忘れ物です。」 「あっ…すみません。ありがとう。」 「良かった~追い付いて。」 「走って来ないでも、私はここで仕事してますから」 「ですよね。」 私はハンカチを受け取り、また歩を進める。 少し気になったので振り返ると、名残惜しそうに立っている。 ニコッと笑顔で会釈する私に、「行ってらっしゃい」と聞こえてきそうな満面の笑みで手を振っていた。 女性のシフトの関係で、2日間会えずにいた。 次に会えたのが"あの一件"から3日目の事。 私がいつも様にデスクに向かっていると、その女性が駆け寄ってくる。 「お昼に下で待ってます。来てくださいね。」 どだけ告げて仕事に戻って行った。 他人から聞く私の第一印象は、だいたいが【怖い】【話掛け難い】といったマイナスの印象。 付き合っていけば、そんな感じも無くなっていくようですので、時間は掛かるでしょうね。 高校生の頃も、不良仲間(若気の至りです)と話している所、ふざけあっている所に顔を出す女の子がいた。 その子のクラスメートでもある仲間内の子が、 「あの子アンタに気があるみたいよ」と言っていたが、素直になれない自分がいた。 「ふーん、興味ねぇ」と硬派ぶっていた。 その後も、女性と知り合う機会があり仲良くなるが、実を結ばない。 自分から想いを伝える事もなく、流れで付き合うようになり、流れで別れる。を繰り返してきた。 そんな過去があるので、彼女の行動に衝撃を受けた。 昼になり、どうするか悩んだが、取り敢えず行ってみる事にした。 ビルの2Fのエレベーターホールにはコンビニがあり、その前で待っている女性。 仕事の時の制服と違い、モノトーンで纏められシックな大人の色香が漂っていた。 涼しげな目元にもラインが引かれ、ブラウンのシャドーで一層キリッとした印象を与える。 私に気が付くと、一瞬ニコッとしたものの、すぐにクールな女といった感じでヒールを鳴らしている。 こちらへ向かう彼女を確認した、私はビルの出口へ向かった。 どんな話になるか分からないので、職場から少しでも離れたいと云う気持ちがあったのか。 少し離れた所にある喫茶店へと向かう。 中に入る頃には、覚悟を決めていた。開き直りと言うべきか。 向かい合い座る。暫くの沈黙。 (何だこの重苦しい空気は) どれ位の時間が経ったのか、左腕に目をおとす。 (まだ1分位しか経っていない) と、ここで彼女が口を開く。 「あの…」 言葉に詰まっている。怒りを堪えているのか? 「お呼び立てしたのはこちらなので、私から…」 (この露出狂!仕事中に汚いねぇモン見せやがって!) 彼女の切れ長の瞳が、今はそう言いたげに見える。 しかし、次に彼女の口から出た言葉は、その全く反対であった。 「私…自己紹介します。名前はI.Y子です。歳は39で若くないですけど…」 「ま、まず落ち着いて。ね? マスター、アイスコーヒー2つ」 再び沈黙が訪れるが、今度は先程と違い、静かな落ち着いた時間がいったところか。 注文の品が運ばれ、お互い一口口に含む。 喉の渇きが潤った所で 「私も自己紹介しないとね。名前はS.J。で、1コ上の40。若くなくてごめんね。」 「いえ、こちらこそ…」 「ところで、何か話があるのでは?」 ハッと顔を上げたY子の頬、そして耳迄が赤く染まり、瞳は潤んでいた。
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2017/01/13 06:41:33(du/DQEae)
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